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奏宇 @ Re[1]:元旦からさんタクを・・・(01/01) t_akutinさん >あ、ダビして送りますね!…
2005年07月23日
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カテゴリ: カナウ館図書室
傑作小説 ピンポン接待術 清水義範 1999.2 祥伝社を読みました。1995年四六判で出た「体に悪いことしてますか」 (うーん、すごいタイトル。だから改題されたのでしょうか)の文庫版。傑作小説と銘打ってあるだけあり、粒よりのユーモア・スポーツ短編集です。
印象的なのを挙げます。

「体に悪いことしてますか」
スポーツ生番組にゲストとしてよばれ、スポーツの効用を説くはずだったスポーツ医学の権威、島岡教授は、初めてのテレビ出演に緊張しつつもしっかりと話の準備をしていった。だがしかし、番組スタッフ、キャスターのあまりにいいかげんな姿勢にプツッとキれ、本番中に「スポーツがいかに体に悪いか」をとうとうとなめらかに語りだす。教授なだけに事例を挙げつつ、キャスターのフォローもことごとくくつがえし・・・  
これ、スポーツ好きな人が見たらどう思うんだろう? と思ったけど、極端なだけで、うそでもないからね。身近なスポーツ好きに読ませたら、「極端だねー」と笑ってたんで、笑えるのでしょう。いやぁ、ここまで滑らかに言われちゃうと反論もできないね、の面白小説。

「空きカンと青空」
たぶん昭和30年代くらいの話であろう。要領が悪くいつもカン蹴りでは鬼が続いてしまうミツルの前に、カン蹴りのプロ(?)タカシがあらわれ、カン蹴りの特訓が始まる・・・
私はカン蹴りの経験があまりないのだが、もしやるんなら「なるほど」のコツがのってます。なるほどねー、何事にも方法論ってあるんだねぇと感心した話です。


独立して間もない小国ガォンギレのたった一人のオリンピック選手として大会に臨む短距離走、ハードルのクムラ・クムラキンピル。自分ではよく走れていると思うのだが…
なんというのこれこそ正しい(という言い方もなんだが)オリンピック精神というんじゃないかなぁというような話です。
普段国では胡椒畑で働いているクムラ・クムラキンピルは、選手村での快適な暮らしを楽しみます。でも、予選で他国の選手に勝てず自信を失う彼を、役員兼通訳として同行したケモラス・クンデラパロは必死にはげまします。彼もそれに応えるよう、そして自分のため、国のために一所懸命がんばるわけです。この話の最後にはジーンとしたな。「やったよ。やったよ。やったよ。やったよ。」 抱き合い踊り狂うふたり。
まったく卑屈なところがなくて、本当に良い話でした。

清水氏の小説は、皮肉や風刺に満ちたものも多いのだが、嫌味がなく「なるほどー」と楽しめてしまう。大体において。
それで、私はこの人の文を「なんか人の良い文章」とよく感じます。

そういえば、清水氏の 秘湯中の秘湯 の硫酸入り温泉に、ターザンのように綱につかまって入る、と以前このブログにかいたのですが、この間チラッと読み返したら少し勘違いでした。硫酸入りじゃなく、底なし温泉の方だったみたい。全部ちゃんと読み返そう。近いうちに。





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最終更新日  2005年07月26日 01時03分56秒
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