2016年04月30日
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春の香りが漂ってきます。街の中にも匂いや香りが漂っています。

 地下鉄のエスカレーターを上っているとき、

ふと、かぐわしい香りが漂ってきました。香りの

漂う方を振り向くと、下りのエスカレーターの女性だと

気づきました。見えたのは後(うしろ)姿だけです。

「源氏物語」には、「香り」や「匂い」のことが

たくさんでてきます。源氏の君は、優雅な香りを

漂(ただよ)わせていました。それは、遠く離れた

所からも源氏の君とわかる香りでした。源氏の君の

子息・薫の君も「薫中将」と呼ばれる通り、

いつもほのかな香りを漂(ただよ)わせていました。

 でも、二人の香りの中身は違います。

 源氏の君の香りは、多くの唐櫃(からひつ)

の中に収められている花や香木などの木々の

香りが衣(ころも)に移った人工的なものでした。

 今で言えば、香りの「移り香」のようなものです。

しかし、薫の君の「香り」は、

身体(からだ)から発する「人香(ひとが)」と

呼ばれる「芳香(ほうこう)」でした。

 薫の君の身体から発する「芳香」は、

「百歩離れた場所からもわかるようだ」と

「匂宮(におうのみや)」の巻に記されています。

 下の原文の写真1行15字目から2行9字目まで。

源氏の君と匂宮の香り・匂宮8a

「まことに、百ぶ(歩)のほか(外)も、

かほ(香)里(り)ぬべき心ちしける」

 原文の現代語訳は次の通りです。

「薫の君の人香(ひとが)の芳香(ほうこう)は、

ほんとうに百歩離れた所まで香るように感じられる」

 薫の君の身体から発する芳香(ほうこう)は、

薫の君がどこにいてもわかるほどなので、

あえて草花のような「香物」を使用してはいません。

つまり、薫の君にとって、香水などは

不要ということです。下の原文の写真4行6字目

から6行末尾までにおいて、

そのことが記されております。

「ひと(人)にまさらんとつくろひ

用意すべかめるを、かくかたはなるまでうち

忍び立(たち)よ(寄)らんも、

 物のくま(隈)も志(し)るき

 ほのめきかくれあるましきに」


源氏の君と匂宮の香り・匂宮8a拡大

 原文の現代語訳は次の通りです。

「薫の君は、人香(ひとが)の芳香を漂わせているので、

 忍んで歩いてもどこにも隠れようがない。

 そのことをわずらわしいと思っているから、

 あえて香(こう)をたきしめることもない」

備考:唐櫃(からひつ)は、衣(ころも)

入れる大きな衣装箱のことです。







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最終更新日  2016年05月01日 04時21分46秒
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