イエロータウンへやってきた。地元にほとんどこもりっぱなしであったオレが一人でこのワールドを旅する日が来るとは・・・。
コン「ここがイエロータウンか・・・。」
タウンというわりには家一軒見当たらず、ただ静かに砂煙が舞っているだけであった。路面はオフロード。ブラックシティとはあまりにも違う。
あたりを見回すと、まず視界に入ったのは赤くて目立つ宝箱だった。あまりにも何もないので宝箱は遠くにあるものの、あっさり発見できた。さっそく近づいてみたが、やはりあっさりと取れるわけなかった。
宝箱は地層がずれてできた一段高い場所にあり、手が届かなかった。
仕方ないので惜しいが宝箱を無視して道を進むと、やっと家が数件並んでいるのが見えた。なるほど、ブラックシティと同じようにイエロータウンも大門からは少し離れた場所に町があるようだ。そしてさっきまで一本道だったのが、町へ入ることでたくさんに枝分かれした。どっちへ行こうかと迷うほど道が分かれていたが、さっきの宝箱のあたりへいけそうな道を選んだ。
コン「あっちへ行く道もあったのか。」
その坂を上ってしばらく進んでいると・・・
急にタイヤが地面に接している感じがなくなった。と思った瞬間・・・
ゴッツーン!ボオーーーーン!!
ものすごい音があたりに響き渡った。
オレは崖を踏み外し、変なものにぶつかったのだ。
痛いのを耐えつつ、ぶつかった変なものを確認するため、上を見てみた。
コン「もしかしてこれがドラか。」
確認のため少し戻って遠くのブラックシティに通じるドアを見てみると、やはり開いていた。
コン「やっぱりそうか。」
さらに、坂の途中からジャンプすれば、さっきの宝箱のある段差の上に乗れそうだった。
コン「ようし、行ってみっか。」
わりと簡単にのれ、さっそく宝箱を開けてみる。出てきたのは・・・タイヤ・・・オフロード用タイヤだ。
コン「つけてみよう。Q'sをさがさないとな・・・。」
Q'sファクトリーは簡単に見つかった。
Q's「このタイヤに変えるんだな。」
コン「ああそうだ。ところでこの町のレースはいつ始まるんだ?」
Q's「まだまだ始まらない。町に出てパーツでも探してきたらどうだ?」
コン「わかった。行ってくる。」
パーツ探しに出たオレはあちこちの家に入ってみた。
何件か回って、次の家に入ってみると・・・
びゅん!という音とともに、黒いチョロQが目の前をすっ飛んでいった。
コン「何だ?」
店主「泥棒だ!今の車を捕まえてくれ。」
オレはすぐに向きをかえ、店を飛び出した。
コン「待てー。」
泥棒「待てって言われたくらいで待つやついるかー。」
コン「待ってくれたらいいもんやるよ。」
泥棒「いらねえよ!」
泥棒はそんなことをいいながらストレートをダッシュ。オレも続く。
少しずつ差が縮まていく。
しかし、S字の坂で無様にぶつけてしまい、ちぎられてしまった。
坂を上りきると、直線に出た。はるか先に泥棒の姿が見える。
コン「くそ!相手の地元じゃかなわないのか・・・。」
今度は下り坂。アクセルオフ・ステア操作・アクセルオンのパワードリフトでコーナリング。多少ぶつけたが、衝撃はたいしたことなかった。
次は泥棒を追って水の中へ。
すると、宝箱を発見。早速あけると中にはMADエンジンが入っていた。とりあえず、水から上がって川に出た。
右手に段差があり、家が建ててある。左の壁に穴があった。ジャンプ台のようだ。
コン「あそこから跳べってのか。」
しかし、ジャンプ台は高いところにある。オレは川の行ける中で一番下流のところにある。細い道に入っていった。
分かれ道はジャンプ台のある左へ。
予想通りジャンプ台についた。
目いっぱい後ろに下がって加速。ジャンプ!
