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cozycoach @ Re:徳川忠長 兄家光の苦悩、将軍家の悲劇(感想)(11/20) いつも興味深い書物のまとめ・ご意見など…
2021.12.04
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 ”2035年「ガソリン車」消滅”(2021年6月 青春出版社刊 安井 孝之著)を読みました。

 製造業における環境問題に対する活動の一つであるカーボンニュートラルに関連して、日本政府が打ち出した2035年ガソリン車の新車販売禁止について、日本の自動車産業の動向を中心に今後の業界の展望を行っています。

 19世紀末にドイツでガソリン車が発明され、20世紀に自動車産業は大きく成長しました。

 ガソリン車の誕生から100年以上たった今、運転手なしでもクルマが走る自動運転やCO2排出量をゼロにする電動化の開発競争が、業界を大きく揺さぶっています。

 その大変革には欧米や中国の自動車メーカー、米国の巨大なIT企業も参入し、かつてない競争が進行中です。

 生きるか死ぬかという言葉が、自動車メーカーの経営者の口から飛び出すほどの危機感も漂います。

 そこに地球温暖化をストップさせようとする世界的な脱炭素への動きが加わり、自動車業界の競争をさらにヒートアップさせました。

 日本政府も2020年秋に、2050年までにCO2排出量を実質ゼロにするカーボンニュートラルの実現を宣言しました。

 安井孝之さんは1957年兵庫県生まれ、稲田大学理工学部を卒業し、東京工業大学大学院を修了しました。

 日経ビジネス記者を経て、1988年に朝日新聞社に入社し、東京経済部・大阪経済部の記者として、自動車、流通、不動産、財政、金融、産業政策などをおもに取材しました。

 東京経済部次長を経て、2005年編集委員となり、2017年に退職し、現在、Gemba Lab代表、ジャーナリストで、東洋大学非常勤講師を務めています。

 カーボンニュートラルは環境化学の用語の一つであり、製造業における環境問題に対する活動の用語の一つでもあります。

 日本語では炭素中立と言い、何かを生産したり一連の人為的活動を行った際に、排出される二酸化炭素と吸収される二酸化炭素が同じ量にする、という目標です。

 カーボンニュートラルな植物利用と炭素量変化の流れを、持続的に繰り返すのがカーボンニュートラルです。

 植物の茎・葉・根などは全て有機化合物で出来ています。

 その植物が種から成長するとき、光合成により大気中の二酸化炭素の炭素原子を取り込んで有機化合物を作り、植物のからだを作ります。

 そのため植物を燃やして二酸化炭素を発生させても、空気中に排出される二酸化炭素の中の炭素原子は、もともと空気中に存在した炭素原子を植物が取り込んだものです、

 そのため、大気中の二酸化炭素総量の増減には影響を与えないため、二酸化炭素=炭素循環量に対して中立である言われます。

 現在、地球温暖化の進行とそれによる諸影響が問題となっています。

 地球温暖化の主な原因の一つとして大気中の二酸化炭素の濃度が上昇していることが挙げられ、二酸化炭素の濃度の上昇を抑えることで地球温暖化の進行を抑えようとする動きがあります。

 この動きの中でカーボンニュートラルという概念が頻繁に登場するようになりました。

 そして、人間活動で排出する温室効果ガスの量よりも、植物や海などが吸収する温室効果ガスの量の方が多い状態をカーボンネガティブと言います。

 また、人間が何らかの一連の活動を通して温室効果ガス、特に二酸化炭素を削減した際、排出される量より多く吸収することをカーボンポジティブと言います。

 戦後のエネルギー革命により石油、ガスの普及に伴う炭の需要減で山林が荒廃しました。

 しかし今では、薪ストーブは暖炉とともにカーボンニュートラルの観点からも見直されています。

 近年、カーボンニュートラルに近い植物由来のバイオマスエタノールなどが使われたり、持続可能性を考慮したうえで薪・枯れ草・木質ペレットなど植物由来燃料の利用が行われたりしています。

 また廃棄後に焼却されて二酸化炭素を排出する一方で、吸収はほとんどない石油由来のプラスチックの代替として、トウモロコシなどを原料とするバイオプラスチックが製造されています。

 2007年4月に、ノルウェーのイェンス・ストルテンベルク首相は、カーボンニュートラルを2050年までに国家レベルで実現する政策目標を打ち出しました。

 国家レベルでこのような政策が決定されたのは初めての例だとされています。

 また、同年12月、コスタリカのオスカル・アリアス・サンチェス大統領は、2021年までに国家レベルのカーボンニュートラルを実現する目標を発表しました。

 海外においては、Nike、Google、Yahoo!、Marks & Spencer、香港上海銀行、Dellなど大手企業が、自社のカーボンニュートラル化宣言を行い、温室効果ガス削減に取り組んでいます。

 日本においても、グリーン電力証書を活用した企業の温室効果ガス削減が行われています。

 しかし、グリーン電力証書については、追加性の要素が不足しているとの声もあり、環境省で取り扱い方針を検討中です。

 さらに、2020年10月に菅総理が所信表明演説で、2050年にカーボンニュートラル、脱炭素社会の実現を目指すと宣言しました。

 この宣言によって、自動車業界はカーボンニュートラル化に必要なこととして、車の使用時でのCO2排水を抑えるだけでなく、製造の段階で発生するCO2を抑え、自動車の電動化を計画しています。

 それを受けて2035年に純粋なガソリン車の新車販売を禁止することが決まりました。

 それ以降は国内で、HV(ハイブリッド車)やEV(電気自動車)、FCV(燃料電池車)などしか売ることはできず、新車販売市場からガソリン車は姿を消します。

 世界的な脱炭素、電動化の流れの中でクルマはどう変わっていくのでしょうか、

 また、テスラ、グーグル、アップル、中国企業が続々と市場参入してくる中で、日本のメーカーは競争力を維持できるでのしょうか。

 日本経済を支える大きな柱である自動車産業は、今後20~30年の間、大きな変革期を迎え、事業構造を一新させなければなりません。

 自動車産業に関わる550万人といわれる人たちへの影響は計り知れず、その変化は自動車産業にとどまりません。

 カーボンニュートラルは私たちの生活全般を見直し、人類が200年にわたって燃やし続けた化石燃料を使わない暮らしの実現を意味します。

 すべての産業と私たちの生活を大きく変える、21世紀の産業革命が起きようとしています。

 ガソリン車の消滅はそのひとコマではありますが、とても重要なひとコマです。

 人やモノを移動するモビリテイは、インターネットがいくら発展しても人類のリアルな生活にはなくてはならない存在です。

 大変革には痛みを伴いますが、今始まったカーボンニュートラルヘの挑戦は、地球温暖化をストップし、私たちの生活のグリーン化を目指しています。

 また同時に進行するクルマの自動運転は、交通事故死ゼロと高齢になっても自由にどこでも移動できる社会を実現するポテンシャルを持っています。

 そんなワクワクする理想の未来への新しいカーレースが始まったのです。

 2050カーボンニュートラルと自動車の電動化問題は、2020年末に降ってわくように現れました。

 ですが前向きにとらえれば、自動車産業がこれまで抱えてきた二つの原罪(環境負荷と交通事故)を、100年ぶりに克服できるチャンスが到来したとみることができます。

 また、今後30年にわたり再エネ発電を誘致できる地方の活性化策にもなります。

 日本には技術蓄積が少ない風力発電の部品製造や組み立て・建設といった、新しい産業を生み出す力も秘めています。

 自動車産業が失う雇用も少なくはないでしょうが、今後30年の間に生まれる新産業を雇用の受け皿とし、痛みを最小化する努力を続けるしかありません。

 ガソリン車が消滅する日は、理想の姿へのマイルストーンであり、グリーン経済へと日本が進化するチャンスととらえたいとのことです。

 2021年4月にオンラインで聞かれた気候変動サミットで、バイデン大統領は温室効果ガスを2030年までに、2005年比で50~52%削減すると表明しました。

 菅首相も従来の目標値を見直し、2030年までに2013年比で46%削減すると踏み込みました。

 ホンダの三部敏弘社長は、2040年までに世界で売るすべての自動車をEVとFCVにすると宣言しました。

 日本メーカーが得意なガソリン車やハイブリッド車から手を引き、完全な電動化へと大きく舵を切りました。

 期限を切って、完全な電動化を表明したのはホンダが初めてです。

 一方、日本自動車工業会の会長でもあるトヨタ自動車の豊田章男社長は、自工会の会見で、合成燃料を普及させればガソリン車やハイブリッド車もカーボンニュートラル実現後も走ることができると、EV化一辺倒の動きに改めて釘を刺しました。

 カーボンニュートラルをゴールにしたカーレースは始まったばかりで、ゴールまで目が離せない状況が続きます。

 画期的なイノベーションが起きれば局面が大転換することもありますが、重要なのは私たちが目指しているのは産業や生活をグリーン化し、持続可能な地球に戻すという理想の未来という点です。

 本書では、現在進行中のカーレースの現状と課題を紹介するとともに、2050年のカーボッニュートラルのゴールに向けてどのように歩んでいけるのか、どんな道がより望ましいかを考え、指し示します。

 また、私たちの生活がどのように変わるのかもわかりやすく説明しています。

 自動車の電動化についてEV派対反EV派といった極端な二項対立で論じる向きがありますが、この本では丁寧に論述することに注力したそうです。

 新聞やテレビなどの日々の報道だけでは、自動車産業の電動化やカーボンニュートラルの本質を知ることは難しいです。

 それは断片的な内容が多いからであり、本書を書くにあたって、目の前で起きている事実を大づかみに理解することを目指しました。

 自動車産業の未来と私たちの暮らしの行く末の正しい姿を知りたいと思う人たちの一助にこの本がなってくれれば幸いといいます。

はじめに/第1章 ガソリン車の寿命は、あと10余年?「2035年、100%電動化」の衝撃/第2章 ハイブリッド車(HV)・電気自動車(EV)・燃料電池車(FCV)/第3章 一歩先行く中国、米国、欧州…グーグル、アップルも参戦 EV化で後れをとる日本メーカーの秘策は?/第4章 モビリティ革命で生活・仕事が一変!電動化がもたらす、人とクルマと街の新しい関係/第5章 ガソリン車消滅は日本にとって新たなチャンス!?真の「グリーンモビリティ社会」への道/おわりに

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Last updated  2021.12.04 07:58:42
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