そして今日も日は過ぎる

2007/03/15
XML
テーマ: 司法全般(518)
カテゴリ: 司法関係覚書
 利息制限法によって、利率の上限は定められています。

 元本が10万円以上100万円未満 年18%
 元本が100万円以上         年15%
 ちなみに遅延損害金についても、上記の各割合の1.46倍までの利率が上限となります。
 元本が10万円未満          年29.2%
 元本が10万円以上100万円未満 年26.28%
 元本が100万円以上         年21.9%

 しかし、この利息制限法には強制力がなく、上限を超えた利息の取得を図る者を止めることは出来ませんでした。

 出資法には、業として金銭の貸付を行う者が年29.2%を越える利息の契約をした時には、5年以下の懲役若しくは千万円以下の罰金(法人の場合は3千万円以下の罰金)に処し、又はこれを併科する(出資法5条2項、9条1項1号)として、上限を超えた利息を取得する一定の者を処罰すると規定され、強制力が与えられています。
 しかしながら、利息制限法の利率の上限(年15%~年20%)と、出資法において処罰されない利率の上限(年29.2%)には差が生じています。
 このような、利息制限法と出資法の上限利率の狭間の利率(年15乃至20%~年29.2%の間)は、利息の制限を超えているものの処罰されない範囲の利率であることから、一般的にグレーゾーン金利と呼ばれています。大手消費者金融会社などは、このグレーゾーン金利の範囲内(主として上限の29.2%)で貸付を行っています。

 このようなグレーゾーン金利の存在は、長年批判の対象となってきました。グレーゾーン金利の存在によって、資金繰りに窮して次から次へと返済のために他の消費者金融からの借入を続け、複数消費者金融に債務を抱える多重債務者が増加したと言われていたのです。これに伴い、自己破産も大幅に増えているとされていました。
 そこで、A:グレーゾーン金利を撤廃して貸金業者の上限金利を利息制限法の利率に統一し、B:みなし弁済規定を撤廃し、C:その他の貸金業者の業務の適正化を図る規制が定められた、貸金業の規制等に関する法律などの一部を改正する法律案が可決成立し、平成18年12月20日に公布されました。
 今後は大手消費者金融などでも貸金業法・利息制限法に従った年15~20%の利息で貸し付けることになると思われます。

 さて、以上の規制強化の動きを歓迎する声も多い中で、今後について危惧する声も聞かれます。
 これまで大手消費者金融は、グレーゾーン金利で貸し付けているかわりに借用審査が大変甘かったのですが、今後は審査が厳しくなることが予想されます。
 すると、消費者金融にも借入出来なくなる人が増える可能性が出て来ます。
 こうした方々が最後に頼るのはどこか?日々の生活も含め、自転車操業で動いている人は後先のことを考えている余裕がありません。
 そこで、どこでもいいからお金を貸してくれるところに行くわけです。そう、違法な利率で貸し付けるヤミ金融。トイチ(10日で1割、年365%)というのがかつては一般的でしたが、現在ではトゴ(10日で5割、年1825%)、トジュウ(10日で10割、年3650%!)などもざらにあるというヤミ金。

 規制強化後の、今後の状況が注目されます。

 以上、テキストの改訂の仕事で、グレーゾーン金利の話題が出て来たので書いてみました^^





お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

Last updated  2007/03/15 07:11:51 PM
コメント(6) | コメントを書く
[司法関係覚書] カテゴリの最新記事


【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! -- / --
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x
X

Keyword Search

▼キーワード検索

Comments

剣竜 @ パク・チャヌク監督作品 ocobaさんへ その2つの映画,評価高いよ…
ocoba@ Re:殺人の追憶(03/04) 韓国映画では、パク・チャヌク監督の「オ…
剣竜 @ Re[3]:投票義務制の問題点(11/10) サムスさんへ いえいえあまりお役に立てず…
サムス@ Re[2]:投票義務制の問題点(11/10) 剣竜さんへ ありがとうございます!
剣竜 @ Re:投票義務制の問題点(11/10) ありがとうございます。 随分昔に書いたの…

© Rakuten Group, Inc.
X
Mobilize your Site
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: