旅行会社に勤めている同級生のM君が、旅行の企画で相談があるというので、仕方なく付き合ってあげた。場所は、居酒屋Sである。
M君は、近頃稀なおバカさんで、よくもまあ旅行の企画なんかを立てられると思う御仁である。なんでも、北信州の日帰り温泉旅行を自ら企画したことがうれしいらしく、ペラペラとあれこれしゃべり続けている。いっそのこと、「おまえは貝になれ!」と言いたくなるようなおしゃべり君だ。ブツブツ言いながらも、そんな合間を縫って、ツブ貝の刺身を注文。アルコールはやはり、ぬる燗がいい。

コリコリとした食感と、独特の甘味が酒に合う。ペラペラしゃべるM君を差し置いて、僕は貝のように口を閉じ、黙々と酒を味わうのであった。