風狂夜話2

風狂夜話2

2009年12月28日
XML
カテゴリ: 俳句


小林一茶の句。

奥さんのきくさんは27歳でしたが、一茶はすでに52歳、随分歳の離れた

二人でした。そのきくさんにも、随分苦労をかけました。

畑を耕し、弟や継母との付き合いをし、それから子育てをするというきくさ

んの生活だが、一茶はただぶらぶらと歩き回って、気が向けば家に帰って子

種を仕込む。

それを日記に書きとめている。

一交二交、一合二合と書いているんですけど、数字は回数、交は普通の夫婦



梟よつらくせ直せ春の雨

「鳩、意見して曰く」と、前書きがついている。

鳩はででっぽっぽと鳴くあの鳩で、きくさんのこと、梟はもちろん一茶です。

きくさんが一茶に向かって「一茶さん、あなたは碌なことをしていないから

面癖が悪いわよ、お正月くらいはいい顔になんなさい」と、意見をしている。

それを自作自演で俳句に書いているわけです。

一茶は農家の出ですから百姓の体です。肩がはり、体もでかい。顎も張って

いる、まさに梟面なんです。それに定住の世界で苦労してきたから、ますま

すよくない顔になっている。

しかし、そういう句を自ら作って、妻のことを思いやっている亭主にもなっ

ている。そこが一茶の感性の美しさなんです。生き物の感覚があるからなん



一茶という人間を見て、人間というものは生き物の塊である、と思う。

                  (金子兜太「生きもの諷詠」より)





お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

最終更新日  2009年12月28日 16時46分58秒
コメント(2) | コメントを書く
[俳句] カテゴリの最新記事


【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! -- / --
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x
X

PR

フリーページ

プロフィール

芳邑

芳邑

キーワードサーチ

▼キーワード検索

カレンダー

コメント新着

@ New!
うぼで@ Re:フランク永井の死(11/03) フランクさんの曲、再び聴きたくなりまし…
金田あわ@ Re:梟よつらくせ直せ春の雨(12/28) よいものを見せて頂きました。Thanks a l…
玄茶ー@ Re:淋しさに飯をくふなり秋の風(11/01) 感情的な文章です
http://buycialisky.com/@ Re:日経新聞社説の従米論(05/05) cialis e viagra assunti insiemecialis c…

© Rakuten Group, Inc.
X
Mobilize your Site
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: