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ただあついだけの埃だらけの熱帯のこの街には脂ぎった太った太陽ぐにょぐにょとした路上の果物たち妙にぼくの癇に障るひとびとの笑顔と汗 「ああ、けだるい...」そんなものがやっぱり似合うのだ
2008.05.31
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凍える街。イルミネーション。銀世界。ポインセチア。厚手のコート。グリューワイン。気のせいか少しだけいつもより早くなる足どり。
2006.12.07
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私のこの手のひらのこの臍の中の見ることも無い肺の奥の細胞たちがみんな動くのをやめて静かに私を闇に追いやることだけは確実にいつか起こることなのだ。この世に生を受けたばかりの私の腕の中で眠るこの幼子にもそれはいつか起こることなのだ。ひとはその避けることが出来ないいつかやってる闇の確実さにだけすがって生きているのかも知れない。
2006.12.04
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心の準備も充分でないまま週末の気晴らしに出たこの街の師走の驚くほどのいてつく寒さにわけも無く立ち止まる。この一年僕はいったい何をしてきてのだろうか。
2006.12.03
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死んだ魚の意外にも美しいごわごわしたいや、妙につややかな外皮を見ている。こいつが生きて深海をのびのびと泳いでいるときはさぞ綺麗だったことだろう。なんでこんなことが気になるのだろうか。不思議に思いながらもぼくの思いはその深く蒼い海の底から戻ってこない。
2006.12.01
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花の命が短くてはかないといったのは父さんの国の昔々の歌詠みの人。逞しく空に向かいぐんぐんとのびる美しい花があってもいいじゃないか。そんな風に娘よ、あなたには生きていって欲しい。
2006.11.28
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サラエボの町に今年も、また深く霧が降りる。そんな、季節になった。薄いヴェールのようにやさしくぼくたちを包みこむ。多分、これが当分、おまえとの最後の冬。サラエボよ、愛しの町よ。
2006.11.26
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理不尽なことばかりだと世の中分からないことばかりだと思ったりするから生きるのがつらくなるのだろうね。まあ、君たまには肩の力を抜いて贅沢にどこかの地酒でもあけて朝まで語り合おうぢゃないか。どう生きようと一度かぎりの人生なんだもの。
2006.11.03
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急に鋭くなった晩秋の北風にジャケットの隙間を隠すように腰を丸めながらこの町を通り抜ける。突然すぎる雪。我の眼を疑う間もなくそれを現実と悟るときやられた、不意打ちを食らった。こんな気持ちをいつかどこかで感じたことがあるな。いや、こんな気持ちをいつも心のどこかで感じながらこうして生きてきたのかもしれない。
2006.11.03
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銀杏の木々が金色にその木の葉を染めるときぼくがいつか少年のころあの少し寂しげな少女に憧れたかすかに痛いこの胸の記憶を甘く噛みしめるのです。あの少女はいまもあの少女のままでいてくれるのだろうか、と。
2006.11.01
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にぎやかな夏が過ぎてぼくの肌をくすぐりながら通り抜けていく風が冷たく、よそよそしくなる。カゼタチヌ。どこかで目にしたむかしむかしの詩のように。どこかで耳にした若かったころの歌謡曲のように。今年もまた秋が来て銀杏の木が黄金色に染まっていくのだ。
2006.09.25
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夏。蒸返すような今日も終わった。ふう… やれ、やれ。川の流れがよく見えるこの飲み屋の安物の椅子に腰を下ろしてまだほかに一人も客がいない静寂を楽しみながらひとり冷えたビールでもこの咽に流し込もう。乾杯。こんなのもまあ悪くない。
2006.08.25
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足元がぐらついたときに。信じるものが危うくなったときに。いままでぼくのこころに訴えてきた野の花の薄紫や川の流れの穏やかな小さな波やけだるい午後の少し湿った空気を知らないうちに感じ取れなくなったときに。ちょっとだけ遠い青空を仰いでみるだけでぼくがぼくに戻ることができる。なんだかそんなものだよな。