けっこう簡単に対岸にしがみついた。さて家に入ってみる。
コン「こんにちは。お邪魔します。」
住民「よお、ところでおめえジェットタービンて知ってるか?ものすごい加速とスピードが出せるパーツだ。レッドシティの鍛冶屋に材料の花火の筒、扇風機、ガスバーナーを持っていけば作ってもらえるぞ。何で知っているかというとあいつんちに行ったら寝言で言ってたのさ。」
コン「有力な情報ありがとうございます。」
オレは今の話の必要なところをメモし、その場を後にした。次の家に入ってみた。
住民「やあよく来た、といってもこんなとこにはなーんにもない、と思ったらこれがあった。せっかくだから記念に持ってけ。どうせわしは使わんし。」
コン「ありがとうございます。」
オレが受け取ったのはずっしり重いシャーシだった。ヘビーシャーシだ。あまりはねなくなるのが特徴みたいだ。
コン(さてパーツを探しに行くか・・・何か忘れている気がするが。)


4話 苦労と苦痛のパーツ探し
オレはシャーシをもらった家を出て、また川辺に戻った。さっきのジャンプ台へ続く穴に入った。今度は町を探索するため、分かれ道は直進。
パーツがないかきょろきょろしながらゆっくり歩いていると、案の定発見。
中には歯車が小さいミッションが。パワーミッションというパーツだ。
もっとパーツを探してみる。曲がれる所があったので右に曲がってみた。そこは泥棒を追いかけて走ってきた道だったがオレはパーツ探しに真剣なのと、見知らぬ町をほっつきまわるのに夢中なので忘れていた。
くねくねと曲がった坂を上る途中、小さな道が左に続いているのを発見した。家が並んでいる。住宅地のようだ。
オレはせまく、細かい直角コーナーが続く道を派手にぶつけながら進んでいった。
しばらく道どおりに進んでいると、分かれ道に来た。オレは直線になっている方を見た。
道が真っすぐ続いたあと、途切れているようにその先の道が見えない。オレはそこから先が下り坂だと思い、不思議と心引かれるその道を選んでみた。
オレはその道をアクセル全開で走る。今までアクセルを開けてもぶつかったりするので速度を上げられなかったのでストレスを発散するのにもってこいの場所だったからだ。
オレは下り坂だと思ったゾーンに疑いもせずに突っ込んだ。
それがいけなかったのか、良かったかはわからなかったがとにかくオレは壁に顔面から直撃していた。
下り坂だと思っていたところは実は崖っぷちで、オレはジャンプしてその先の壁に顔面から突っ込んだのだ。
コン「まったくこの町は急に道が途切れる所が多いもんだ。町長の趣味なのか?」
オレは民家の屋根の上にいるようだった。
ここである発見をした。今オレがいる屋根の上からいくらか離れた屋根の上の奥になにやら怪しげな横穴がある。パーツでもありそうな雰囲気だ。
オレはそこに行く事にした。
だがそれはたやすい事ではなかった。オレはまず、真っすぐに進んだが、あの穴に行くにはどうやら右側の民家の屋根に飛び移らなくてはいけないみたいだ。オレはそれに苦戦していた。
オレは何度も落ちた。そのたびにまた戻ってジャンプして顔をぶつけている。
そしてついに成功した。これで何もなかったら最悪だ。
宝箱を発見。オレはほっとした顔で落ち着いて宝箱を開けた。中からはウイングが出てきた。
そのウイングには端っこの目立たないところにバリアブルウイングと書かれている。
さすがになかなかのシロモノっぽい。
奥には道が見えたので落ちてみた。どうせ民家の上にはもう何もないだろう。
その辺をふらついていると、壁の高い細い道がヒューっと伸びている。イエロータウンではよく見る光景だが、壁の模様が不思議な感じだ。
オレはその道をたどってみた。そこには占いの館があった。しかし、一枚の張り紙があり、ガラスの戸は開かなかった。その張り紙にはこう書かれていた。張り紙「グリーンパークにいる。そのうち戻る。」
コン「うーむ、留守のようだな。」
オレはあきらめてそろそろなくなってきた燃料メーターを見つけてQ'sファクトリーに戻った。
コン「この4つをつけてくれ。」
Q's「パワーミッション、ヘビーシャーシ、MADエンジン、バリアブルウイングの4つだな。」
コン「そうだ。この町のレースはまだか?」
Q's「つけたぜ。レースは明日だ。まだ夜は遠いから住民と話していたらどうだ?いい情報が入るかもしれないぞ。」
コン「そうだな。行ってくるぜ。」
いつものようにQ'sファクトリーを出るときアクセルを踏んで驚いた。
加速がとても上がっていた。MADエンジンとパワーミッションがヘビーシャーシの重さをものともせず加速力を大きく高めていた。
町へくりだしたオレは会話を楽しむため民家に入った。
すると・・・・・
黒い影が目の前を横切る・・・いつか見た光景だ。と思うまもなく、店主があせった声でオレに叫んだ。
店主「泥棒だ!今の車を捕まえてくれ。」
コン「忘れていた~!」
オレはすぐに家を飛び出て前方にいる泥棒の姿を確認した。
新着したパーツの加速性能が泥棒との距離をどんどん縮める。
さらにコーナーでぶつけても加速重視なのでタイムロスが少ない。とはいえ、できるだけぶつけるのは避けたが。
坂を上りきった後のストレートで泥棒は捕獲完了。
泥棒「とったものは返してくるよー。警察には言わないでくれー。」
コン「まったく。もうするなよ。」
オレは泥棒の反省していそうな態度を見てあっさりと許してしまったが、後に再びさっきと同じような事になるとは現時点で知る由もなかった。
オレは泥棒と店に行き、この泥棒事件を終了させた。
店主「ありがとう。お礼にこのウエットタイヤをあげるよ。」
コン「おお、すまないな。ありがたくもらっておきます。」
オレはまた暇つぶしに民家にどんどん押し入っていく。


5話 ガスバーナー入手事件
オレは明日のレースまでの暇つぶしにてきとうに民家に入りまくりながらイエロータウンの奥へ進んでいる。
スラロームの坂を上ったあとの泥棒を追いかけて通った道にある事務所に入った。
事務「昔はここで金が採れたんですけど、今は製鉄の町。すぐそこの工場で作ってます。」
いかにもさびしそうに言っている。
コン「そうか。そういえば優勝カップも今は金が足りなくて返却しているんだったな。」
オレは紹介された製鉄所に入ってみた。けっこう派手に煙を撒き散らしているみたいだ。
部屋はまさに製鉄!という感じがする。奥は赤く光っている。そして部屋の真ん中には作業員らしきダンプカーが困ってつっ立っているようだ。
ダンプ「すまねえけどガスバーナーを取ってきてくれないか。すぐそこの建物だ。」
コン「ああいいよ。マッハでとってくるぜ。」
あっさりと頼みを聞き入れたオレはジェットタービンの材料の一つ、ガスバーナーと聞いて少し興奮したが、勝手にもらって行こうとは考えていない。そんなことはさっきの泥棒にえらそうに正義を振りかざしたオレのプライドが許さない。
事務「まったくあそこはすぐものをなくすから。はい。」
オレは軽いぐちを聞き流してすぐ製鉄所に戻った。
コン「よお取ってきたぜ。」
ダン「ごめん、ガスバーナーあったよ。あげるよそれ。」
コン「おっ!太っ腹。ありがとう。」
ジェットタービンとやらの材料をひとつ手に入れた。予想外の幸運だった。
普通こんなものもらっていく人はそんなにいないだろうが・・・。それにこのガスバーナーの代金はどうするのだろうか・・・。
あまりにも予想外な展開だったのでそんな他人事を心配したが、疲れたし、そろそろ日が暮れるのでQ's ファクトリーに戻ることにした。
コン「暇つぶしなのにものを貰えた。やはり出歩いてみるものだな。」
Q'sについた。
コン「泊めてくれー。」
Q's「おっ、走り回ってきたか。何か収穫あったか。」
コン「おうすごくあったぜ。」
Q's「ところで明日のレースは時間的にはほとんど連続だ。この町のコースは二つあるのだが午前10時20分と11時50分だ。」
コン「そうか。どっちも勝てるようがんばるぜ。」
オレは数時間後寝床に着いた。
コン(ふー今日はいろいろあったぜ。明日までゆっくり休もう。)
・・・・・・・・・・・そして朝が来た。オレは早朝の走行練習に町を走り回っていると、住民にぶつかってしまった。
コン「すみません。」
住民「いえいえ。ところで話し相手がほしかったのですよ。」
コン「そうですか。」
住民「この町のコースは二つあるんです。町長のお屋敷の庭と街中。庭の方のコースは屋根の上から落ちないように走るといいらしいですよ。前に来たオレンジのチョロQが言っていました。」
コン(ファルタだな。)
オレは瞬時に理解した。
コン「いい情報をありがとうございます。では。」
コン(もちろんそこを使って1位になってやる。)
コン「そろそろ10時だ。Q'sに戻るか。」
オレは向きを変え、Q'sファクトリーに続く道をたどり始めた。
Q's「よお、もう10時2分だ。レース受付をするか?」
コン「そのために来たのさ。」
Q's「じゃあコースを教えるぞ。この町一つ目のコース、イエローガーデンは町長の家の庭で行われる。行く手を阻むを障害物が次々出てくるアスレチックコースだ。障害物はきちんとよけるか、スピードは落ちるが乗り越えるかだな。できるならよけろ!」
コン「わかった。がんばってくるぜ。」
Q's「じゃあ町長のお屋敷に行ってくれ。場所はわかるよな?」
コン「ああ、行ってくる。」
数分後・・・
町長「ではスターティンググリッドについてください。」
ブラックシティの時と同じレーサーが並んでいる。今回は最下位からのスタートだ。
目の前にシナグルが現れる。それが光りだした。
レース開始!オレにとっては初めてのコースだ。ブラックシティの時はコースを知っていたが、今回は一周目でコースを把握しておかないと逆転はまずできない。そんな心配を抱えつつ、始まったイエロータウン戦であった。


6話 イエロータウン戦開始
オレは町長の家の庭に立っている。今回のレースのスタートポジションだ。
あたりの敵車は皆やたらでかいタイヤをつけている。下手したら踏み潰されそうだ。
コン(もしかしてこのコースではあのタイヤの方が有利なのか?せこいなー。)
しかし、そんな事をいいわけにはしていられない。こちらが不利だから負けても仕方ないなんていうあまい考えを持っていては負けてしまう。有利とか不利とかの概念は捨てて光りだすシナグルをじっと見る。
レースは開始された。全車砂煙を上げ、全開加速。そして先頭を走るものから順にジャンプして行き、柱をよけながら進んでいく。
オレも続いていく。ストレートだが、斜面などがつきまとい、テクニカルなところだ。これぞオフロード。
オレはぽんぽん跳ねるときに背中に背負っているバリアブルウイングの存在を思い出した。
ウイングでダウンフォースを稼げば、はずむ車体を地面に押し付けることが多少ならできる。
この最初のストレートでいきなりミスして柱に激突しているパワマとレースルを抜かし、右曲がりのバンクコーナーに差し掛かる。
そのままの勢いでアクセル全開でコーナリング体制に移行したら砂の路面の滑りやすさにタイヤが負け、ずるずるとラインがふくらんでいく。
コン「ちっ。突っ込みすぎか・・・。」
しかし、そのあとのコーナーが左だったのでラインの膨らみでのタイムロスはある程度帳消しにされた。
左にハンドルを切り返す時、のろのろ走る清掃車が視界の端に一瞬移った。
次の難関は丸太や切り株をよけて走る障害物地帯。できる限りのコーナーワークでかわしていく。
道に横たわる丸太はいやらしく、ジグザグに走れといっているようにあちこちにおいてある。
敵車はでかいタイヤで障害物を乗り越えて進んでいく。ここで差が開いてしまいそうだ。
オレは二つ丸太をかわしたが、三つ目をよけきれずに激突。すると失速したものの乗り越える事ができた。
コン(そういえばQ'sレッカーも乗り越える事ができるって言ってたな。)
オレは残りの丸太も落ち着いて軽くかわし、気づくと屋根の上を走っていた。
コン(通っていくといいっていう屋根の上ってここか?なんか傾いているが、落ちるわけにはいかないぜ。それにしてもこれ家か?庭に家があるなんて・・・。)
とか考えているうちに屋根が途切れる所がやってきた。
ここでオレは即座に判断した。
コン(右側に屋根が見える。向こうに飛び移れってか。やってやるぜ。)
コン「とあ!」
オレは掛け声とともに左側の瓦屋根におさらばして右側の屋根にうまく飛びついた。しかし・・・
コン「なにぃぃぃ。」
そのまま真っすぐ屋根づたいに進んで行ったら落っこちてしまった。
コン「右手に洞窟のようなものが見えた。あそこに入れって事だな。」
コン(あれはショートカットだな。)
仕方ないので通常ルートを進むことに。
でこぼこ道は安定して走れる道の中央を通過。その後、また家があったので再び屋根の上を進む。
すると、前を走っているやつがバランスを崩し、屋根の上から転落した。その隙に抜く事ができた。これで4位。
屋根が終わったので飛び降り、スタート地点の門が見えてきた。やっと一周。
また柱の隙間を縫ってホームストレートを走り抜ける。一周目より加速がついてよく跳ねる。その分操作がシビアだ。
