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今日の食い意地inにいがた
2006年8&9月
ドリームタイム
■著者:田口ランディ ■文藝春秋 ■2005/2発行
※ずいぶん前に、
「これ読んだらあんたにも小説が書けると思った」
という言葉とともに、お友だちからもらった本。
もらってすぐに読み始めたのだけれど、
2~3話読んだ時点で先を読む気にならず(短編集です)、
ずっと本棚の隅に眠ってた。
で、今年の夏に知床に行き、
その旅行記を書くためにネットをググッて
「アシリ・レラ」という懐かしい名前に出会い、
ふと、この本の存在を思い出して読んでみました。
アシリ・レラさんは
自然保護などの活動をしていらっしゃるアイヌの女性。
ずいぶんと昔のことになるのだけれど、
私は一時、田口ランディのメルマガにはまり、
アシリ・レラさんの存在も、そのメルマガで知った。
で、わざわざ東京まで、
アシリ・レラさんと田口ランディのトークショーを
見に行ったりもしたのだ。
アシリ・レラさんは肝っ玉母さんのようにかっぷくのよい女性で、
笑顔がとても魅力的だった。
何と言うか、まわりのモノ・コトをすべて包み込んで、
浄化してしまうような笑顔。
それがとても印象的で、当時は
「アシリ・レラさんに会いに二風谷に行ってみたい」
なんて思ったりして・・・。
そんな風に思ったことも、つい最近まで忘れていたのだけれど。
逆にトークショーを見た日を境に、
私の田口ランディ熱はすっかり冷めてしまった。
で、久しぶりに読んだ田口ランディの文。
これって小説なのかな?
前半は小説なんだけど、後半はエッセイとしか思えないんだけど。
だから何とも評価のしようがないけれど、
「繭のシールド」というお話は興味深かった。
これ読んだら、着物が着たくなりました。
・・・田口ランディの文に出てくるのは、私、私、私。
私を救って、私を理解して、私は正しい? 私はどうすればいいの?・・・
田口ランディに限らず、人が書いた文には
「私(書き手)」が必ず入るもんだと思うけれど、
こんなに泥臭く、私を投入しまくる書き手も珍しいのではないかと思います。
トークショーを境に熱が冷めたのも、そんな理由。
「ちょっと自分と似たところがあるかな(文章の書き方ではなく、さまざまな面で)」
と思ったりもするから、なおさらイヤなんだ。
・・・ある意味、「情念の書き手」とも言えるかも知れません。
海外でさっさと暮らせるようになろう+α
■著者:中西佐緒莉 ■自由国民社 ■2006/5発行
※実は私が読んだのは2003年8月に出版された「+α」が付いていない本。
近所の図書館で見つけて、タイトルにひかれて読んでみました。
上にリンクした「+α」版は
私が読んだ本に最新情報などを付加したのではないかと予想します。
内容的にはけっこう面白かったけど、
文章校正をもっとやった方がいいんじゃないかなーと。
なんか読みにくい&すっと理解しにくい文章なんですよ。
α版はその点も改良されたのかな・・・。
著者の中西佐緒莉さんは
年金海外生活ラボ
を主宰されている方。
なので、この本も
「年金受給者またはもうすぐ受給者になる方が海外で生活するためにすぐに役立つ本」
という視点が主体なので、自分としては今ひとつリアルさに欠ける。
でも、自分の将来についての考え方の視野を広げるという意味では役立ったな。
著者の将来目標は、
「日本にとどまらず、世界中を転々とした生活を送る」こと。
私もそのよーにできたらいいなーと思っとります。
まぁ、「転々」よりも、も少しゆるやかに生活したいとは思うけれど。
ハゴロモ
■著者:よしもとばなな ■新潮社 ■2006/7発行(文庫)・2003/1発行(ハードカバー)
※よしもとばななは、
今の人が少しバカにしてるような、価値のないものと見なしているような、
でも、本当はとても大切で価値あることを物語にひょいと入れ込むのがうまい。
もともと好きなんだけど、
「共感できる作家ベスト1かも知れん」とあらためて思いました。
西の魔女が死んだ
■著者:梨木香歩 ■新潮文庫 ■2001/8発行(文庫)・1996/4発行(ハードカバー)
※なんだか心と体がほぐれてラクになる本です。
超多感であり、共稼ぎっ子であり、ばぁちゃんに面倒を見てもらってた私としては、
主人公の「まい」にどっぷり感情移入(とゆーより同化)して号泣。
その時々で決めたらどうですか。
自分が楽に生きられる場所を求めたからといって、
後ろめたく思う必要はありませんよ。
サボテンは水の中に生える必要はないし、
蓮の花は空中では咲かない。
シロクマがハワイより北極で生きるほうを選んだからといって、
だれがシロクマを責めますか。
by西の魔女
盾(シールド)
■著者:村上龍/はまのゆか ■幻冬舎 ■2006/3発行
※絵本にする必然性って何だったんだろう?という思いと、
このようなたとえ話にしないと、なかなか問いかけにくい事柄ではある、という納得感と半々。
心温まるお話じゃないですよ。
(楽天やアマゾンにUPされてるこの本についての解説に
「心温まるお話」とあったので、とりあえず反論してみました)
あと、「おわりに」まできちんと読まないと、
この本で言わんとしていることが、理解しにくい、きっと。
