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cozycoach @ Re:徳川忠長 兄家光の苦悩、将軍家の悲劇(感想)(11/20) いつも興味深い書物のまとめ・ご意見など…
2021.12.04
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カテゴリ: カテゴリ未分類

 ”職業としてのシネマ”(2021年5月 集英社刊 髙野 てるみ著)を読みました。

 1980年代以降、数々の配給作品のヒットでミニシアター・ブームをつくりあげた立役者の一人である著者が、配給、バイヤー、宣伝等、現場におけるエピソードを交え、仕事の難しさ、面白さ、やりがいを伝えています。

 配給業者と興行者との間に上映料の契約が結ばれますが,その値段は作品の興行価値や劇場の等級、すなわち,そのキャパシティや設備や入場料や所在地域,そして上映期日や上映期間などによって決定されます。

 映画配給は外国の映画の日本国内での上映権利を買いつけ、買いつけた後、上映する映画館を決め、宣伝する仕事です。

 外国の映画会社との交渉になりますので、外国語の能力が問われる場合もあります。

 一人前になると、カンヌやベニスなど、華やかな映画祭に参加することもあります。

 キャリアの形成は配給会社に入ってキャリアをスタートするのが一般的ですが、経験を積んだ後に自分で会社を起こしたり、フリーで活躍する人もいます。

 現在のインディペンデント系の配給会社は、個人単位で始められたものが多いですが、独立には相当な知識と経験が必要です。

 本書は業界で働きたい人のための映画業界入門書である一方、ミニシアター・ブーム時代の舞台裏が余すところなく明かされていて興味深い。

 髙野てるみさんは1948年東京生まれの映画プロデューサー、エデイトリアル・プロデユーサー、シネマ・エッセイストです。

 美大卒業後、新聞記者を経てフリーライターになり、女性誌を中心に活動し、エディターとしても関わりました。

 ファッション、音楽、映画を主軸に、各ジャンルで活躍中のオピニオン・リーダーのインタビューを得意としてきました。

 1985年に広告や雑誌の企画制作をする株式会社ティー・ピーオーを設立しました。

 大手企業PR誌、企業記事体広告などを中心に、宣伝業務、CF 制作、イベント,講演、セミナーの企画・制作と、幅広く活動してきました。

 1987年にフランス映画を中心としたヨーロッパ映画の輸入配給会社、巴里映画を設立しました。

 カンヌ映画祭などで話題となった映画作品を買いつけ、話題作りをして世に出す仕事を進めてきました。

 これまでに、「テレーズ」「ギャルソン!」「サム・サフィ」「ミルクのお値段」「パリ猫ディノの夜」などフランス映画を中心に配給・製作を手がけてきました。

 ミニシアター系映画興行の新たなマーケットを開拓し、その後もアート作品や文化度の高い作品を世に送り出しています。

 2007年4月より、文京学院大学で”アニメーション論”の特別講師も務めています。

 株式会社ティー・ピーオーは、東京都千代田区に本店のある、広告・雑誌・書籍の綜合企画制作会社です。

 雑誌「アンアン」「クロワッサン」「オリーブ」「とらばーゆ」「マリ・クレール」「流行通信」など、1980年代をリードしてきた多くの女性誌で、ファッション、食、旅、著名人インタビューの企画提案、制作などを行ってきました。

 企業タイアップ編集企画制作や、雑誌作りのノウハウや、有名人のネットワークを活かした企業誌も企画制作しています。

 また、各界で活躍中の著名人の方々の著作の企画プロデュースもし、出版・書籍の取材から執筆、編集協力も手がけています。

 株式会社巴里映画は、東京都目黒区にあるフランス映画を中心としたヨ ーロッパ映画の輸入配給会社です。

 日本映画の海外紹介、輸出、映画の共同製作、映画関係印刷物の企画編集、映画人の育成なども行っています。

 1992年に、日仏合作作品、ヴィルジニ・テブネ監督「サム・サフィ」では、日本側のプロデューサーとなり、数多くのヒットメーキングの技を発揮しました。

 新人監督作品の発掘にも注力し、ニュージーランド映画などを配給しています。

 映画配給は映画産業における業務部門の一つで、単に配給と呼び、配給業務を行う企業を映画配給会社や配給会社と呼びます。

 映画作品を完成させるまでが製作、エンドユーザに向けて上映業務・接客業務を行うのが興行であり、その両部門を結ぶのが映画配給です。

 経済活動としてみると生産者から商品を仕入れ、小売業者に販売する卸売業にあたります。

 世界各国において、その国内で製作された映画は、例外を除いて第一に国内配給が行われます。

 製作者側と配給会社との間で、配給契約を結ぶことでこれが実現します。

 次に、国外での配給については、製作者側が国外配給権を国内での配給会社や国外セールスを行う会社に委託する場合と、製作者側が直接セールス窓口となる場合があります。

 一方、国外の作品に関して、配給会社は、自国内での配給権を買い付けて、国内での配給業務を行います。

 世界各地で催される映画祭や映画見本市にバイヤーを派遣し、所望の作品を見つけて権利者と交渉します。

 配給会社が買い付ける権利が、劇場公開権のほか、テレビ放映権、ビデオグラム化権といった2次・3次利用を含むオールライツである場合、配給会社が自国内のテレビ局やビデオメーカーにそれらの権利をセールスすることも可能です。

 自国内に限らず、アジア、ヨーロッパ、北米といったエリアでの権利を含めて、買い付けることもあり、その場合はそれ相応の資金が必要です。

 映画のセールスとは、配給会社が興行会社や個別の映画館に対して行う営業業務を指します。

 通常は専門の配給会社が担当しますが、映画製作者自身が配給も手掛ける自主配給というケースもあります。

 映画配給会社の仕事は大きく分けて3つあり、すでに制作されているもしくはこれから制作をする映画を買い付けること、買い付けた映画を上映する映画館を確保すること(ブッキング=営業)、映画をヒットさせるために宣伝を行うことです。

 映画だけでなく、DVDや主題歌などでも収益をあげなければならないのが映画配給会社ですので、宣伝は非常に大事な仕事になります。

 内容は、タイアップ、マーチャンダイジング、前売りチケットの管理、試写会やプレス試写会、完成披露記者試写会や会見、制作発表記者会見、主演男優や女優が来日したときのイベントや記者会見、舞台挨拶などなどです。

 さらに、TVやラジオ、新聞や雑誌、ネットなどでの宣伝など、映画配給会社の仕事は多岐に渡っています。

 著者が手がけてきたのは、映画ビジネス、洋画配給、そしてミニシアターで上映する単館系洋画配給ビジネスという仕事です。

 「買い付け」た映画作品を劇場にブッキングして、観客となる皆さんに観ていただきます。

 映画を配給するからには、多くの方々に知っていただく必要があり、宣伝という大仕事も手がけます。

 一度でもヒットを出そうものなら、次のヒットを願って深みにハマつていくことは否めません。

 ヒットとは、多くのお客さんに観に来ていただき、その作品を面白いと言ってもらうことを狙うのであって、お金持ちになるために邁進するというモチベーションとは少し違います。

 お金儲けを狙うなら、これほど手がかかる面倒なことには関わらないほうがいいです。

 そうして、あくまで公開される劇場がハレの場で、そこでは配給プロデューサーは不可視の存在であり、あくまで黒子です。

 前作の「映画配給プロデューサーになる!」が出版されて、かなりの時間が経過しましたが、仕事内容の変化がほとんどないのには驚くばかりだそうです。

 AIに取って代わられそうもない仕事かもしれません。

 映画を観て楽しむ側からは、常に映画は、「キレイごと」「イイとこどり」で語られています。

 大学で教えていたのは映画論であり、その素晴らしさを広く世に伝えるビジネスです。

 配給の仕事については、自分から触れたことはありませんし、尋ねられもしませんでした。

 世の中で映画のことが語られる場合はキレイごとであり、まずは、スターについて、カリスマ的監督について話題にのぼります。

 完成した映画は、多くの人々の力の結晶で情熱の賜物。素晴らしいと感じられるように、感動できるように作られているのですから、それが観客側から観た映画というものなのですから、それで良いのです。

 前もって「盛られた」宣伝によって、すでにかなり「洗脳」されて劇場へと誘われていることに気づいてもいないはずです。

 だからこそ、配給という仕事、宣伝という仕事は、表立つ必要がなくていいのです。

 著者は、影の存在であるところに、ささやかな誇りを感じてもいるといいます。

 しかし、自分が好きな映画は、配給会社に就職しても配給できるとは限りませんので、映画が好きなら肥給の仕事はしないほうがいいといいます。

 配給の仕事には宣伝の仕事がカップリングされています。

 映画を買い付けてから、劇場公開までの間、ほぼこの業務は続きます。

 映画文化、芸術の話を誇りをもって、映画を作った映画監督になり代わってやる仕事なのですから、売り込みに躊躇など無用です。

 自社映画の宣伝の渦中ともなれば、よその映画など観ている暇もありません。

 映画は観るのが一番楽しくて、送り手になるのは難しいため、映画好きほど、配給の仕事を避けたほうがよいのは、映画ファンとして好きな映画を観る時間がなくなるからです。

まえがき/第1章 知られざる「配給」という仕事/第2章 配給プロデューサーは「バイヤー」でもある/第3章 配給に「宣伝」はなぜ必要かー1+1=2が不正解な仕事/第4章 「監督」は王様である/第5章 王様に逆らう「女優」と媚びない「俳優」/第6章 パンデミック時代を迎えた「映画館」/あとがきにかえて-映画は決して、なくならない

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職業としてのシネマ


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Last updated  2021.12.04 07:51:49
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