HOME

HOME

2005.02.28
XML
テーマ: 心の病(7259)
カテゴリ:
生まれてきたこと、それ自体間違っていると思っていた4年前までの私。

今は明るく元気な先生をしていて、生徒たちから見れば、私は順風満帆に人生を送ってきたように見えるらしい。

でも、実はそうじゃなかった、私の過去。

地方の公立大学へ進学した私。
実家を離れて一人暮らしをすることになった。
希望に満ちていたのは、入学してから2ヶ月くらい。
大学1年の秋くらいから自分の存在に疑問を抱くようになった。

「この世界に私のことを必要としている人はいるのかなぁ」

誰もいないような気がした。



**************************************************************************
何でそんなこと思うの?
って思われるでしょう。

私には弟がいました。
野球一筋、ケンカを吹っかけられても「オレはスポーツマンだから」なんて言って、殴られて帰ってきたこともあった。
マジメすぎるくらいマジメで、優しすぎるくらい優しいヤツだった。

だけど、ある日突然、弟の左半身は弟の言うことをきかなくなった。

「脳腫瘍」

それが私の大切な弟を奪った病気。

初めは私も「絶対治る」と両親から聞かされていて、それを信じていた。
2ヵ月後、父親から「最悪の事態も覚悟しておけ」と宣告された。


だけど、家族の誰一人にもそんなことは言わなかった。

放射線治療で髪の毛が抜け落ちた時、お見舞いに行って弟を見た私が一瞬見せた驚きの表情。
弟は笑った。「髪の毛抜けちゃったよ」って。

母親にこんなことを言ったらしい。


「お父さんとお母さんだと子どもが困るでしょ。
 姉ちゃんは先生目指して頑張ってるからダメだし、
 妹がこんな病気になったら可哀想だし。」

「だからオレで良かったんだ。」


最後の最後まで家族を困らせるようなことを全くしなかった弟。


出会った人全てに、「出会えて良かった」そう思わせてこの世を去っていった。

私は弟の分まで精一杯生きる、そう心に決めた。
だけど、現実の私は……

自己嫌悪の毎日だった。
きっと病気になるべきは私で、死ぬべきだったのも私で、それが何かの間違いで弟にいってしまった。

弟を殺したのは 私 なんだ、そうとしか思えなくなった。

「私が生きててゴメン。お父さん、お母さん、大切な息子を奪ってゴメン。妹、かっこいいお兄ちゃん奪ってゴメン。本当ならこれから弟に出会うはずだった全ての人たち、いいヤツ奪ってゴメン……」

そこから私は自分の存在を無意味だって思うようになって、
「今ここで手首切ったらいなくなれるのかなぁ……」
なんて愚かなことまで考えるようになっていた。
だけど、怖くてそんなこともできなくて、ただ毎日自分を責めて、辛くなって過食して、また自己嫌悪に陥って、自分を責めて……

悪循環。

**************************************************************************
でも、今の私は明るく生きている。

それは、誰かに必要とされている実感を得たからじゃないかって思う。

そして、自分自身が自分のことを受け入れることができたからだと思う。

人は所詮1人。
自分のことをキライになるのも自分。
そんな自分のことを追い詰めたのも自分。

生きることを許されなかった弟。
生きることを許された私。

生きたくても生きられなかった弟。
私は 生きなくちゃいけない。
間違っても自分の存在を消すようなことはしてはいけない。
それなら自分のことを受け入れよう。

もし、もし、だけど、天国っていう場所があって、そこで弟と再会できるのなら、「私は精一杯生きたよ。」
って弟に誇れるような生き方をしたい。

人は所詮1人。
自分のことを誰よりキライになれるのも自分だけど、
誰よりも応援してあげられるのも自分だって気づいた。

それなら私は私を誰よりも応援してあげたい。

そう思えた時、私の人生は変わったんだと思う。

**************************************************************************
恋人となった今の彼。
彼は私と出会って良かった、そう言ってくれた。

見たこともない私の弟のお墓参りに、嫌な顔1つしないで来てくれたことがある。
「としくん、来たよ~」
なんて笑顔で言いながら。

墓前で長いこと手を合わせていた。
「男同士の会話してたんだ。」
そう言って、彼は笑った。

弟の話をすると、大体の人がどう反応していいのかわからないって顔をするのに、
彼だけは違った。

弟を「死んだ人」じゃなくて、私の大事な「弟」として受け入れてくれた。

この人と出会えて本当に良かったって思う。
生きていて良かったって思う。

私は「弟の分まで生きる」ことはやめにした。
弟の人生は弟にしか送れなかったもの。
私は私に与えられた人生を、私なりに精一杯生きようと思う。

**************************************************************************
今週で中学3年生の授業は終わりになります。
私は最後の授業で、弟のことを話そうかなと思っています。