2006.08.24
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夕暮れ時のこの静寂に遠いおやまが燃えるような空にゆっくりと、ゆっくりと溶けてゆく。むかしむかし母の背中で聴いたあの懐かしい唄のように暑かった夏の一日がこうして暮れてゆく。おててつないでおうちへ帰ろう。
2006.07.20
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さてと、随分長い山道を、息を切らしながら、汗を体いっぱいにかきながら、よくここまで登ってきたもんだ。この辺で、ちょいと一息ついて、小川の冷えた水を、手のひらに掬って飲んで、仕切りなおしとしようか。そうすれば、歩くのに精一杯で、見ることすらままならなかった、夏の日のこの山道の木々たちの、いっぱいにあふれる生命を、モーツァルトのメロディーのように、感じられるかもしれない。
2006.07.19
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眠れない夜の深い深い夜のこの心を癒してくれるジャスミンのお茶の香り。なぜひとはこんなにも苦しめあい憎みあうのだろう。そんなものだよ、と微笑みながら諭すようにジャスミンのお茶は静かな湯気を立てている。
2006.07.07
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去り行く友にその後姿を見つめながらこんな日が来るとは思わなかったなんて嘘で別れたくはない。この日が来るのは知っていたから笑顔で別れられるなんて嘘もつきたくない。別れるこの瞬間に涙が出てくるならそれがぼくの君との別れさ。また、会う日まで。いつかどこかで耳にした歌の歌詞のように。
2006.07.01
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にんじんの皮をゆっくりとうすくうすくむいてゆく。瑞々しいそのからだを縦に4等分にしてグラスが受けた冷たい水にさすとまるでそこだけ別世界のように燃えるようなこの夏の日の午後に浮かんでいる。君はそのにんじんを座りながらカリカリと齧っている。ぼくは隣で君の事をなにかの童話の中のうさぎみたいだなと思って眺めている。
2006.06.28
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ああ、遠い記憶を、ひとりこの暗闇で、密かにたどるとき、わが胸に押し寄せる、言い表しようのない、楽しさ、哀しさ、恥ずかしさ、そして暖かさ。この静けさと、妙に落ち着いた心持は、沢山の人たちにめぐりあい、沢山の人たちにさよならを告げてきた、わが人生の、一片にすぎない。
2006.06.27
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遠い異国の友の便りに遠い昔の懐かしい日々がどうしようもなく押し寄せてくる。ぼくの胸の中であの時のまま止まっているあの場所のあの人たちのあの笑顔はまだそこに居つづけてくれているだろうか。
2006.06.25
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他人を信じたいと思ってもすぐに信じることのできない自分がもどかしく腹立たしくそんな弱さを抱えながらこうして生きていかなければならない自分の弱さに打ちひしがれている。
2006.06.24
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やわらかな初夏。日曜の午後の風と陽光に誘われてどこへ行くわけでもなくみんなで、お散歩。そんなぼくらを包み込むようにこの町を流れる川の息吹が光を放っている。
2006.06.19
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遠くない昔戦場だったこのまちに今年も濃い緑が目に痛いほどの夏が来る。埃を撒き散らして道の舗装に翻弄する機械たちをうつろな目で眺めながら小銭を乞う老婆はこのまちに起こった全ての歴史を知っているのだろうか。サラエボはぼくに訴える。正義なんて陳腐な言葉は忘れっちまえ、と。
2006.06.18
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わずかな光さえ感じることのできないこの暗闇で果てしない絶望を全身で感じるとき。貴女がそんなときでも私の横にじっと立っていてくれること寄り添っていてくれることそのありがたさと暖かさ。
2006.06.17
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ながいながい雨の季節にさよなら。待ちわびた夏の光に思わず、感謝。
2006.06.15
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他人の弱さを受け入れることができるほど強い人になりたいと思いながら…なかなかそうはできない自分に腹を立てながら…ああ、なぜこんなに他人に惑わされながら生きているのだろうと今日も思いながら一日が暮れてゆく。
2006.06.14
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娘よあなたのこわれそうなちいさな、ちいさな手のひらをわが手のひらに乗せるときこの心に伝わってくるやわらかな暖かさよ。不思議な安らぎを与えてくれるあなたはそんなわが心も知らずにちいさな寝息をたてている。おやすみ。明日、あなたが目覚めるときまで。
2006.06.13
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傷を負ったままで方向もわからぬままあるいて行かなくてはならない時もあるのさ。長い歴史を分かち合う友にもなにもかも受け入れてくれた母にも人生を共に歩むことを誓った伴侶にも助けを求めることのできない雪山の吹雪にひとり取り残されながら。山頂を越えた向こう側には傷を癒す場所があることだけを信じながら。
2006.06.09
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胡椒の、黒くてしわしわの、つぶつぶをみっつ、手のひらにのせて、転がせてみる。なんだか、どこかとぼけていて、どこか神秘的。ひとつぶだけ、そっと口の中に放り込み、静かに噛み締めてみると、どこか知らない南の国の、深い海のかおりと、深い密林の湿気で、ぼくは息苦しくなる。
2006.06.09
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今日の終わりに、心地良いこのだるい疲れに…あしたは、どんな喜びで、どんな哀しみで、どんな希望で、どんな絶望で、ぼくに驚きをもたらすのだろうか。こうして、無数に今日の終わりを繰り返しながら、いつかぼくはこの世から、この寂しげな夕陽のように、消えていくのだろう。
2006.06.08
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灰色の五月雨の午後にお昼休みの外出でずぶ濡れになってしまった両足をぼくは気にしている。ああ貴女のまちでも雨なのだろうか。虹でもかかってくれれば少しは微笑むこともできるのに。
2006.06.08
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お昼ごはんの後の、銀の小皿のアイスクリーム。散歩しながら気づく、やさしいかすかな風のにおい。いつのまにかまぶしくなった陽射しと、いつのまにか濃くなった空の青。ゆっくりと通り過ぎる乳母車の中をやさしい皺の目で覗き込む老婆。貴女のことをこうしていつも想っているわたし。そんな、ちょっとした幸せ。
2006.06.06
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ひとりぼっちのさらまんどらのようにつよがっていてもつよそうにみえてもひとはけっきょくこどくなのだとこのはだざむいしょかのよるにかわべりをひとりあるきながらふとおもう。もうそろそろおうちにかえってねどこにつこう。
2006.06.06
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洗濯は嫌いだ掃除も嫌いだでも嫌いでもしなきゃなんない。洗濯も掃除もやった後はけっこう気持ちが良いもんだ。それでも洗濯も掃除もぼくは嫌いだ。
2006.06.04
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異国の一人の週末手持ち無沙汰に昔のアルバムをめくりながらああ故郷の光景だといつしか心ははるかはなれた友のもとに母のもとに父のもとに。故郷の訛りどころかわが祖国の言葉さえ使わなくなってしまったこの異国の日々に嗚呼ぼくはどこへ行くのだろう。
2006.06.04
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もしも、菜の花の大群が、ゆっくり、ゆっくり、哀しい朝の露を集めて、それがいつしか大きな川の流れになって。もしも、あなたの微笑が、けだるい初夏の午後の陽の光と、偶然にもシンクロナイズして、それがいつしか不思議なクリスタルをつくって。もしも、真っ白な雪が、妖精のように舞いながら、この大地を神聖な殉教の場所に変え、それがいつしか私達の深い心に訴えかけて。
2006.06.03
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わかりあえないもどかしさとグラスの深い赤ワイン。ひとがひとであるかぎり避けては通れない神様が創ったその試練は今日もぼくを疲れ果てさせながら深い酔いへといざなう。
2006.06.03
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遥か遠くの太陽の熱さで焦げる様な南の小さな島でなぜふたたび愚かな争いが無垢な人々を悲しみに陥れているのだろうか。あの真っ白な海岸の夕暮れに光る珊瑚のかけらは諦めながら歴史が繰り返すのを静かに観ている。
2006.06.01
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一人の晩酌の酒のつまみに鶏肉を少しだけ酒と醤油だけでぐつぐつと煮込む。昨日の鮮やかな晴天とはうって変わった今日のこの梅雨のようなどんよりした曇り空が闇に包まれていくるのをのんびりと眺めながら。やれやれ今日も無事に終わってくれた。
2006.05.25
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ひとり。この薄暗い部屋にぺたんと座り込んで眠りにつく前のしばしの時間を好きな音楽を聴きながら。グラスのそこにへばりついたようにかすかに残る金色のスコッチに今夜の夢を。Good night,Laku noc,おやすみ、なさい。
2006.05.25
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静かに、それでいてほがらかに、きらきらと輝きながら、春の小川は流れる。そのほとりを、老女が黒い犬を連れながら、ああ、幸せな人生でした、とでもいいたげに、穏やかなかすかな微笑で、通り過ぎていく。そんな春の昼下がりに、ぼくはいる。
2006.05.24
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こんな日はリュックサックに荷物をまとめて何も考えずにただこの風が促すままに旅に出たいな。こんなにお天道様が生きる喜びを照らしている日は。
2006.05.23
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ひとつひとつのぼくの細胞がこうしてぼくの意思とは関係なく生まれ動き死んでいく。その様子をぼくは知るすべもなくただ時を渡りそれはまるで無声映画の喜劇のように。
2006.05.23
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壊れて水の出ない噴水の前に立って汗を拭いている。暑くて暑くてたまらない日のためにそれを少しでも涼しげにするために水を噴き上げていたはずの噴水の残骸はこの暑い初夏の日をなおさら暑くしている。とんでもなく枯れているくせに泣いているようでもある。こんなに暑くてぎらぎらしているのにどんより曇っているようでもある。
2006.05.22
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五月の、うるさいほどに小鳥たちの囀る、このザグレブの森の、なんと生命の生茂っていることか!勇ましく、誇らしげに聳え立つ木々の、その新緑から注ぎ来る強い日差しを、この胸いっぱいに浴びながら、ぼくは、この瞬間に感謝する。深い木々の緑よ、鮮やかな初夏の空の青よ、お前たちはぼくが生まれるずっと前からこの世を包み、ぼくが消えた後もずっとこの世を見守り続ける。
2006.05.22
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なにを、いったい、なにを、あなたは、言おうとしているの?伝えようとしているの?きらきらとした、むかし、ぼくも沢山持っていた、七色のビー玉のような目を、ずっとこっちにむけながら。もどかしそうに、なぜわからないの、とでも言っているように。
2006.05.19
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鳩は嫌いだときみは言った。鳩は好きだとぼくは言う。デデ、ポッポー早足の酔っ払いのような足取りで一羽の鳩がぼくたちの前を通り過ぎていく。鳩の大群はちょっとこわいけどぼくはやっぱり鳩が好きだ。きみはやっぱり鳩が嫌いなんだね。
2006.05.19
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とりとめもなく昨日から散かったままの仕事場の机。とても濃いちいさなカップのエスプレッソ。ミルクも砂糖も入れずに一気に飲み干しておはよう。本日も、快晴なり。
2006.05.18
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Good luck.はるかな旅を終えて、祖国に戻るきみの、すこし、おびえたような、そして、とてもとまどっている、大きなふたつの黒い瞳を見ている。Cheerio, until the day to see you again.そして、Good luck.
2006.05.17
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あなたにずっと、一緒にいてください、と告げることができた、遠いあの日の大きな勇気をぼくはどこで、拾ってきたのだろう?その大きくて、でもとても小さな勇気をとまどいながら受け止めてくれたあなたのやさしい微笑をぼくはいつまでも忘れない。
2006.05.17
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