そして今日も日は過ぎる

2003/11/01
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カテゴリ: 映画野郎Bチーム
 キャリーは可愛い。

 「ますます乱視が進んでいるんじゃないの?本ばっかりよんでるから。」
 「失礼な。本気で言ってるんだ。」
 「頭まで錯乱してきたか。勉強しすぎじゃないの?」
 いや、冗談抜きで、シシー・スペイセクのキャリーは可愛いと思います。そりゃクライマックスのあたりは別ですけどね(苦笑)。

 と言うわけで今日はDVD『キャリー 特別編』ついて。
 ホラー映画の金字塔とされるこの『キャリー』は、また青春映画でもあり悲劇でもあります。
 原作は最後の展開が凄まじすぎて、悲劇性よりスペクタクルのほうが印象に残るのですが、事件の結末での悲しい余韻は映画のほうが上のような気がします。

 ちなみに私は、映画を見る前からあのラストシーンがどうなるのか知っていたのですが、それなのにマジでびびりました。タイミング・音楽ともばっちりですね、あれ・・・。
 ちなみにDVDには出演者・監督などへの公開25年後のインタビューが特典としてついているのですが、あのラスト、シシーが自分でやったそうです。

 役者でいえばキャリーを演じるシシー・スペイセクは顔の角度や表情で、可愛くも見え、また不気味にも見えるため、キャリー役は実際適任だったと思います。演技も凄いし。
 そのほかの役者ではジョン・トラボルタ、エイミー・アーヴィング、ナンシー・アレン、ウィリアム・カットといったこの映画以降台頭する役者達に、パイパー・ローリーと言ったベテランががっちりと脇を固めています。
 ですが特筆すべきはパイパー・ローリーですね。
 とにかく宗教マニアックの母親は存在感が凄すぎです。おまけにパイパー・ローリーの鬼気迫る演技。パイパーとシシーが二人だけで出ているシーンの緊迫感はただ事ではない。
 ちなみに、映画でのキャリーの母親ですが、パイパー・ローリーなくしてはあそこまでのキャラクターにならなかったでしょう。監督すらも考えなかったアイデアをパイパー自身が出しています。
 例えば、キャリーのピンクのドレスを見てキャリーの母が「赤ね」と呟くシーンがあります。原作ではキャリーが赤いドレスを着ているのですが、映画にあたってはキャリーのドレスをピンクに変更。脚本の方は修正することを忘れてそのままになっていたのですが、そのことを知りながらあえて、パイパーはこのセリフを言ったそうです。
 監督はカットして修正しようとしたようですが、パイパーはこのセリフにこだわりました。これにより、偏執的で妄想的な母親の内面があらわされる、パイパーはそう考えたのでしょう。『彼女には赤に見えているのよ』とパイパーが語っていました。結果は、周知の如く。パイパー・ローリーは本当に凄いです。

 原作と映画の違いについては良く知られていることですが、触れてみたいと思います。
 原作のキャリーは小柄で太っていて、嫌悪感をそそるような行動をする女の子になっています。実際はもともと綺麗な子だったのですが、家庭環境や虐めのストレスからやけ食いしてそうなってしまったと。

 また、実際映画でも採用しようとしたものの、結局採用しなかったシーンがあります。キャリーの超能力が発現するきっかけとなった三歳ころの事件。
 キャリーの隣の家で水着姿で日光浴をしている女性と話しているキャリーを見つけ、母親が激怒しキャリーを虐待。これに耐えかねたキャリーは凄まじいTK能力を発揮して石を降らせるシーン。
 映画では石を降らせるのが巧くいかなくなり結局カットされてしまいましたが、原作でのこのシーンは状況の凄まじさがまざまざと描写されていて本当に凄いです。
 CAAAAARIIIEEEE!!!!
 母親がこの世のものとも思えぬ絶叫を上げるこのシーン・・・パイパー・ローリーの演技で見てみたかったものですね。小説でも絶句モノの凄まじさでしたから。

 また、原作では母親との対決の後に、元凶者と対峙するのですが、映画では逆。ラストは母親。これは映画のほうが悲しい終わり方になったので、個人的には映画のほうが好きですね。
 最後に構成。
 映画と異なり、原作ではチェンバレン事件をホワイト委員会が解明していくというシーンが加わっています。
 スーをはじめとした数少ない生存者達から証言を聞きだし、事件の真相を色々と触れていくという構成になっているのです。
 また映画とは違った意味でぞっとする結末が、原作にはあります。

 この特別編ではインタビューなどが特典として入っているのですが、これが非常に興味深い内容です。『キャスティング』『撮影秘話』『ミュージカル・キャリー』の三つのインタビューに、ギャラリー、それに予告編が映像特典。またブックレットもついています(こちらはそれほど大したものではありませんが)。
 音質も画質もいいし、特典も良いしで値段も3980円と非常に手ごろ。かなりお買い得のDVDと言えると思います。
 キャリーファンには特別編の方をお勧めしたいと思っています。





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Last updated  2004/12/23 11:37:30 AM
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剣竜 @ パク・チャヌク監督作品 ocobaさんへ その2つの映画,評価高いよ…
ocoba@ Re:殺人の追憶(03/04) 韓国映画では、パク・チャヌク監督の「オ…
剣竜 @ Re[3]:投票義務制の問題点(11/10) サムスさんへ いえいえあまりお役に立てず…
サムス@ Re[2]:投票義務制の問題点(11/10) 剣竜さんへ ありがとうございます!
剣竜 @ Re:投票義務制の問題点(11/10) ありがとうございます。 随分昔に書いたの…

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