子供達がまだ小さい頃、クリスマスには多くのお父さんと同じようにサンタクロースになってプレゼントを贈った。
やがてサンタの存在を子供達なりに疑いだし、そしてこの役目から退職した。
子供達には何時までも夢を見ていて欲しかったのだが仕方のないことだ。
大人気ない輩が幼い子供の夢を壊すのには腹が立つが、人の口に戸が立てられないと昔から言う。
それにしてもハラハラさせられたのは「そのサンタはパパ」という歌だ。
いい曲だと思う。クリスマスソングとしては欠かせないのも事実だ。
がそれだけにこの一節だけは何とかならないものかと本気でなやんだ。
クリスマスソングには必ず入っているのでこの曲が流れると、疑いを持ち出した頃、子供達は「あれ」と言って私に疑問をぶつけてきた。
その度に私は「本当のサンタさんの子供の話なんだ。サンタさんがパパでいいね!」と言い続けたものだ。
が、やがてこの曲を聴いても子供達には何の反応も無くなり、以来二度とサンタは本当にいるのかとは聞かなくなった。
それと共に子供達は自分でプレゼントを私たちに用意するようになった。
お小遣いも少ないので、母親のプレゼントは私にそっと相談してきて、買い物にまで付き合わされた。
そして支払いの時になると決まって不足分は私が払うのだった。
それが何とも当たり前のように付き合わされた。
そして、それが私にとって、嬉しく、とても幸せな時間に感じたものだった。
プレゼントは私にもあった。それもクリスマスの日まで私は知らない。
きっと母親と相談して、私の場合と同じように用意しているのだろう。
そんな子供達もみな成人してしまった。
男の子ばかりの3人の息子達である。
今同居しているのは3番め息子、この息子だけが今でもプレゼントをくれる。
しかし、再来年の春には社会人。そして家を出るだろう。
さて後何回プレゼントをもらえるのだろう。
クリスマスの予定はそれと共に無くなってしまう。・・・のかな。
あの曲を聴くと今でもハラハラする。ある意味恨めしい。
クリスマスソングとしてはいい曲だ。
でも子供には、特に幼い子供には聞かせたくないと今でもハラハラしている。