この時間帯は、1次客の宴会が引けた頃で、メニューを注文してもそれほど時間がかからずに済む。が、肝心なメニューまでもが引けてしまっていることも多い。
今回の宴会もその一例。この店は、埼玉県出身の独身店主1人で切り盛りしている。
店内には客1人おらず、「こりゃラッキー」とばかりに席につくと、店主が腰を「く」の字に折り曲げてこちらにやって来る。
「スミマセン、今夜はおしぼりを切らしていまして...」
「いいよ、おしぼりはツマミにならないから」
「...と言いますか、お通しも切らしておりまして...」
「いいよ、お通しパスして頑張るから」
「...その上、こちらの『今夜のオススメ』のメニューにあります『刺身3品盛り』ならびに『マグロづくし』なども終わってしまいまして...。あっ、鯛の兜焼きは1人前だけご用意できます!」
「いいよ、それで。でも、生ビールはあるよね」
「ございます」

僕らはめげずに宴会をする。酒が切れなければキレることもない。しかし、小腹を満たそうとその後の2次会や3次会まで延長し、スズメの鳴き声でようやく宴会を締めるに至る輩も続出した。