14. The European Club




シンプルなクラブハウスに足を踏み入れると、気さくな受付嬢が迎えてくれた。ゴルフ場のロゴが入ったマーチャンダイズの品数も限られていて、本当にここが世界のトップ100にランクされているゴルフ場なのだろうか


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今日も最初のゲストのようで、誰かと組むには1時間以上待たねばならないとの事で、一人旅に出ることにした

コースの第一印象はリンクスだが、今まで回って来た南西部のコースとは異なり、ゴースなどの灌木があり、写真で見たポートラッシュやカウンティダウンに似た感じだろうか。木のあるなしで、これほどまでに雰囲気が違うという事を感じたと共に、4年前にラウンドした時にもアイルランドの西と東では同じリンクスでもタイプが違うと認識した事を改めて思い出した


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この日のグリーンはこの旅でラウンドしたどのコースよりも素晴らしい仕上がりだった。非常に早く、かつ、滑らかで自分が意図した通りに転がってくれる。微妙な距離も流し込むように打つと、気持ち良く入ってくれた

前日が森の中のコースだったので、海沿いを行くコースのその透明感と開放感がとても美しく思えた。そこここに写真を撮りたくなるスポットがあり、ゴルフそのものが疎かになりそうで困った


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このコースをデザインしたパット・ルディという人の事は知らなかったが、junhiroがこの先ラウンドしたい幾つかゴルフ場も設計しているようだ。実は今回の旅をするにあたり、ゴルフ場の選定の参考にした本がある。ケビン・マークハムという人が書いたアイルランドのゴルフ場のガイドブックで、350ほどあるというアイルランドのゴルフ場のほぼすべてを彼自身がラウンドし、8つの項目を点数化して100点満点で評価している。junhiroが今回の旅で回ったコースはディングルを除くどのコースも90点を超える高い評価を得ているが、その中でもヨーロピアンクラブは95点と最も高いポイントを得ている


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ホールを進むうちに枕木で壁を固めたバンカーに気づく。ドゥーンベグでミレに教わったようにパターで打ってみようかとも思ったが、適当なチャンスがなかった

枕木でバンカーの壁を固めると言えばピート・ダイが有名だが、彼のデザインからインスピレーションを得たのだろうか、あるいはこちらが本家だったりするのだろうか。垂直にそそり立つポットバンカーは、見るたびに手入れが大変そうだと思っていたが、枕木ならそうでもないのかも知れないと勝手に想像した


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ヨーロピアンクラブは18ホールではなく20ホールで1ラウンドだ。27でも36でもなく、18+2。7番と8番の間にパー3の7a、12番と13番の間にもパー3の13aが存在する。どちらもアプローチで寄せてパーを拾ったが18ホールのスコアカウント対象外なので、結局トータルのスコアに貢献する事はなかった


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このラウンドでは途中から風が強まり、Dooksの時ほどではないものの厳しいラウンドとなった。特に左から右に吹く風は、junhiroのスライス球を容赦なくヒースのブッシュに運び込みロストボールとなったり、深いラフからのショットを余儀なくされた


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この日も他にプレーする人の影はなく、一人旅が続いた。ホールを順調に消化しハーフターンを迎える頃になるとカートを引きながらこの旅の事を思い返しはじめていた。長い一人旅ゆえの不安もあったが、土地土地で素晴らしい人に出会い、景色に息を飲み、勇気を試されるショットと向き合い、夜はギネスやサイダーで喉を潤わした事を


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いよいよ残りも2ホールとなったが、この17番、18番でのゴルフは残念ながらグダグダになってしまった。それでも18番のグリーンにボールを乗せ、2つでカップに沈めた。最後はあっけないものだ

その時の率直な感想は「ようやく終わった」という安堵感だったように思う。他には誰もいない食堂でこの旅最後のアイリッシュシチューを食べながらラウンドの日々を思い返していた。窓からは今終えた18番ホールでピンフラッグがはためく様子が見えた

これだけ毎日歩いてゴルフをすると、さすがに疲労困憊。年を取って、毎日ゴルフ三昧という甘い夢を見ていたが、相当に体を鍛えておかないと、たまのラウンドすら覚束なくなりそうだ


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行程を終えた安堵感、疲労、旅が終わるセンチな気分が入り交じったまま車を北に向かって走らせた。空港近くのホテルにチェックインし荷物を降ろすと、すぐさまレンタカーを空港の営業所に返しにホテルを出た。総走行距離は1126キロ。よき相棒でいてくれたルノーのフルエンスに感謝だ

空港からダブリン市内の観光に向かい、ギネスの工場を訪ねて出来立てのギネスをいただこうと思っていたのだが、自分があまりに疲れている事に気づいた。また、明朝は4時過ぎにホテルをチェックアウトしなければ行けない事などが頭をかすめ、ホテルに戻りのんびりとクラブの手入れと、この旅で撮り貯めた写真の整理をすることにした


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この旅で共に雨に打たれ、風で転がりながらも頑張ってくれた9本のクラブたちとキャディバッグ、そしてトラベルケース


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