MoとWを比較するには、まず厚さ20 nmのSiO2を有するSi の上に、厚さ350 nmの金属をスパッター法で蒸着し、この試料を500-1100℃で加熱をして、金属表面をエスカ(ESCA;Electron Spectroscopy for Chemical Analysis;X線光電子分光)で検査しました。
最後に、MoとWとの違いについて考えてみましょう。酸素との結合し易さを考えると、どちらの金属より、Siの方が酸素と結合し易いのです。ですから、 M + (x/2)SiO2 → MOx + (x/2)Si このような反応は起きにくいのです。ここで、Mは、MoあるいはWです。実際に、MoやWがあったから上記のような反応があったとは認められません(H2の影響の方が大きい;いや、MoやWがあった方がH2中でのSiO2の劣化が少ない)。
1)N. Yamamoto, S. Iwata, N. Kobayashi and T. Terada: Ext. Abst. 15th Conf. Solid State Devices and Materials, Tokyo, Business Center for Academic Societies Japan,(1983), 217.
2) N. Kobayashi, S. Iwata, N. Yamamoto and T. Terada: Dig. 1983 Symp. VLSI Technol., (1983), 94.
3) S. Iwata, N. Yamamoto, N. Kobayashi, T. Terada and T. Mizutani: IEEE Trans. Electron Devices, ED-31(1984), 1174-1179.
4) N. Yamamoto, S. Iwata, N. Kobayashi, K. Yagi and Y. Wada: Proc. 2nd Int. Symp. VLSI Sci. Technol., (1984), 361.
5) N. Kobayashi, S. Iwata, N. Yamamoto, T. Mizutani and K. Yagi: Proc. IEEE Int. Electron Device Meeting, (1984), 122.