


ヴェルナー・シーボルト著「シーボルト、波瀾と生涯」は。遠い親戚で著名なドイツ人の作家が書いている。自然保護のパイオニア的存在と略歴にはある。シーボルト家といってもフィリップ・フランツ・フォン・シーボルトはヴェルツブルク系らしい。
欧州の人に紹介している本で、日本人から見れば、どうも何を目的にしているのかよく判らないところがある。当時の出島から江戸への旅が描かれている。謂わば旅行記のようなものだ。しかも本人ではなく作家が想像しながら書いているのだろう。シーボルトと教養ある日本人たちの間におけるお互いを信頼する雰囲気を描きたかったのだろうか。
シーボルトは、オランダ領インド政庁の商館医なのだ。当時の日本人には日記という概念に対する捉え方が偏っており、現象や思想を整理することが出来ないでいるように思える。シーボルトは、自分の仕事を心得ており、日本人の生活様式を記そうとしたのだろう。これはある意味でスパイである。日本に布教に来た宣教師たちも、謂わば同じ役割を担ってもいただろう。彼らは物見遊山に来たのではない。
どれだけの国力をもつ国家であるかを知ろうとしただろう。どんなシステムで動いているのか知ろうとしたのだ。書かれていることは日本が頑固で頑迷な国であり、且つ底なしの無防備な組織だということだろう。多くの日本人は貧しく、おしなべてみすぼらしいという印象をもったことだろう。それはアジアに対する共通するヨーロッパ人の認識でもあっただろう。
遠来のオランダ人に、参勤交代と同じようなことをさせる幕府も幕府だろうが。それは、まるで動物園だが、オリにはいっていたのはどちらだろうか?5ヶ月間の江戸への江戸参府の旅だった。シーボルトの日本研究は、門人たちや江戸の学者たちの協力で進んだといえる。そして動物標本や民俗学的な収集がされた。そして、有名なシーボルト事件が起きる。