ちょっと本を作っています
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発売日を考えよう月末は新刊ラッシュ皆さんはお気づきでないかも知れませんが、月末近くになると書籍の新刊ラッシュです。これには二つの理由があります。まず一つ目は、月末から月頭にかけてが一番本が売れる期間だからです。理由は単純です。給料日の後ってお財布のひもが緩むからです。雑誌はともかく書籍については25日過ぎが一番売れるという統計も出ています。二番目の理由が請求書の締め日の問題です。出版社と出版取次の伝票の多くが25日締めなのです。26日に納品すると清算時期が一ヶ月づれてしまいます。月末への集中は、これからも避けられない中小企業の多い出版社では、この1ヶ月の遅れは大変です。無理をしても25日までには納品しようと必死です。古い出版社は月二回締め日があります。10日と25日です。月二回締め日のある出版社だって本が一番売れる月末を狙います。締め日近くなると、出版取次の窓口は見本を抱えた出版社の人で埋め尽くされます。ところがここで別の問題も出てくるのです。月末の新刊ラッシュの弊害物流には限度というものがあります。一番物流の多い日に合わせて配送システムを組むわけにはいきません。出版点数の多い日には、一点当りの取扱い部数を削減せざるを得ません。月中の10日過ぎだと1000冊引き受けてもらえた本が締め日前なら500冊に削減です。それでも資金繰りに追われる出版社は、締め日直前に殺到します。出版取次からの新刊委託配本に依存している状況ではやむを得ない現象です。出版取次が配本部数を決め、各書店に配る方法を業界ではパターン配本と言います。ロングセラーが少なくなりました。売上げのほとんどが新刊の状況です。新刊の売上げだけで採算を考えるなら、締め日をめぐる攻防はこれからも続くでしょう。私の考える個人出版、一人出版社は逆に、締め日を避けたほうがいいと思っています。何も無理をして過当競争の中に飛び込む必要もありません。瞬間の売上げや資金繰りよりも、じっくりと売りつくす方法を考えるべきです。年間を通してみると同じことが発売日が毎月月末に集中するのと同じことが一年のサイクルでも見られます。「ニッパチ」と言われる二月と八月は確かに全ての商品の売上げが落ちるようです。さらに出版ではこの時期に本屋さんの棚卸が集中します。棚卸の前には商品の仕入れを少なくして在庫調査をやりやすいように調整します。だから二月と八月に余り仕入れてもらえないのもやむを得ません。問題はその後です。三月と九月です。新刊が集中します。最近は株式市場に上場する出版社も増えてきました。さらに決算書を見る銀行の目も厳しくなって来ました。決算月の三月と九月には売上げに下駄を履かせてでも数字を上げようとします。こんな時や年末の新年号の雑誌などが集中するときは、高みの見物です。自分で作る本の出版時期もいろいろと考えたほうがいいですね。行き当たりバッタリでもダメなのは言うまでもありません。明日の日記ではもう一度、書店事情を振り返って見たいと思います
Nov 20, 2004
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