ただ、ノウサギやリスみたいな動物を見に行くには、それなりの場所や環境が必要で、気軽に、身近にというわけにはいかない。
そこで、僕は「ヒューマントラック」の楽しみを提案したい。

これは、雪の吹き溜まりを果敢に攻めたドライバーの痕跡である。ほかの車のワダチをあえて避けているところを見ると、集団行動や協調性に問題がありそうだ。「こんな所を走っても誰も褒めてはくれない。だが、攻めたい。よし走っちゃえ」という場当たり的で、突然の衝動を抑えきれない性格の持ち主であろう。

日当たりの良い所は、シャーベッド状になった雪が車に蹴散らされている。普通、車は雪を避けて走るのに、このタイヤ跡の1部は、わざわざ急ブレーキをかけてスリップを楽しんでいた郵便屋のお兄さんのもの。たまたまこの現場を目撃していた僕のスクープ画像である。
公社、民営と揺れ動く将来の身分が、首の皮1枚、というかハガキ1枚でつながっているという漠然とした彼の不安が、タイヤ跡に見え隠れしている気がしてならない。