この曲はオイラの知っている数あるポップ/ロック・ミュージックの中でも、おそらくいちばん好きでいちばん数多く聴いた曲だ。ベースギターでいちばん頻繁に弾いた曲もこれだなあ。永遠に解き明かせない謎のような単純なメロディと歌詞。キム・ディールとブラック・フランシスの”♪This Monkey Gone to Heaven…”のコーラスは何べん聴いても気が遠くなるくらい悲しくて美しい。死ぬときにはこれを聴きながら死にたい、というような名曲である。
2.All Over the World (“Bossanova”収録) 『Monkey Gone to Heaven』がサル(人間)が天国に往くの歌なら、『All Over the World』は天使(人間)が天から地に落ちる歌だ。テーマが『世界の終わりと諦念』というのは『Monkey…』と一緒か。80年代の終わりにアメリカで栄えた「Blind Melon」とか「Weezer」だの「REM」だのいった数々のカレッジ・ロックの中でも、ブラック・フランシスらしい世界に対する怨念と諦念とが見事に表現された名曲である。
3.Into the White(ライブのみ) (“Death to the Pixies”収録) キム・ディールがリード・ボーカルを担当している曲というと、Surfer Rosa 収録の『Gigantic』とか『Tony’s Theme』いったキャッチーな曲が思い浮かぶが、ライブ版に収録されているこの曲はベロベロのおサイケなベースで、ギターもヘビー。これがキムの愛らしいボーカルと自然に絡む、不思議な名曲である。
4.In Heaven (デモのみ) (“Pixies at BBC”収録) 映画「イレイザーヘッド」を見たことがある人なら、主人公が幻想する「レジエーターの中に住む女性」が登場するたびにバックに流れる「♪In heave, everything is fine…」というあの曲を覚えているに違いない。これはピクシーズがあの曲をカバーしたものである。ブラック・フランシスが絶叫する曲は数々あれど、その壮絶さでこれにまさる曲はない。ブラック・フランシスの絶望と諦念が錯綜する痛々しい名曲である。
5. a) Here Comes Your Man(“Doolittle”収録)あるいは b) Caribou(“Come on Pilgrims”収録)または c) Rock Music(“Bossanova”収録) 5位はなかなか決め難い。a)はガールフレンドとの甘い思い出と交錯するし、b)はサビの「♪Repent(悔い改めよ)!」がジーンとくるし、c)はベースで弾くとハイになれる。