夢 幻 空 館  ~Let's enjoy your stage~

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見失ッテイタモノ


見失ッテイタモノ



ある日の夕暮れ、少女はひとりの老人に出会った

何か落としたのだろうか、少女は困っていた

そんな少女に老人は声をかけた




おや・・・

どうされました、探し物ですか?

大事なものを落としてきてしまった・・・

それはそれはお困りでしょう




わたしも一緒に探しましょう






落し物を一緒に探しながら

老人は尋ねた





あなたにとってそれはどんなものだったのですか?


暖かいもの 

懐かしいもの 

綺麗なもの



少女は答えなかった


老人は言った




・・・・そうですか、今のあなたにとって

失うのが怖いモノなのですね・・・





もう日が沈むという頃になっても、

残念ながら少女の落し物は見つからなかった。

少女は老人に

「これ以上付き合ってもらうのは申し訳ない」

とそう言った

老人は言った





そうですか・・・元気をだしてください

あなたを支えてくれる人がいるかぎり

きっと大丈夫・・・・




そして



わたしもその一人ということを忘れないで下さい






そのとき、

懐かしい匂いのする風がそぅっと吹いた


少女の心になにかがそぅっと触れた

その瞳からは涙がこぼれた


老人は言った


よかった・・・

あなたの探し物はそこにあった

あなたの中に残っていた・・・

よかった

本当によかった・・・



そう言いながら老人は沈みゆく夕日の方へ去っていった


その時、少女は言うことが出来たのだ・・・

今までで一番の


「 あ り が と う 」


を・・・・




2005/1/10

あとがき

少女の見失っていたもの、それはなんでしょうか?
人それぞれあてはまったりするんでしょうね。

私の場合は『他人に感謝する心』を見失っていたような気がします。
それを忘れてしまうと自分勝手な嫌な人間になりますよね?

最近の自分がそうだったように思います。


ご感想いただけると嬉しいです


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