真夏のトモミ

真夏のトモミ

2回目の水中出産


陣痛が始まってから、約1時間ちょっとのあっという間の出産だった。

ちょうど台風が日本列島の横を通過していたころ・・・。
その日は、長女と約束していた映画「レミーのレストラン」を保育園を休ませて見に行った。
お昼に自然食系レストランでバイキングを満喫♪
午後は、ファミリーサポートセンターで、産後の支援の登録を済ませた。
梅干しも干し終わったし、さー、これでもうやることやったなと思ったその夜。

9時頃、お風呂に子どもたちと入ろうとしたところ。
おしっこがうまく出ない。
ちょっと出たと思うと途切れ、もう終わったかなと思っても、またちょろちょろっと出たりするのだ。
あれー、おかしいな。まさか、破水?と思ったけど、やっぱりおしっこみたいだ。
まあ、いいやとお風呂に入ったところ、なんだか下腹がちょっと痛い。
も、もしや・・・。と思って、時計をチェックしていたところ、やっぱり周期的に痛みがきている。
うん、これは陣痛だ!と確信。
お風呂から出て、9時半に助産婦さんに電話。
ところが電話がつながらない!!
とりあえず、留守電に「陣痛らしきものが来てます。お願いします。」と入れた。
10分後、折り返し電話がかかってきて「こっちでもお産があって、電話に出られなかったのよ~。ごめんね。今すぐ行くから!!」と助産婦さんから。
しかし後で考えると、この10分が大きな意味があったのだ。

連絡もついたことだし、ほっとして、お産の準備をする。
ジュースを冷蔵庫からとってきたり、防水シーツを敷いたり・・・。
夫には、お風呂を新しく入れてもらうように頼んだ。
そんなこんなしている間に、陣痛の間隔はどんどんせばまっていった。
あれ~、陣痛って最初からこんなに痛かったっけ・・・?

あまりの痛さに顔をゆがめて、自分で腰をさすりながら、痛みを乗り越えている私の様子を見て、長女が泣き出した。
「だって、だって、こういうの初めてなんだもん・・・。」と泣きじゃくっている。
やっぱり3年前次女の出産の時のことなんて、忘れているよね。
私のこと、かわいそうだと思っているのかなあ。
そのうち、一緒になって腰をさすってくれた。
なんとかして私の役にたとうとしてくれているのが嬉しい。
次女の方はといえば、けろっとして動揺の様子はなさそうだ。
こういうところは、さすが次女。

しかし、陣痛はやっぱり痛い。
というか、この進み具合はかなり早い。
お休み時間が少ないので、余計つらく感じるのだ。
「お風呂、早くして~!今回、進みが早いよ!!」と掃除をしている夫をせかした。
お風呂には、海の精をたっぷり、それからアーニカとカレンデュラのチンキを20滴ずつ入れた。
10時、「助産婦さんが来てから入った方がいいんじゃない?」という夫の制止にもかかわらず、我慢できずにお風呂に飛び込んでしまった。
あまりの痛さに、陸上では耐えられない!!という感じになっていた。

お湯の中に入っても、猛烈に痛い。
どういう格好をしても痛くって、あれこれやってみるが、とにもかくにも痛いのだ。
ひゃー。次女の時はこんなにも痛くなかったぞと思ったけれど。
会陰を児頭がぐいぐい押してる感じがする。
いやー、もうだめだあ!ちょっと腹圧かけてみようと思った。
ふーーーっと息を吐いて、お腹に力を入れてみる。
すると、頭がぐぐっと出てくる感触が!
間髪入れずにまた陣痛が来る。
「あー、私また一人で産んじゃうんだなあ・・・」って思った。
ここまでくると、もう出すしかない!!と思いっきりいきんでしまう。
あーもう出そうだ!!と思ったけど、一気に出したら会陰が切れそうなので、1回途中いきみを我慢する。
いや~、しかしお股に頭がはさまっているこの感覚といったら!
なんと表現したら良いものか・・もうとにかく極まってる感じ。

3回目のいきみで、まさに「シュポン!!」と水の中に飛び出してきた。豆鉄砲のように。
赤ちゃんの体が、一瞬水の中で静止し、背中からふわ~っと浮かび上がってきた。
それは思っていたよりもちっちゃくて、手足をぎゅっと縮めて丸まっていた。
そう、まるで冬瓜みたいな形。

さすが一人で産むのも、今回は2度目とあって動揺はしなかった。
そっとお腹に乗せてみる。
うっすら目を開けて、「ふにゃ~」と言った。
なんていうか、かわいいというよりも、不思議な気持ちになった。
お風呂の入り口のところで、見守っていた子どもたちも寄ってきて、頭をなでなでしている。
「ママー、生まれたね!!」と長女は嬉しそう。次女は、ちょっと呆然とした表情で、おそるおそる赤ちゃんをのぞきこんでいた。
「ママ!へその緒、首に巻いてるよ!!」と長女が教えてくれた。
あわててへその緒をはずしてやる。

しかし、その間、夫は何をしていたのか?!
なんと、今回も現場にはいないで、外で助産婦さんを待っていたというのだ。
でも、助産婦さんは家の場所も事前に来て知っているし、べつに外で待つ必要はないと思うんだけど・・・?
要するに、その場にいられなかったんだろうな。
こわいのか?動転してしまったのか?よくわからないけど、あんまり追求すると、彼のプライドを傷つけてしまいそうなので、それ以上の追求はやめといた。
でも、本当はその場にいて、一緒に誕生を喜んでほしかったけどなあ・・・。

それから10分後くらいだったのだろうか?
「急いで来たんだけど、間に合わなかったか~」と助産婦さん到着。
「ここの家の子は、助産婦いらずだね。」と苦笑い。
でも、あの電話の10分遅れがなかったら、間に合ってたはず。
一人で産んだのは、確信犯じゃないよ。
まあ、これも運命だったんだろうな。

胎盤を出してもらい、ほっと一安心。
生まれた子は、体重3080gと今までの中で一番小さい、理想的な体重だった。
へその緒の拍動も止まり、いよいよへその緒切断。
長女が「私が切りたい!」と言うのでやってもらった。

その後、落ち着いてから、念願の胎盤を食べさせてもらう。
正直、繊維質が多くて水っぽく、そんなにおいしいものではないなと思った。
でも、子宮の収縮を促し、出血を止める作用があるらしいので・・・。
案の定、今回も出血が多くて助産婦さんを心配させてしまったけれど、胎盤のおかげか、はたまた梅醤番茶のおかげか、とりあえずおさまってくれた。
さっそく赤ん坊はおっぱいを吸い始めた。
かなり強い吸引力!
赤ん坊が乳を吸うたび、後陣痛がかなり痛い。いやーな予感。

そして日付もかわった頃、助産婦さんは帰り、私たちも眠りについた。
長女も次女も、赤ちゃんの誕生に立ち会うことができたのは、本当によかった。
でもって、一人で出産できたことも。
一人で産むのが一番気楽だし、集中できるし、それが私に合ってるんだとつくづく思う。
自宅出産バンザイだ。



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