
お暑うございます。
朝の公園には、男が横たわっていました。
荷物を散乱させて、赤黒い顔で、手足をナナメに投げ出したまま。
生きているのかな?
犬に水を飲ませていると、男が顔だけひょいと持ち上げる。
「暑いですね、だいじょうぶですか?」と声を掛けると、
寝転がったまま、少しほどけた顔で、うなづく。
そりゃ、わかるけど、あんな公園じゃ、、
お母さんたち、子どもを安心して遊ばせられない。
画像は、「種子を粉にひくな」というケーテ・コルヴィッツの絵。 「種子を粉にひくな」というのは、ゲーテの言葉だそうですが、 これから蒔くべき種を、パンの粉に挽いてはいけない。 転じて、これから世の中を作るべき若い人、幼い子どもたちを戦いのために、 死に追いやってはいけない。 と言った母の守りの腕にしっかりと守られた子どもたちを描いています。 (ゲーテの出典はどこなのでしょうね。どうも調べてもわからない。)
わたしは、この言葉を聞くと、特攻隊のもと、
死に追いやられた多くの日本の若者を思います。
「聞けわだつみの声」という本には、
彼らの今際の際で書かれた多くの文章であふれています。
知恵もあり、多くの才能に満ちて、そして勇気ある若者が、
お国の名の下に、一枚の木の葉のように命を投げ出されていった戦争。
彼らが生きていたなら、日本の文化ももっと知恵の深みに満ちていたのではないかと、
わたしは、ときどき思うのです。
蒔くべき種を粉にして、パンにもせずに吹き飛ばしてまで、
ありもしない勝利を願った人たちは、いったいどんな未来を夢見たのだろうか。
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