マイペース70代

マイペース70代

他生の縁

「他生の縁」

年を重ねるごとに、「ご縁」という言葉が身にしみるようになってきた。
生まれてから今日までに、何人の人と出会ってきたのかわからないけれど、
ご縁がなければその出会いは、その時限りのものになっているような気がする。
「ああ、いい人だな。ずっと付き合っていきたいな」と思っても
いつのまにか疎遠になる人もいれば、
「あまり仲良くしたいわけでもない・・」と思っているのに、
気がつけばン十年の付き合いになっている人もいる。
初対面のつもりで色々と話しているうちに、
共通の友達がいたり遠縁だったりしてビックリすることもある。
そんな時には、
「縁のある人とは出会うことになっているのかも・・」と思ったり、
「他生の縁かも」と思ったりする。
また、初対面でも初めて会ったような気がしなくて、
何だか懐かしい感じを受ける人もいる。
こんな感覚は私だけのものではなく、
結構多くの人が感じているのではないだろうか。

さて数年前、
「きっと前世では姉妹か親友だったんではないか」と思う人との出会いがあった。
彼女とは、行政から委嘱を受けた○○委員同士として出会った。
それ以来気が合って、私が関わっている会の協力者にもなってもらい、
いつのまにか強力な助っ人→同士へと絆が深くなってきた。
私は基本的に、公的な場で出会った人とは
適当な距離を持って付き合うようにしているので、
彼女に対しても多少クールに付き合ってきた積りだ。
(たとえば、二人だけでおしゃべり目的のランチなどはしないなど・・)
しかし心の底では、お互いに役目を離れたときには、
本当の友達として遠慮なく付き合いたいと思っていた。
ところが、この4月から彼女は行政の嘱託職員として働くことになったので、
○○委員も辞職することになった。
これからは公的な部分でのつながりがなくなったので、
堂々と彼女とプライベートな友達関係になることができる。
早速昨日、彼女の経過報告も兼ねて食事をしたのだが、
その笑顔を見詰めながら、
もしも「前世」というものがあるなら、
きっと強い絆で結ばれていたことだろうと思ってしまった。
(梨木果歩の小説に多少影響されていると思うが・・)
彼女も私も長寿の遺伝子を持っているようなので、
これからの半生は彼女と語り合うことが多いのだろうと思う。
どちらが先にあちらの世界に行くことになるかわからないけれど、
別れる時にはきっと、
「生まれ変わったらまた会いたいね」と言うような気がしている。

さて、もっとも縁の深い出会いであったはずの夫には、
同じ様にいえるかな? 
「生まれ変わっても夫婦になろうね」なんて・・。
うーん私は、兄と妹、あるいはボーイフレンドくらいがいいな。
二度も夫婦をやるなんて、チョッピリシンドイ。
いやいや、そう思っているのは夫の方であろう。
「妻にするならば、別の人がいいな・・」とね。

そういえば、
とても手のかかる夫に対して良妻賢母を頑張り続けている知人が、
夫から「生まれ変わってもおまえと結婚したい」と言われて、
「私もだよ」とは答えられなかったと言っていた。
「俺じゃダメか?」とムッとされて、当たり障りのない返事をしながら、
「冗談じゃない、今度はもっと優しくて協力的な人と結婚したいよ!」
と思っていたとか。
それを聞いてみんなで笑ってしまったが、
そう思っている人も多いことだろう。
でも、夫婦になるほどの縁を紡いでしまった相手とは、
きっとまた来世でも出会うのでしょうね。

(2004年04月09日)


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