東奔並走。

東奔並走。

2018.08.14
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カテゴリ: 山歩き。
​基本、日帰りが前提とされる平ヶ岳。登山口である鷹ノ巣からはコースタイム約11~12時間、距離にして20キロを越えるハードコースだ。
山によってはいくつか登山道があり、時間を短縮できるルートもあるのだが、この山はこのロングコースしか記載されていない。一応、鷹ノ巣登山口のほかに中ノ岐登山口というのが地図には載っているのだが、そこへ至る時間等は示されていなかった。調べてみると銀山平にある宿泊施設を利用した人限定でその登山口まで送迎してくれるらしい(以前皇太子殿下が利用したことのあるルートらしく、プリンスルートとも言われている)。ただ、私道?専用道?のためか、一般的には通行止めになっている。でもここから登れば上り4時間、下り3時間とずいぶん時間短縮ができる。
宿泊せずに行く方法はないかとさらに調べてみると自転車で行ったレポがあった。僕らも過去には塩見岳や光岳など登山口まで自転車で行ったことはある。じゃあ、自転車だな、と思ったが今回はちょっと事情が違う。この林道は距離が非常に長い。レポによると高低差500mほどを2時間近くかけて行ったとのこと。自転車で2時間漕いでいくこと自体は問題はないのだが、路面がすべて舗装されていない、自転車が折り畳みの20インチ小径車であることを考えると躊躇されるものだった。反面、下りは30分程度と魅力あるもので悩ましかった。
当初の予定はそれでも自転車で行くつもりで、中ノ岐に至る林道に近い場所で車中泊を考えていたが、会津駒ケ岳から下山後、雨が降り続き、車中泊も厳しい状態になってきた(自転車は車外に置かないと寝れないし、そもそも雨では食事を作ることができない)。
momoと話し合った結果、車中泊はやめて小屋に宿泊することにした。また、自転車による時短ルートもやめて、本来のロングコースを辿ることにした。

宿泊したのは「清四郎小屋」。素泊りで、自炊エリアもある。山小屋と違うのは部屋が確保されているので睡眠に支障はないことだ。

清四郎小屋

翌朝、雨は止んで天気も回復しそうな様子だった。やはり自転車で、と頭をよぎったが、雨が降る可能性は完全には払拭できなかったのでそのまま鷹ノ巣登山口へ移動した。

さあ、ロングコースの始まりだ
​トイレはここだけ​

登山道は尾根伝いに進んでいくので、所々急坂であったり、トラロープを渡していたりするところがある。また、土がえぐれて滑りやすくもなっている。しかも、木道も設置されていたりするので転倒に注意しないといけない。
天候も雲は多いので遠くは見通せないが、太陽の日差しが体に堪えるようになってきた。

​ひたすら尾根伝いを進む​
​途中木道があるが、滑りやすいので要注意​


最初に台倉清水という水場に出る。ここで給水しようと行ってみると、まずその場所に行くのも大変で藪の中斜面を下りないといけない。着いたはいいが、どこが水場やねん!と叫びたくなる場所だった。水はチョロチョロっと流れているがここで給水は厳しいなあということでパスをした。

​最初の水場だが​
​この先下ったところにあるのは、失望だった​

次の水場である白沢清水という場所に期待を寄せて進むことにした。1時間もかからずに到着したが、さらにここはダメだった。これを水場と呼んでいいのか、きれいな水はどこ?というような場所だった。当然給水できるはずもなく、失望感か漂った。

​白沢清水、期待ができそうな水場だったが​
​ありえん!ただの水溜りだ​

ルートは樹林帯の中を進むもので、湿度も高く、気温も上がってきていたため、発汗量が多くなり必然的に水を摂る量も多くなる。この2か所での給水を考えていただけに、それができないとなると持参の水を飲む量も減らさないといけない。
行動食も口の中の水分があまりないため喉を通りにくく、次第に食べる回数も減ってしまった。
こうした状況が僕自身の調子を狂わせ始め、次第にバテてきた。発汗量の多さと呼吸が激しくなっている。いつも登りでは僕が先行するのだが、こんな調子のため代わりにmomoが先を行くようになったが、ついていくのも一苦労だった。momoは特に調子を崩すことなくマイペースで進んでいたのが不思議だった。

​徐々にmomoに後れを取り出す​

それでも頂上まで40分のところにある姫ノ池まで何とか到着。そこで一旦休憩をとったが、手足にしびれがあり、しばらく動けなかった。そこで、補給食をとり、水分も取ってさあ、最後のひとふんばり、と立ち上がったところ吐き気に襲われた。
脱水症状なのか、熱中症なのか、いずれにしても普通ではない。このままではマズいと思い、さらに水分をとって休むと次第に体の不調も収まってきた(水の残量が気になるがやむを得ない)。

​姫ノ池に到着、しばらく動けず​
​平ヶ岳山頂もきれいに見える​

最後の水場がこの近くにある。ここに最後の望みを託し山頂は後回しにして水場へ進むことにした。途中すれ違った人に聞いてみると、水の流れはあるとのこと。よかった、助かった。ホッとした気分となり、とにかく水場を目指した。とはいえ、その水の流れは細い。ただ、これまでの2か所とは全く異なり、補給は十分できる。まずは、手で何回か水をすくって飲んでみた。ようやく辿り着いた水場だけにとても美味く、生き返った感じがした。ここでしっかりと給水すると、先ほどの体調不良は吹っ飛んだかのようにいつもの調子が戻った。脱水症状だったのかなあ。水は本当に大切だと痛感した。

​姫ノ池直下にある最後の希望の水場。ここは大丈夫、美味かった!​

この後、たまご石を目指した。丸い石が、平らな石の上に乗っているものを想像していたが、一体となっているもので、一つの岩の上部が風化して丸くなっているようだった。
​風化が進んでいるので触らないでとのこと​

ようやく平ヶ岳山頂に到着。周りは湿原が広がっている。丘のような感じだ。三角点のある場所は木々に囲まれており、余り感動のないところだった。

​ひっそりとした頂上​

ここまでの時間は途中バテてしまったこと、その分休憩時間が増えたのと、たまご石を先に見に行ったこともあり、6時間半ほどかかってしまった。

しばらく休憩して下山を開始。12時を過ぎていたので17時までには戻りたいという思いで歩きだした。下りはmomoが先行することが多く、しかも上りと違って僕から見れば結構ハイペースで下りていく(momoは上りが遅い)。僕は膝と足の爪に不安を抱えているのであまりハイペースで下りていけない。それでも調子は悪くなかったのでmomoについて行ったが、台倉清水辺りで再び調子が下がってき始めた(バテたか)。
ペースを落としながらもヤセ尾根を下りていく。先を見下ろすと道がずっと続いているのがよくわかる。長いわ。
上りでは見えなかった燧ケ岳がこの頃になってその姿を見せてくれていた。

​燧ケ岳​を見ながら下りていく

下山は約3時間50分。多少前半の疲れは残っていたとはいえ、まあ早く戻ってこられた。トータル10時間40分。
ホンマきつかった。

by モモ夫



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Last updated  2018.08.18 10:38:37
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