烏 森 神 社

2006年08月13日
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今日は旧暦のお盆。

「盆」は、もとは「非常な苦しみ」という意味の梵語「盂蘭盆会<うらぼんえ>」を略したものです。「盆」の正式名称「盂蘭盆会<うらぼんえ>」とは、インドのサンスクリット語の『ウラバンナ-逆さ吊り』を漢字で音写ししたもので、『逆さまに吊り下げられるような苦しみにあっている人を救い法要』と言う意味なのです。
お釈迦様の弟子の一人、目連尊者が母を救う話に由来しています。
古代インドから中国を経て、飛鳥時代に日本に伝わったと言われていますが、盆に先祖の霊がこの世に帰ってくるという考え方は日本独特のもので、日本の古代信仰や農耕行事と仏教が結びついたものだといわれています。
わが国では、推古天皇の14年(606年)に、はじめてお盆の行事が行われたと伝えられています。
「日本書紀」の中に、推古天皇14年に寺院で4月8日と7月15日に斎(とき 僧の食事)を設けたと出ています。
4月8日はお釈迦さまの誕生日で花祭りの日です。
7月15日は目蓮尊者が母親を救済した日です。この両日に、すでに推古天皇の時代、寺院の行事としての供養が行われていたことが、文献に残されているわけです。

当時は仏教が大いに台頭した時代であると同時に、日本古来の死者儀礼の伝統が生きている時代でした。
死者の霊は、やはり近くの山の上にいてくれるか、あるいは自然と合体してくれていると考えられていました。その霊を迎える儀式が孟蘭盆会なのです。
こうした考えは、次第に江戸時代以後、民衆の中に根をおろし、全国各地で盛んになっていきました。
お盆の行事は、毎年7月13日から16日までの4日間にわたって行われます。
現在では全国的には一か月遅れの8月13日から行うところが多く、月遅れのお盆というわけです。
日本各地で行われるお盆の行事は、各地の風習などが加わったり、宗派による違いなどによってさまざまですが、一般的に先祖の霊が帰ってくると考えられています。
日本のお盆行事は、違いはあるものの、家族や一族があつまりご先祖を供養し、亡くなられた人を偲び、今日ある自分をかえりみるという行事として行なわれることに違いはありません。
仏教的行事の意味合いが強いですし、神道(神社)とは直接関わりがないように思われますが、日本古来の祖先を大事にする心、自分を省みる・・・古来の日本人の思想は神道的思考と通ずることが多いのではないかと思われます。
「お盆」は家族や一族が集まり、故人の思い出を語り合うことは大変意義があり、千古の昔から変わらない日本独特の素晴らしい風習です。
「お盆」には迎え火や送り火で、祖先が行き来する道筋を照らし、お盆の間は、供物や盆踊りなどで祖先の霊を慰めます。
こうしたお盆の行事から、京都の「大文字焼き」や徳島の「阿波踊り」九州北部での「精霊流し」があります。
京都大文字花火
また、夏祭りのメインイベントの打ち上げ花火は元来、精霊送りの行事であったとされています。

<お盆の行事>13日の夕方に迎え火を焚き、先祖の霊を迎えます。期間中には僧侶を招きお経や飲食の供養をします。16日の夕方、送り火を焚き、御先祖さまにお帰りいただきます。

~「薮入り<やぶいり>」について~
農耕民族の習慣と仏教が混じり合った日本のお盆には、先祖の霊を慰め、秋の豊穣をお願いする気持ちが込められています。
古くは一年に二回、8月16日と1月16日だけは、「薮入り」といって里帰りが許される習慣がありました。

十に満たないあどけない子供のことですから、辛い丁稚奉公<でっちぼうこう>から解放され親元へ帰って、里心が付いたら駄目という配慮から薮入りを与えなかったとも言います。
武家奉公の女中さんは一日か三日、あるいは七日の暇を許されました。
また、転じて奥さん(嫁)が実家に帰る事も「薮入り」と言っていました。
当時、「薮入り」以外は簡単に家に帰ることが出来ませんでした。
このように、「薮入り」の嫁いだり働きに出て家を離れた人々も故郷に戻って来られるのが「お盆」の期間だったのです。
レジャーなどない昔は、懐かしい家で日頃の垢を流し、幼なじみと盆踊りに興じてひとときの骨休めをしたのです。
滅多に帰れないからこその「薮入り」で、今ではそのような制度や境遇の方がとても少なくなったのと、お盆休みを利用して旅行などに出掛けたりする人も増え、「薮入り」という言葉は日常会話に上らない言葉になってしまいました。






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最終更新日  2006年08月13日 23時19分31秒
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