村上龍って、
「・・・だからと言って、私は○○○であるということが言いたいわけではない」
という感じのフレーズをものすごくよく使う。
(今回の「おわりに」にもその言い回しがしっかり入ってます)
で、私はそういった言い回しがけっこう好きです。
一般的に(あんまり頭を使わずに読むと)○○○と早合点(や誤解)しがちなところを、
しっかりと想定して、
「そーゆーことじゃないんだよ、俺が言いたいのは!」と念押しする。
自分の思いや考えを、いろんな人に正確に伝えようとする姿勢とか、
あるいは、自分の考えを正確に自分自身で把握しようとする姿勢とか、
多少くどくなっても、きちんと伝えようとする姿勢とか、
そういった、村上龍氏の真面目さ、一生懸命さ、使命感みたいなものが
文章から伝わってくる気がして、好きなんですよね。
どちらが頭がいいかなんて、だれにもわからないんだよ。
だれかの都合で、頭がいいとか、悪いとか、決められるだけだ。
・・・・・(中略)・・・・
おまえら子どもだって同じだ。
国や社会にとって利用しやすくて、利益になりそうな子どもを、頭がいいとほめる。
国や社会の役に立ちそうにもない子どもは、クズと言われる。
でもそんなことには意味がないんだ。
by名なしの老人
<2006年8月に読んだ本>
東京タワー オカンとボクと、時々、オトン
■著者:リリー・フランキー ■扶桑社 ■2005/6発行
※「まぁ、とりあえずこの本、読んどかないとな」と思ってたんですが、やっと読みました。
確かに泣けるし、共感するところも共鳴する部分もたくさんある。
でも、まぁ、男ならではの本でもあるかなーと。
・・・男の人はものすごーく感じるところがあるんでしょうね。
でも男の人たちにお願い。
これはあくまでもお母さんのお話だからね。
妻や恋人に、それを求めたらアカン・・・。
(などと言うから、私は依然、独り身なんでしょーかねー)
イツモ。イツマデモ。
■著者:高橋歩 ■A-works ■2006/6発行
※東京タワーはオカンとボクのLOVEの話。こちらはツマとコドモとボクのLOVEの話。
別にLOVEの話を欲しているわけではないんだけれど、たまたま連続して読んでしまった。
東京タワーとこの本には共通点がある。
それは、とてもストレートであること。読んでいて照れてしまうくらいに。
書き方やつくりは全然、違うのだけれど。
すべてに共通すると思うけど、やっぱり、まっすぐで圧倒的なものが一番伝わるんだな
うん。そうなんだよね。
俺は、まだまだ小細工が多い。
くだらないことを考えすぎてる。
目の前の小さな結果にとらわれて、大切なものを削ってないか?
どこでそんなテクニックを覚えた?
いつからそんなこざかしい男になった?
・・・私も「こざかしい女」にならないように精進いたします。
この本、私はとっても好きです。
アルゼンチンババア
■著者:よしもとばなな ■ロッキング・オン ■2002/12発行
※最近、「仕事に役立つかも」とか、「とりあえずおさえとかないと」とか、
そんな見方でしか本を選んでいないなぁとふと気づいて、この本を読んでみました。
単純に本屋で見つけて、「ああ、読みたいなぁ」と思った本。
吉本ばななは昔から好きだったのだけれど、
よしもとばななになってからの本は初めて読みました。
あぁ、いいなぁ。いいですよ。
けっして、元気ハツラツなお話ではないのに、
自然になんか微笑みが出て、元気になってしまうのはどうしてなんでしょう。
とてもキレイなお話です。
あさ/朝
■著者:谷川俊太郎/文 吉村和敏/写真 ■アリス館 ■2004/7発行
※左からみると絵本、右からよむと詩集 あたらしい形のビジュアルブック だそーです。
ネスカフェのCMで使われた「朝のリレー」も収録されています。
「ちゃんとそこにあるのに見えないもの・気づかないもの」を
言葉を使って、あざやかに見えるものにしてしまう、気づかせてしまう。
そういう力を持っている人の文を見ると、
すごいなぁ、素晴らしいなぁと、ただただ素直に感じ入る。
そんなものが書けたら、幸せだろうなぁと思う。
脳と心の洗い方
■著者:苫米地英人 ■フォレスト出版 ■2006/7発行
※オウム真理教信者の脱洗脳を手掛けた人の本ということで、
「へぇ~」って感じで読んでみました。
最終章のサンフランシスコ講和条約の話が興味深かったな。
沼地のある森を抜けて
■著者:梨木香歩 ■新潮社 ■2005/8発行
※こんなお話を書いてしまう梨木香歩という人は、
いったいまぁ、どういう人なんでしょう。
なんとも形容し難い読後感。
今年、読んだ本の中で、一番おもしろい本かも知れません。
(まだ、今年もずいぶん残ってはいるけれど)
命の連鎖とか力とか輝きとか、
書評ではそのような言葉で語られることが多いようだけれど、
私は、囚われないこと、解き放たれること、
自由であること、個(自分)を持つことの大切さ
とゆーようなモノを強く感じました。
まん中よりも少し前に、
「おやつのドーナツ、テーブルの上にあるからねえ・・・。」というフレーズが出てくるのだけれど、
ここらあたりのお話が、なんだか妙に泣けてしまった。
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