輝さんの本を読むといつも感じるんだけど、輝さんの本に出てくる女性ってみんな凄く魅力的だと思う。
男性にはあんまり魅力を感じないんだけどなぁ...。
パラパラっと本を繰って登場人物の女性たちを書き出してみた。
氷見留美子32歳→ 22歳のときに父親が突然事故死するが頼りない母や弟のために一人で頑張る。結婚の約束までした妻のある男性とつらい別れをするが、今は税務会計事務所で一生懸命働いてる。
本田鮎子54歳→ 京都の高級料亭に若くして嫁ぎ、仕事をしない旦那に変わって女将として30年以上にわたってお店をきりもりしてきた。
謝翠英28歳→ 台北大学を卒業してから日本の大学に留学して日本の古典文学の勉強をしてる。日本語をとても流暢に話す。
芦原小巻32歳→ 22歳のときに癌を患い、10年の間癌と闘い続け何度もの手術にも耐え生死の境をさまよったが今は元気になって頑張ってる。
新川緑29歳→
バーのマダムとバーテンの子として生まれ、イギリスに留学し建築を学び一級建築士の免許を取得し今は現場の男達のあいだで一生懸命働いてる。
新川千鶴子54歳→
妊娠してるのに男のために身をひき他の男と結婚し、その事実を子供にもその子供のほんとの父親にも知らせずに他界してしまう。
みんな大変なことを抱えてるけど一生懸命生きてる。
明るくて前向きでへこたれない。
そんなやつはおらんやろぉ~!←(by大木こだま氏)みたいな魅力的な女性が次から次に出てくる。
主人公の男性、 上原桂二郎54歳→ 大手調理器具メーカーの三代目社長。それなりに魅力のある人物かも知れないけど、社長として会社を大きくしてきた人物なら、まあ、さもありなんて感じだったなぁ...。
で、その魅力的な女性たちが多かれ少なかれ上原に好意的な感情を持つわけ。
そんなことはあらへんやろぉ!~←(by大木こだま氏)と思ってしまう。
だけど輝さんの「あとがき」を読んで、はは~ん...とちょっと納得した。
輝さんは「あとがき」で"日本という国の民度がひどく低下していると感じる幾つかの具体的な事例に遭遇することがあった。"と書いてられる。
"おとなの幼稚化"とも書いてられる。
さらに"現代の若者たちはいかなる人間を規範としていけばいいのか...。"と書き、
"そこで私は『約束の冬』に、 このような人が自分の近くにいてくれればと思える人物だけをばらまいて 、あとは彼たち彼女たちが勝手に何等かのドラマを織り成していくであろうという目論見で筆を進めた。"と書いてられる。
ということは、登場人物の魅力的な女性たちはみんな、輝さんがいてほしいって思う民度の高い人たちだったんだ!
多分、上原は輝さん自信なんだろうと思う。
そして輝さんがいてほしいと思う男女の登場人物たち。
僕がこの本の女性に魅力を感じ、男性にさほど魅力を感じないわけが少し分かったような気がする。
民度の高い人間でも内面には様々な煩悩を抱えてるものなんよね。
そういった自身の欲求や邪心を我慢するのではなくて、発露させることがみっともないことなんだって、そんな精神を持つ人々のことを民度が高いというんだと思う。
ちなみに僕はヘビースモーカーだけど、灰皿のないところでタバコを吸ったことは多分10年以上無いと思う。
何故かって言うとみっともないから!だからいつも携帯灰皿を持ってる。
だったらお前には灰皿のないところなんか無いじゃないかー!って突っ込まれたらそれはまぁその通りなんだけどね...^_^;
最近ドラマで、良い人間と設定されてる大人が、タバコを吸ってる高校生をしかってタバコを取り上げ地面に捨てるというシーンを見た。
僕には、タバコを地面に捨てた大人のほうがよっぽど民度が低いと感じた。
それは、そのドラマの脚本化も演出家もプロデューサーも、そのドラマをオンエアしたテレビ局も民度が低いと言わざるをえないよ。
てゆうかそんなものがオンエアされるってことこそ日本の国が民度が低いってことなのかも知れないな。
話がむちゃくちゃずれたけど、つまり輝さんは男だから自身の中にある男としてのみっともない部分をいっぱい知ってる。
知ってるから自身を投影した登場人物の思いとして、本に書く。
だけど、みっともないことだと思う精神を持ってること、そのことだけで充分民度の高い人間なんよね。
でも、そういうみっともないことを心の中にでも持ってるってことは、やっぱりちょっとかっこ悪いなっとも思うわけよ。
ところが輝さんが書く女性たちは、かっこ悪いところが無いんよね
発露する部分だけじゃなくて、心の中までみっともないところが全然ない。
そんなやつはおらんやろぉ~!
って大木こだま氏の声が頭の中で聞えたけど、この本は輝さんがいてほしいと思う人たちだけの世界、いわば輝さんの理想郷なんよね。
あれ、どんな話だったっけって思うほどにストーリーよりも、この本の中で生きている人間たちが輝いてた!
そんな本だった。
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