これからいろんなことがあるだろう、生徒たち。
辛いこと、生きるのが嫌になること、きっとそんなことも一つや二つ経験するのでしょう。

今日もまた、ネットで出会った人たちと集団自殺をしたというニュースを耳にしました。
生きたくても生きられない命。
生きてていいのに自らそれをやめる命。

「生きる」ってすごいことだよ。
一時期辛くっても絶対光は射してくれる。

大切な人を亡くす、なんて経験はしない方がいいに決まっています。
もう弟が亡くなってから8年になるけれど、おそらくこれ以上の悲しみはもうあり得ないと思います。
そして、この悲しみと私は一生向き合っていかなくてはいけません。
だけど、そんな経験をした私だからこそ、伝えられることがあるはず。

生きよう、光が射す方を探しながら。
たとえどんなに長いトンネルだとしても、トンネルには終わりがあるんだから。
かすかな光が射すまで、手探りで進もう。






お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

Last updated  2005.03.02 02:31:33
コメント(3) | コメントを書く
[心] カテゴリの最新記事


■コメント

お名前
タイトル
メッセージ
画像認証
上の画像で表示されている数字を入力して下さい。


利用規約 に同意してコメントを
※コメントに関するよくある質問は、 こちら をご確認ください。


初めまして  
甘酒8335  さん
何度も読み返しました

Re:生きること…私の過去(02/28)  
環♪  さん
はじめまして。

何度も自殺未遂を図っている私にとって、涙が出てきました。私は生かされているのですね・・・。練炭自殺のニュースを聞き、羨ましくなってしまうようなヤツですが、こうして、大切な人を失った人の話を聞くと涙が出てきます。 (2005.03.02 17:04:22)

Re[1]:生きること…私の過去(02/28)  
桜井くるみ  さん
環♪さん

はじめまして。書き込みありがとうございます。

>何度も自殺未遂を図っている私にとって、涙が出てきました。私は生かされているのですね・・・。

死に至るような病気にもならずに生きているっていうことは、生きている意味があるってことだとおもうんです。

>練炭自殺のニュースを聞き、羨ましくなってしまうようなヤツですが、こうして、大切な人を失った人の話を聞くと涙が出てきます。

私は練炭での集団自殺の話を聞くと、正直言って腹が立ちます。その分の命を弟にあげてくれ!!って。もちろんそんなことはできないから、生きてていい命を自ら絶つ人に怒りが……
と同時に、その人の家族のことを思い、涙が出ます。

生きてください。

-----
(2005.03.03 11:37:46)

【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! -- / --
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x
X

PR

Keyword Search

▼キーワード検索

Profile

桜井くるみ

桜井くるみ

Favorite Blog

11月17日 月曜日 New! がんばれ営業マン!さん

*^▽^♪ゆっくり自然体… 速報nagomu&nagomiさん
お金持ち.biz お金持ち.bizさん
tickle tickle テン… うなままさん
子育てママ&パパ … k@-zuさん

Archives

2025.11
2025.10
2025.09
2025.08
2025.07

Comments

ペット総合サイト @ アクセス記録ソフト 無料 楽天 アクセス記録ソフト! <smal…
桜井くるみ @ Re:初めまして(09/17) まさみ0322さん こちらこそ初めまして…
まさみ0322 @ 初めまして ダイエットしているんですか(><*)私…
桜井くるみ @ Re[1]:1年ぶり(09/08) かのん75さん 本当にご無沙汰してまし…
かのん75 @ Re:1年ぶり(09/08) お久しぶりです。 母子共元気みたいで安…

© Rakuten Group, Inc.

Mobilize your Site
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: