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『博士の愛した数式』の中で
未亡人と家政婦が
彼女の息子ルートと博士の交流について
言い争いをしていたときに
博士がメモに書いた
e πi +1=0
という数式(オイラーの公式)
タクに聞かれたときは、よく考えていなかったの
原作の文章をたどりながら、
公式のもつ重要な意味について、考えてみます
この世で博士が最も愛したのは素数だった。 彼はルートを素数と同じように扱った。 素数がすべての自然数を成り立たせる素になっているように、子供を自分たち大人にとって必要不可欠な原子と考えた。自分が今ここに存在できるのは、子供たちのおかげだと信じていた。
πとiを掛け合わせた数でeを累乗し、1を足すと0になる。果ての果てまで循環する数と、決して正体を見せない虚ろな数が、簡潔な軌跡を描き、一点に着地する。どこにも円は登場しないのに、予期せぬ宙からπがeの元に舞い下り、恥ずかしがり屋のiと握手する。
彼らは身を寄せ合い、じっと息をひそめているが、一人の人間が1つだけ足し算をした途端、何の前触れもなく世界が転換する。すべてが0に抱き留められる。オイラーの公式は暗闇に光る一筋の流星だった。暗黒の洞窟に刻まれた詩の一行だった。そこに込められた美しさに打たれながら、
私はメモをしまった…略…今振り返っても、博士が幼い者に向けた愛情の純粋さには、言葉を失う。それはオイラーの公式が不変であるのと同じくらい、永遠の真実である。
家政婦(私)がオイラーの公式について語る、
このくだりが大好きです。
博士の人間性と数学のロマン、美しさに触れ、
心酔した私の熱く静かな想いが、
美しい文学的な言葉で綴られています。
博士いわく「真実を見出すことのみが、数学の目的なのだ。」
e πi +1=0
もう誰も余計な口をきかなかった。未亡人の瞳から少しずつ動揺や冷淡さや疑いが消えてゆくのがわかった。数式の美しさを正しく理解している人の目だと思った。
博士を愛し続けてきた未亡人は、この公式を見て
救われたんでしょうね。
永遠の真実を知って現実を受け入れることができた。
「私」にとっても、 この公式は、支柱であり警句であり宝物であり、形見だった。
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