Y君は今、C電力で働いている。幼稚園時代、僕の家で遊んでいる時におもらしをして、後々まで僕にいじめられ続けた。もともと泣き虫なヤツで、今晩も昔の話やら家族の話題になると、ことあるたびに目を潤ませた。いい歳してグシュグシュしている変わった男のために、Iちゃんがとっておきのメニューを出してくれた。
「かっちゃん、これ食ったら泣くよ。泣きたい?」
Y君の泣き面に遅れをとってはいけない。「うん、泣く泣く。泣かせて!」

テーブルに乗ったのはキンメダイの煮付け。期待通りに泣かされ、とんでもない画像になる。
さて、キンメで泣いたついでに、Iちゃんにもう一つ泣きを入れることにする。明日はS君とバス釣りに行くことになっているが、僕はバス釣り初心者。しかし、後輩S君に負けるわけにはいかないのだ。ここは、バスプロのIちゃんに教えを請わなくてはならない。
で、「かっちゃん、これこれ。このワームをこんな感じで使ってみて」といただいたのがこれ。

酒の肴ではない。バスを釣るための肴だ。ありがとうIちゃん。僕はワーム、ワーム泣く。「ずいぶん変わった形の釣り道具だな」と、Y君が不思議そうに見守っている。
その昔、毎日顔を合わせていた頃と、Y君はなんにも変わっていない。僕も変わらない。僕らが初めて出会ったのは3歳だったが、今でもお互い青二才だ。ふるさとの町はずいぶん変わってしまったが、せめて僕らぐらいは変わらなくていい。それを確かめ合うために、今夜は飲んだのだ。