マジョルカより愛を込めて

マジョルカより愛を込めて

2007.01.15
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カテゴリ: 脳腫瘍
月曜日。成人の日。

母が来て、転院の日程の話になった。

1年ほど前から母と私は易学を勉強していた。
“入院や転居は方位や日が重要”と教わっていたので、母が易学の先生に相談してくれたところ、
転院を考えているKS病院の方角は吉であり、明後日の水曜日が良い、
さらに明日南西方位の祐気取りした方が良いとアドバイスを受けた。

祐気取りとは、運気を強めるために良い気をいただく開運法をいう。
具体的には、相性の良い方角にある湧き水(気)を飲用する。

明後日に転院するならば、手続きするのは明日しかない。

今回の祐気取りの先は、自宅から往復で2時間ほどかかる距離の場所だ。
このC病院からだと1時間くらい余計に時間がかかる。

明日は母に忙しい思いをさせてしまう・・


火曜日。

転院用の資料を受け取るために病室で待機していた母は、
一刻も早く出かけたいと気が急いて落ち着かなかった。

指定された8時半を20分ほど過ぎて、ナースが資料を病室に持って来た。

「じゃあ、行ってくるわね」待ち焦がれていた母は、資料を抱えて出かけた。


賭けだった。
S病院についての情報は一切ない。
C病院のY医師よりも私たちの話を理解してくれるとは限らない。



S病院に到着した母は、担当になったM先生と面談した。

M先生は母の持参したCTとMRIの写真を見て絶句し、
あまりに厳し過ぎる状態だと受け入れを拒んだ。

C病院から手渡された資料は、入院当日に撮った最悪の状態の写真だった。


「悪いものではないとC病院で診断されました」


C病院のY医師から連絡が入っているはずだと母が主張すると、
M先生は「今現在までそのような電話は受けていません」と否定した。

「娘を助けてやってください」

受け入れてもらわなければ困る。母は必死だった。

M先生と母は睨み合った。



「患者さんは、動かしても大丈夫ですか?」

ついにM先生は受話器を取った。

C病院に、必要な資料が揃っていないので翌日患者本人に持たせてほしいと依頼した。



S病院から戻った母は、こうしたことを一切口にせず、
病室に入るなり頭の上で大きく丸を作って笑った。
(この日のことを聞いたのは後日のことだ。)


母は途中で買ってきたお弁当を私と一緒に病室で食べて、急いで祐気取りに出かけた。


3時間ほど経って、母が水を入れたペットボトルを3本背負って帰ってきた。


「今日は電車の調子がすごく良かったの。こんなに調子良く行くんだもの。
大丈夫! 絶対に良くなるわよ」

疲れているだろうに、私の前では終始笑顔を絶やさなかった。





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Last updated  2007.01.15 15:14:00
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