わたしのこだわりブログ(仮)

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2013年10月21日
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今回も引き続き凝ったギルド・ハウスの装飾の写真を中心にしています。
どちらかと言えば建築系の人向けですねスマイル

実際そこに行くと位置が高いので実は肉眼では気付かない物もありますし、細部などはたぶん地元の人でさえ見た事も無い部分もあると思います。

今回上部の装飾を見ていると、あちこちに最初のギルド達の意匠が残されているのがわかりました。
それなのになぜ建物名は何も関係ないドアの近辺の装飾から来ているのか?

下しか見えていなかったからなのかな?


ブリュッセル(Brussels) 4 (グラン・プラス 4 西面ギルドハウス 2)

中世の軒

西面ギルドハウス   左3件から続き・・。
pict-西ギルド 2.jpg

中世の軒
中世の家の屋根は全て山形の形状をした切妻造(きりづまづくり )であり、 街においては妻面(つまづら)or妻側の三角の面を道路面に向けるように定められた条例があった 言う。
土地に余裕のある場所ではまれに例外もあったろうが、その逆はほとんど無いようだ。

つまり 欧州の独特な街並み「軒が道路面に連なって並んでいる風景」は中世に美観・・と言うよりはもろもろ合理的な意図で計られて決められた そうなのだ。

妻面を道路側に並べた理由の一つは土地の有効な利用が目的
二つ目は 屋根からの排水を合理的に落とす事 だったようだ。

一つ目の土地の有効な利用は、母屋が縦長になり、一見京都のウナギの寝床方式にも思えるが、税金で間口が狭い・・と言うよりは、 できるだけ多くの家が表通りに面す事ができるようにと言う市当局の配慮 だったようだ。

二つ目の排水は家々をつなげる事で共通の樋(とい)を付けて雨水が合理的に落ちる構造で建築されている・・と言う事。

ギルド・ハウスはともかく、こうした軒の連なった一般の家々の場合、通りの人から見えない場所に中庭があり野菜を植えたり、洗濯物を干したり、鳥や山羊など飼ったりもできるような通風や採光も考慮された空間も備えられている。

今も残る中世の街並みは、こうした決まりが今も生きていて引き継がれ、どんなに敷地が分割されようが、「妻側が表」の原則は守られ続けているから・・ のようだ。

pict-西ギルド 23.jpg
5 射手同業組合・・・・・・・・・・・・・建物名 雌狼(La Louve)・・・・現在銀行
6 船頭同業組合・・・・・・・・・・・・・建物名 角笛(La cornetto)・・現在銀行
7 小間物商同業組合・・・・・・・・・建物名 狐 (Le Renard)・・・・・現在銀行

中世商人が富裕になると、これらギルド・ハウスのように破風や出窓などに意匠を凝らした装飾が施されるようになったそうだ。

5 射手同業組合・・・・・・・・・・・・・建物名 雌狼 (La Louve)・・・現在銀行
pict-西ギルド 8.jpg
破風下のメダリヨン(medallion)の肖像は古代ローマの皇帝である。

破風の彫刻が射手同業組合を表らわしているのだろう。
pict-西ギルド 17.jpg

pict-西ギルド 15.jpg

pict-西ギルド 20.jpg

建物名の雌狼 (La Louve)はこのドアの上のレリーフから来ている。
pict-西ギルド 21.jpg
正確に言えばレリーフは、雌狼に育てられている双子の子供達。

ローマ建国の 伝説
これは ローマ帝国建国の逸話「双子の兄弟ロームルス (Romulus) とレムス(Remus) 」の話 です。

陰謀で叔父にテヴェレ川に捨てられた双子を雌の狼が育て、やがて人に引き取られ成長。後に二人は祖父の軍隊に捕らえられて孫と判明するのですが、その後街の建設でもめて兄が弟を殺して兄ロームルス (Romulus)が建国の父となる。

「牝オオカミの乳を飲む双子の兄弟の図」は紀元前3世紀には成立していた話で、紀元前269年製造のローマ貨幣にはすでに刻印されていた そうだ。
それ故めずらしいアイテムでは無かったようだが、なぜこの建物にローマ帝国関連の装飾がたくさんあるのかは謎である しょんぼり

射手同業組合を示す印はドアの装飾にも現れている。
pict-西ギルド 22.jpg


6 船頭同業組合・・・・・・・・・・・・・建物名 角笛(La cornetto)・・・現在銀行
pict-西ギルド 24.jpg

資料が無いので定かでは無いが、メダリオンの肖像がスペイン女王イザベラ1世で、サイドがコロンブスとマルコポーロの像かもしれない・・。

pict-西ギルド 25.jpg

写真では下の方が見えないが、おそらく海神トリトーン(Triton)ローマ名ではトリトーネ
pict-西ギルド 26.jpg
馬に見えるが下半身はたぶん魚。海馬である。

窓枠の意匠は海に関する物。
ここは船頭のギルド。船や海に関するものが豪華にちりばめられている。
pict-西ギルド 28.jpg

pict-西ギルド 33.jpg
A・・建物名 角笛(La cornetto)の意匠
B・・建物名 狐 (Le Renard)の意匠

建物名 角笛(La cornetto)の由来となった意匠
pict-西ギルド 27.jpg
船の警笛代わりだったのかな?

7 小間物商同業組合・・・・・・・・・建物名 狐 (Le Renard)・・・・現在銀行
pict-西ギルド 29.jpg

pict-西ギルド 30.jpg

5人の女神の像は5大陸をあらわしているようです。
pict-西ギルド 31.jpg

狐 (Le Renard)の由来となる狐はやはりドアの上の飾りからきていた。
pict-西ギルド 32.jpg

西面ギルドハウス 終わります。

グラン・プラスの北西側、王の家の左側のギルド・ハウス
pict-北西ギルド 1.jpg
右から
20 ・・・・・・・・建物名 兜・・・・・・・・・・現在レストラン
21 ・・・・・・・・建物名 孔雀・・・・・・・・現在レストラン
22 ・・・・・・・・建物名 子狐・・・・・・・・現在レストラン
23 ・・・・・・・・建物名 柏の葉・・・・・・現在カフェ
24 ・・・・・・・・建物名 聖バーバ・・・・現在レース屋
25 ・・・・・・・・建物名 ろば・・・・・・・・現在コブラン屋
26 ・・・・・・・・建物名 バターの家・・・現在

こちらはそれほどの装飾もないのではしょらせてもらいます。

事情がありグラン・プラスあと1~2回で終わらせます。
次回は市庁舎です。
リンク ​ ブリュッセル(Brussels) 5 (グラン・プラス 5 市庁舎 ガーゴイル)






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Last updated  2020年09月27日 02時30分53秒
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