昔はＮＨＫの近くにあって。

お店の前にﾃｰﾌﾞﾙを出して。

その上にｶｸﾃﾙが１杯。


すごくすごく大人な空間のようで。

二十歳の私と彼女は。

すごい思い切って入ったＢＡＲでした。



ｶｸﾃﾙの名前なんてなんにも知らない。

同じ空間にいる人と会話を共有するのも初めて。

ﾏｽﾀｰの話と声にｸﾞｲｸﾞｲ引き込まれ。

１回ですっかりﾌｧﾝになった。


半年ごとに帰ってくる彼女とだけ行く特別なお店として。

ﾄｯﾃｵｷのお店として。


彼女の結婚が決まったときも。

特別なｶｸﾃﾙを作ってもらって乾杯して。

彼女が旦那様になる人を連れてきたときも。

一緒に行って、乾杯した。


結婚式のスピーチでも。

遊びに来たときには、一緒にold mapへ行こうね。と言った。



お店は街中に移り。

彼女が妊娠したこともあって。

ｱﾙｺｰﾙを飲めなくなり。

美味しいお寿司のお店に出会ったｺﾄもあり。

彼女とは訪れなくなった。

たまに会社の後輩を連れて行き。

こんなお店を知ってるよ。と大人ぶってみたりした。


今日、閣下を迎えに行き、夕飯をお寿司にした。


大将が、珍しく外で少し長電話。

少し潤んだ目で「old map明日で終わりなんだよ」と言った。


ｲﾃﾓﾀｯﾃﾓいられなくなり。

帰りにﾜｶﾞﾏﾏ言って、ちょっと寄ってみた。

そこではたぶん、ﾏｽﾀｰの御疲れ様会みたいなﾊﾟﾃｨ。

常連さん達とﾏｽﾀｰが乾杯してた。


ちょっと邪魔した感じになっちゃったけど。

でも、最後に会えてよかった。


あまり行けなかったけど。

彼女との大切な大切な時間を過ごしたお店だった。

泣きながら他の誰にも話せない話をしたりもした。

ｿﾚをほっといてくれるようなお店だった。


想い出にそっと。



いつも美味しいｶｸﾃﾙをありがとう。

お疲れ様でした。