日記

2002.10.21
XML
カテゴリ: カテゴリ未分類
銀杏の木の下を通り、あの独特の、銀杏の香りがすると、私はいつも、保育園の頃を思い出す。

ある秋のこと、その保育園で銀杏とりに出かけた。銀杏と言うものを、聞くのも見るのも初めてなので、私はワクワクしていたのだが、その匂いにまず驚いた。何かが腐ったような匂いのする、泥んこになった梅干みたいなものが銀杏だという。しかもそれを拾って食べるんて。先生の説明では、この銀杏を拾ったら、しばらく土に埋めておき、まわりの果肉を腐らせ、種にして、その種の中身を炒って食べると言う。幼心に、(ホントにこんなに臭くて食べれるの?)と疑っていた。しかも銀杏を拾う時には、手がかぶれるから、直接触ってはいけないとまで言われ、疑惑は増すばかりであった。
みんなで、触らないように注意さながら拾った銀杏は、袋いっぱいになり、園庭の隅の方に、目印を立て、埋められた。
それから、程なく、その銀杏の実は、先生によって掘り起こされ、きれいに洗われると、外にコンロを持ってきて、大きな鍋で炒られ始めた。
きれいに洗った白っぽい銀杏の種は、もうあの嫌な匂いはせず、炒られるほどに、香ばしいいい匂いがしてきて、食欲がくすぐられた。しばらく炒り続け、先生が味見と言うことで、一つの種を取り出し、トンカチでトントンと殻をつぶした。そして中から出てきたものは、なんときれいなエメラルドグリーン色だった。あんなきれいな色の食べ物を、私は見たことがなかった。きっと、すごくおいしいに違いない。先生がすごくおいしそうに食べている。私の期待感は一気に高まった。軍手をした先生が、熱い銀杏を一つづつ取り出しては割り、子供たちに配っていった。順番が巡り、私の手の中にも、ほんのりと暖かい、そのエメラルドグリーンの食べ物が配られた。ものすごい、期待を込めて、その一口を園児全員で味わったのだが・・・

あの味が、5~6才のお子様に、受け入れられるはずはなく、子供たちは、一斉に、水を求めて水道に走っていったのであった。私は、あまりの期待はずれの味に、涙すら出したのを覚えている。
私が、銀杏の味がわかるようになるのは、それから、十何年先のこととなる。
今では、銀杏を串に刺し、塩を振りさっと火であぶったものを、ビールのつまみにしている。銀杏を食べると、未だに、大人になったような気がするのは、そんな経験のせいかもしれない。






お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

最終更新日  2002.10.22 08:32:00


【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! -- / --
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x
X

© Rakuten Group, Inc.
X

Mobilize your Site
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: