男30、40代が集まって作れる料理なんて、たかが知れている。飲食業を営んでいたり、腕に覚えのある仲間はいるが、ダッチオーブンお披露目試食会という大切な日に限って、厨房と縁のない男衆しかいない。
釣友S氏と後輩S君、埼玉のB君、東京のOさんが集合。メニューは、鶏の骨付もも肉をドカドカ入れて、にんにくをパラパラ入れて、じゃがいもを丸ごとポンポン入れて蓋をする。これだけ。名前の付けようもない料理。
…「料理」と言っていいものか。おいおい、これではダッチオーブンに失礼ではないか。異文化の扉をまじめに開けないのか。食というものの奥深さを探ろうとしないのか。普段の食卓にこんな料理が出てきたら、心穏やかとはいかないだろう?えっ?じゃあメニュー考えろって?
...とりあえず、これで行こうじゃないか。食べられない食材じゃああるまいし、ワインもあるんだから我慢できるよ。こういう場は、男同士の語らいがメインディッシュなのさ。川原で薪を拾って、火をおこして、煙が出ているだけでも大したもんじゃないか。ここまで良くやったよ。じゃあ始めるとするか。

なんか、見た感じはいいんじゃない?飛びっきりの青空だし、川原に流れるせせらぎの音もいい。程よい風が火の勢いをつけてるし。ワインの味もインドアとは違うよな。
できた?どれどれ。

食べられそうじゃん。オリーブオイルでじっくり焼いた鶏肉の色なんか最高だよ。じゃがいもなんか真っ黄っ黄。食材は少ないけどさ。本当は、ローストチキンみたいなヤツが欲しかったけど、スーパーに売ってなかったんだよ。でもさ、こういうアバウトな感じっていうか、ダイナミックっていうか、シンプルなものも...。えっ?早く食べろって?毒見しろって?
...美味いじゃん。美味いよこれ。なっ!だから、意外とこういう料理がいいんだよ。じゃがいもなんかホックホクだよ。まいったね。
次はS君提案のキノコ鍋だよね?どうよ?最高っすよ...って?

美味いじゃん。クリタケが泣かせるね。えっ?4種類もキノコ入ってるんだ。筑前煮パックと竹の子も入れたんだ。ちょいと豚肉が多い気がするけど、これぐらいが実はありがたいんだよね。ほーう。うどんも入れるの。いいんじゃない?
結構満足したね。ダッチオーブン面白いね。じっくりと料理して、ゆっくりと食す。時間の流れが穏やかでいいよね。次回のメニューは何がいいかな?
それよりも夜はどうするかって?Oさん自家製とんこつスープ作ったからラーメンやるって?いいけどさぁ。でも、それ普通の鍋の方が早いよね?せっかくだからダッチオーブン使いたいな。えっ?B君は釜飯やりたいんだ。材料買ってあるんだ。いいねぇ、うまそうだねぇ。でも、いきなり釜飯は難しくないかな。はっ?S氏はクサヤあるから食べたいって?フグの卵巣の糠漬けも、鮎のウルカもあるって?酒に合うねぇ。美味そうだねぇ、いいねぇ。ご飯炊いて酒の後はお茶漬けにするって?やっぱりそうこなくちゃ!とっておきの日本酒持って行くよ!夕方5時に再度集合?おいおい後2時間じゃん。S君、寝ている場合じゃないぞ!さっさとダッチオーブン片付けなくちゃ。
「鋳鉄の中だけゆったり時間が回る」