★絵夢のお家★

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2007/03/02
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質問があったので少し掲載を。フリーページにも、そのまま残します。

インフルエンザ脳炎・脳症

 ここ数年インフルエンザによる死亡例の報道が目立つようになってきました。

 ある日、夜間に突然、「インフルエンザだとしたら48時間以内に受診しないと死んでしまうと聞いた」と慌てて駆け込んできたお母さんがいましたが、不安をあおり立てるような報道にも問題はあるものの、現時点での情報を整理してお伝えする必要性を感じています。

● 頻度・年齢・発症日数・ワクチン接種の有無

 インフルエンザ脳炎・脳症に関する厚生省の調査では、1999年1月から3月までに全国で217例のインフルエンザ脳炎・脳症と考えられる症例があり、男女比に差はありませんでしたが、別の報告では男性の方が多い傾向にあります。発症年齢は、 5歳までに全体の82.5%が含まれ、中央値は3歳でした。 217例のうち、完全に回復したものが86例、後遺症の残ったものが56例、死亡したものが58例で、インフルエンザの発症から脳炎・脳症の発症までの期間は平均1.4日でした。 このなかにインフルエンザワクチンの接種例はありませんでした。

 なお、高齢者のインフルエンザによる死亡はほとんどが肺炎によるものであり、これは従来より広く知られていた事実で、ここ数年変化したわけではなく、高齢者と乳幼児を同列に論じるのは意味がありません。

● 症状
臨床経過からは、脳炎・脳症の発症の可能性を予測することは出来ません。症状は、意識障害がほぼ全例に認められ 、けいれん、麻痺、嘔吐、精神症状(興奮など)があげられます。しかし、熱が高いときにうわごとを言ったり様子が変だったりすることはインフルエンザではよくみられることであり、また、熱性けいれんはインフルエンザで引き起こされやすく、けいれんをもって脳炎・脳症を予測することは出来ません。ただし、けいれんが長引いたり意識障害がある場合には脳症を疑う必要があります。
● 原因

 現在、脳炎・脳症が引き起こされる明らかな原因はわかっていませんが、調べられた ほとんどの例がA香港型 だったことがわかっています。1997-1998年はA香港型が流行して患者数は過去10年間で最高になり、脳炎・脳症も多発しました。1998-1999年は同じ型が流行したため、乳幼児や高齢者では重症化した例が目立ちましたが年長児では大きな流行にはなりませんでした。

 重症化した例は A香港型に初めて感染して発症した ものと推察されます。  

 日本で初めてインフルエンザ脳炎・脳症を報告して警告を発した市立札幌病院の富樫医師は、脳炎・脳症を発症した時点で、血液の凝固異常があった例では予後が悪く、死亡例では全身の臓器に血栓などが認められることなどから、ウイルスが全身の血液にまわり(ウイルス血症)、血管の内皮細胞を障害して血液の凝固障害を引き起こし、脳やその他の臓器の血栓や血管の破綻を来すのが本態ではないかという説を述べておられます。

 その他にもいくつかの説がとなえられており、遺伝的因子や人種などの要因も考えられていますが、詳しくはわかっていません。

● 解熱鎮痛剤の使用との関連
   欧米におけるライ症候群とアスピリンの関係から、インフルエンザ脳炎・脳症についても、解熱剤が関与しているのではないかという懸念があり、ジクロフェナクナトリウム(商品名ボルタレン)、メフェナム酸(商品名ポンタール)、アセトアミノフェン(商品名アンヒバ、カロナール)、その他の解熱剤の使用について検討されました。その結果、ジクロフェナクナトリウムまたはメフェナム酸が使用された症例では死亡率が高かったものの、これらの薬は熱が高くなる重症例に使用される傾向があり、統計的に解析してこれらの解熱剤と死亡についてわずかながらも関係が疑われる結果が得られました。

  アセトアミノフェンについては解熱剤を使用しない例と死亡率に差はありませんでした。  この結果は、科学的な判断を下すには十分な情報とは言えず、脳炎・脳症を発症した症例の中で死亡例と生存例の比較をしても本当の危険性は証明できないだろうという意見が多いのです。世界的にみてもアセトアミノフェンおよびイブプロフェン(商品名ユニプロン)が第一選択とされており小児のインフルエンザ患者に使用されていますが、欧米では脳炎・脳症の多発はみられておらず、脳炎・脳症の発症に関連はないというのがコンセンサスになっています。

 当院でもアンヒバがほとんどで、年長児の経口薬としてポンタールも使っていましたが、この調査結果も踏まえてカロナール細粒・錠に変更しています。  ここでポイントになるのは「熱さましを使用したのに熱が下がらないから心配」と考えないことで、熱を下げないと悪くなるのではなくて、悪化するときは熱も下がらないということです。これは表現上の微妙な違いにみえるかもしれませんが、大きな違いがあります。

心配なときはかかりつけ医にご相談下さい。(*^_^*)

http://ota.on.arena.ne.jp/pediatrics/influenza_enchephalitis.htm   より


脳炎・脳症


脳に炎症や脳全体が腫れることにより、頭の中の圧力が高まった結果、いろいろな症状がでてくるものをいいます。生命が危険になることもしばしばある、非常に重篤な疾患です。

原因
脳炎は 主としてウイルス感染に引き続いて起こるもの (麻疹、風疹、水痘、おたふくかぜなど)とヘルペス、コクサッキー、エコー、日本脳炎などのウイルスが直接脳に感染し、脳に炎症が起こることによって起こります。
脳症は 原因がよくわかっていないものが多いのですが 薬物、金属などの中毒、酸素の欠乏、ウイルス感染と薬物が相互に作用したものなどが考えられています。

症状
発熱、けいれん、意識障害が最も多い症状です。嘔吐、頭痛、その他の神経症状、行動の異常などが見られます。

診断
脳脊髄液の検査、CTスキャン、MRI、脳波などを検査し、診断します。
脳炎は脊髄液に炎症細胞が増え、脳症は脊髄液に炎症細胞は見られません。

治療
入院して、安静にし、輸液を行ない、脳内の圧力を下げる治療を行います。それ以外にウイルスに直接効果のある薬や脳の機能を良くするような薬を使用します。

予後
ウイルスの種類や治療効果、免疫力など多くの因子が予後を決定します。いったん脳炎を起こした場合には生命が失われることも珍しくありません。意識障害が続いたり、けいれんが止まらなかったりといった脳症状が続く場合には、命が助かっても精神や知能、運動機能が障害されてしまうことがかなりあります。また、二次性のてんかんなども後遺症として残ることがあります。

予防について
日本脳炎はもちろん、麻疹などウイルス感染は脳炎を起こすことがあります。これらワクチンで予防できる疾患についてはできるだけワクチンをしておいてください。麻疹、風疹、おたふく、水ぼうそう、日本脳炎など。
インフルエンザも脳炎・脳症を起こすことがあるので、これもワクチンが必要でしょう。
ライ脳症の予防の予防のために水ぼうそう、インフルエンザのときにアスピリンを使用しないことやインフルエンザ脳症を予防するためにインフルエンザのとき非ステロイド系の解熱鎮痛剤(ポンタール、ボルタレン)を使用しないようにしなければなりません。
ヘルペス脳炎も早期の治療が必要で、重症ではありますがお薬で治療可能な病気です。
高熱があり、うとうとして呼びかけてもなかなか返事しないとか、起こしてもすぐに眠り込んでしまうといった意識障害が見られる場合、けいれんが止まらない場合には至急病院を受診してください。

http://www.harenet.ne.jp/senohpc/disease/encepha.html  より






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最終更新日  2007/03/03 01:19:21 AM
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