5年前の今日、寝ていたら夜中に家がなんだか
騒がしくて目が覚めた。
リビングに下りていくとテレビの前に親がいた。

「アメリカで飛行機がビルに突っ込んだんだって。」

私は眠たかったし、何よりもその光景があまりに
現実からかけ離れすぎていて、
テレビをしばらくぼーっと眺めてから、また部屋に戻って眠った。

次の朝、テレビで昨夜のあの映像の意味を知った。

アメリカでのテロ事件から5年。

高校生だった私は、あの日何を思ったのか。
正直よく覚えていない。
学校で、先生達が特に何も言う事なく
いつも通りに授業が進められたことに少し違和感を
持ったことくらいしか覚えていない。

日本は、あの時も今も変わらず平和で、
でも確かにあの日を境に世界では何かが変わった。

テロというものは5年前の9月１１日よりもずっと前から
存在していたのだけれど、
私はそれまでその意味をちゃんと知ろうともしていなかった。
だけど、この事件からイラク戦争を初めとして
沢山のことが起こって、
初めてリアルタイムで憎悪が憎悪を生んでいく様子を
電波を通じて遠く離れた日本から見た。

それから本や新聞で色んな事を調べてみたけれど、
結局考えれば考えるほどよくわからなくなった。

どんなに私がテロとか戦争とかについて
「こうあるべきだ」と意見を持ったとしても、
それが正しいのか正しくないのかなんて絶対
わからなくて、
たぶんそれについて考える人の数だけ主張があって、
だからこそ「調和」だったり「平和」だったりを生み出す事の
難しさを本当に痛感する。

こうあるべきだと色んな人が唱え、意見を戦わせ、
だけどそうすればするほどに答えは埋もれ、
一番シンプルな事であるはずの「共に生きる」という事が
出来なくなっていくような気がする。

そしてまた、こういう事を
平和な世の中しか知らない私のような人間が
考えるという事に対してのジレンマも正直ある。

でも、やっぱり考えないことには何も始まらない。
今、世界は決して平和ではないけれど、
みんながみんな必死で考えている事には変わりない。
自分が、家族が、国民が、民族が、存在していく為の
それぞれの思いや主張。

願っていることは１つなのに、どうして叶わないのだろうか。

どうして罪のない人達が死ななくてはならないのか。

だけど、小さなわたしが、この日本で平和の為に出来ることって何なのだろう。

毎年9月11日は、そう問いかけると共に無力な自分を痛感するしかない瞬間でもある。

でも。
小さいけれど、やっぱり歌うことで出来ることなら少しはあるかもしれない。
誰かの心の中に「平和」を生み出す、ということ。

自分が歌うことの使命をまた１つ感じました。