こっぱんの日記

こっぱんの日記

2015.07.25
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カテゴリ: 俳句・エッセイ
大阪俳句史研究会の資料探訪会

今日は、大阪俳句史研究会の年一度のバス旅行「資料探訪会」の日。家を8時に出て集合場所のJR伊丹駅前に8時45分頃に着いた。集合時刻は9時である。参加者は28名で、千里山交通の28人乗り観光バスがちょうど満席になった。今日の行き先の一つは、丹波の酒屋「西山酒造場」。ここの三代目当主で俳人の西山泊雲と画家小川芋銭は友人関係から親戚関係になる間柄だったが、生前にやりとりした手紙が当酒造所に残されている。その手紙を見たり、泊雲ゆかりの綾部の寺・安国寺を訪ねるのも目的である。

バスは10分ほど遅れて伊丹を出発。バスの中で参加者の出席が取られ、続いて幹事の朝妻氏(雲の峰主宰)から、今日の行程と泊雲にまつわる話などがプリントによって説明された。先ず、人物紹介。

小川芋銭は茨城県牛久の人で、河童の絵が有名。泊雲の短冊に挿絵を描いたことから親交が深まった。西山家には手紙179通が残っている。泊雲を知ってからは、よく丹波に来て、西山家や石像寺で滞在して絵を描いた。芋銭の三男と泊雲の長女、泊雲の長男と芋銭の次女が結婚している。

西山泊雲(本名亮三)は、本業の傍ら俳句に傾注。弟の野村泊月とともに虚子の門下で丹波二泊と称された。家業が不振となったとき、虚子が酒に「小鼓」と命名したり、「ホトトギス」に広告を出したりして助けた。

西村小鼓子(本名健三)は、泊雲の長男。家業を継ぐ一方、虚子門下として俳人。竹田村村長も務めた。昭和20年「草紅葉」を創刊・主宰。現在の西山周三社長は小鼓子の長男。

朝妻氏の説明が終るころ、バスは宝塚ICに入った。20分ほど走って中国道の赤坂SAで休憩、10時20分再出発。10時50分に春日ICを出たが、バスは迂回ルートを間違え、福知山まで行きすぎてしまい、目的の「西山酒造場」に着いたのは、11時35分だった。

社長の西山健三氏に迎えられ、表に建つ虚子の句碑(?)「ここに美酒あり名付けて小鼓と言ふ」の説明を受ける。続いて庭に案内され、そこに建てられた二つの句碑の説明を受ける。
  「山合の霧の小村に人となり 泊雲」


その後、奥の離れの間に案内され、そこには、芋銭から泊雲に宛てた書状が何通か並べられていた。内容は、読みやすいように、健三氏がワープロ打ちしてくれている。泊雲の体調を気遣ったり、近況の報告をしたりして、親密に交流していたことが伺える。初めに健三氏から、手紙が見つかり芋銭研究センターとも相談して公開することにした経緯などの説明があり、続いて宇多喜代子氏から、泊雲と親交のあった戦時中の俳人・片山桃史の紹介がなされた。

桃史は、日野草城の弟子で、虚子も目を付けていた。応召された戦場でも句を作っていたが、最後は昭和20年ニューギニアで戦死(32歳)した。田捨て女の親戚でもあった。
  ・なにもない枯原にいくつかの目玉 桃史
  ・一斉に死者が雷雨を駆け上る
  ・屍なほ闘へり月の炎あげ
  ・屍らに天の喇叭が鳴りやまず
なお「俳句」8月号に宇多氏、金子氏、高野氏の鼎談「戦争と俳句」が掲載されていて、桃史のことも語られている。

その後、しばらく酒造場の夏のイベント「大特価祭り」で、秘蔵酒の試飲、福引、福袋などを楽しみ、12時55分、酒造場をあとにした。

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13時10分、ホテルロイヤルヒル福知山に到着。福知山城や周囲の山並みの見える見晴しのよいレストランで昼食。3つの大テーブルに分かれたが、同席の人達と俳句の話をしながら、昼食を楽しむ。

乾杯のビールがよく利き、ほろよい機嫌で俳句論議をしているところで、14時、再びバスに乗り、福知山城の見学へ。10分ほどで城の駐車場に着き、先ずは太鼓橋を渡って天守閣までの登り道を歩く。私は、5年ほど前に来たことがある。この城は、明智光秀の築城であったが、明治維新で廃城となり、昭和61年に天守閣が再建されたもの。内部は資料館となっている。

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天守閣から福知山市の眺望を楽しんだあと、14時50分、バスは最後の目的地、安国寺へ向けて出発。14時58分に安国寺ICを出るとすぐに、寺の看板が見えて来て参道の入り口になる。安国寺は、足利尊氏による創建で、尊氏はこの地で出生したと言われている。寺の入口付近には尊氏の産湯の井戸があり、寺の境内には尊氏の妻・登子と母・清子の墓もある。寺の本尊は釈迦三尊像で、境内にはいくつかの句碑もある。その一つが小鼓子の句碑であるが、残念ながらその句碑は、昨年8月の集中豪雨で倒れ今もその状態で放置されていた。


  「三日月のかかりて雪の安国寺 小鼓子」
  「雪沓のあと尊氏の墓前?らるる」
  「尊氏の墓はひつそり村??」
  「行きゆきて落花??尊氏忌」

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16時10分、安国寺に別れを告げ、泊雲、小鼓子を巡る旅は、伊丹までのバス中の時間を残すのみとなった。安国寺ICを入り、丹波路を東に走り次いで南下、春日ICを16時40分、西紀SAを16時50分に過ぎ、17時10分赤松SAで休憩。



今日は、折しも天神祭の日。伊丹駅からも梅田からも浴衣姿の男女をたくさん見かけた。いつもより混み合う電車に乗ることになったが、19時30分、無事自宅に帰った。
帰宅後は自宅の窓から、天神祭の船渡御や奉納花火を楽しんだ。






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Last updated  2015.07.29 12:38:08
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山ちゃん@ Re:妻の病院行きに付き添う(08/02) 奥様の介護大変ですね。 ブログ見さしても…
小林嘉雄@ Re:午前月曜講座、午後服部緑地へ(11/28) 最後の花は、キダチダリヤといいますが、…
ガーゴイル@ どこのドイツ 岸一族は安倍晋三の一族ではなく安倍晋三…
rosemarygarden@ Re:一日中家で過ごす(05/16) らくだがどうしても見つかりません ヒン…
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