確率には条件がつく!



例えば、Aを「サイコロを振って1の目を出す」現象(事象という)だとしましょう。その確率をP(A)と書きます。この値が1/6だというわけです。

これで十分なのでしょうか。

まず、どういうサイコロを振るのでしょうか。出る目が{1,2,3,4,5,6}のうちの一つと思うかもしれませんが、出る目が4つしかないかもしれません。また、20もあるかもしれません。この種類の状態をBで表すとしましょう。

次に、目が6つある場合でも、形が立方体ではないかもしれません。4つの場合も、4面体ではないかもしれません。形を示す状態をCで表しましょう。

次に、形がよくても、重心が偏っているとか、表面のざらざらが場所によって違うというようなことがあるかもしれません。この状態をDで表しましょう。

次に、誰が振るかというのをEで表しましょう。人によって、振り方によっては、一つの目が多く出る可能性もあります。バクチ打ちなど一つの目を多く出せる可能性があります。

さらに、どこへ振るかということがあります。机の上か、床の上か布団の上か、などいろいろ考えられます。この状態をFで表しましょう。

さらに、どのように振るかをGで表しましょう。

まだあると思いますが、これだけだと仮定しましょう。そうすると、上で定義した確率は、本当は、P(A|B, C, D, E, F)と書くべきものなのです。

Bは目が6つある場合、Cは形が立方体の場合、Dは偏りのない場合、EはXさんが振る場合、Fは机の上で、Gは上から落とすだけということにします。

これでいくらかサイコロ振りを「正確に定義した」わけですが、Gのやり方だけ取っても、さらに細かく制御する必要があるでしょう。また、どの高さからということも言っていませんでした。

本当に正確に振るときの状態を定義できると、原理的には何が出るかを計算できるのです。しかし、そこまで、細かく制御できないために、いろいろな目が出てしまうのです。確率が1/6になるというのは、制御がめちゃめちゃで、なにも制御できないということなのです。つまり、どの目も他の目より多く出る理由はないし、より少なく出る理由もない(制御できない)ということです。

例:条件確率の重要性

続く


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