バンクコーナーはある程度減速してインべたでぬける。それに続くコーナーはS字コーナーの要領で直線的なライン取りで最短距離をカットする。
次にくるのは丸太地帯。
左右にすばやくハンドルをきるが、やはり間に合わなかった。次から次へと襲い掛かる丸太には減速して避けるか、乗り越えるの二つしか手段はない。
敵達が付けているあのでかいタイヤなら乗り越えるときのタイムロスは少しで済む。それがオレに不利な状況を作り出している。
コン「くっそう、オレはここで先を走るやつらに差をつけられるのか・・・という事はほかのところで挽回しなくてはならない。」
オレは丸太地帯をこえ、ショートカットへ続く道を走り始めた。屋根の上だ。
前回の走りで、ショートカットへの道順は覚えた。その前の難関の飛び移りは成功。
右側の屋根に乗ったところでフルブレーキ!タイヤが滑らないようにしっかり減速した。必要以上の減速だったかもしれないが、今はショートカットへ行くことを最優先した。
一周目では入れなかったショートカットの入り口に来た。
中は洞窟のようになっていて暗く、先の方は見えない。しかしオレはかまわずアクセル全開。
直線だったのですぐトップスピードの178km/hに達した。その後、外の景色が見えてきた。
コン「おっとっと。」
洞窟を出たあとすぐ、道は軽く右にカーブしていた。反応が少し遅れたオレは落っこちそうになった。
下の道をのぞいて見ると、でこぼこしている路面に苦戦しているクレギャリがいた。
オレはだいぶ順位を上げているようだ。
しばらく走っていると、また洞窟に突入した。そして、また外へ。
そこにはスタートの門が見えた。
コン「もうここまで来たのか。」
飛び降りてみると、自分のいる位置よりいくらか前のほうにヤマダンが見えた。
コン「あいつを抜けば1位だな。ショートカットで抜けるな。」
オレは軽やかに最初の柱地帯をぬけ、バンクコーナーも二周目の要領でクリア。
丸太は減速を使って、ぶつけずにぬけた。しかし、タイムは今までと同じと思える。先頭を走るヤマダンとの差は開く。
コン「もう少しステアリングが良ければなあ。」
次は勝負の屋根の上。ここでショートカットに入れば勝てる。
飛び移るところまでは慎重にゆっくり行くことは許されない。
オレはステアリングに全神経を使用した。そのためにアクセルは無意識で、フルスロットルだった。
ついにジャンプした。
ドン!!飛び移り成功。
それと同時にブレーキング。車体をしっかり安定させ、悠々とショートカットに入れた。ヤマダンは通常ルートに落ちていった。
・・・・・・・・
Q's「すごいな。ビッグタイヤなしで1位とは。」
コン「ふう。なんかかなり集中力使ったな。障害物が多くて疲れるコースだったよ。」
Q's「この町のもう1つのコースも疲れるぜ。しばらくしたら始まるから今のうちにゆっくり羽をのばしな。」
コン「うん。」


7話 イエロータウン第二ラウンド
イエロータウンの一つ目のコース、イエローガーデンで1位を獲得したオレは二つ目のコースでイエロータウンの街中を走るレースに挑戦しようとしている。
コン「次のコースはどういうコースなんだ?」
Q's「イエロータウンの街中でレースだ。難しいぞ。川からスタートして、細いトンネルから土手に上がる。そして町長さんちの前の十字路を右だ。坂を上って左に曲がるとある、住宅地に入り、さらに上っていき、右に曲がる。すると川に出るぞ。ジャンプしてため池をこえて一周だ。作者のオリジナルコースだぞ。」
コン「よくわからんな。」
Q's「コースはバリケードで道どおりにしか行けなくなってるからわかるさ。」
コン「そうか。じゃあ一休みしたらいくか。」
・・・・・
オレはイエロータウンのレースにエントリーした。スタートの川に立たされた。いきなり最初は下り坂のようだ。
そんなふうにコースをチェックしていると、シナグルが点灯しはじめた。
レースがスタートした。川の流れにのって全車加速。水しぶきを上げてスタートを切る。そして最初の難関、トンネルへ一台ずつ突っ込んでいく。
入り口は非常にせまく、その上ミスしたらかなりのタイムロスだ。いきなり神経を使いまくるコーナーの出現に驚いたのかいきなりここでミスした清掃車とクレギャリはあっという間にレースから脱落したのと同じようにぶっちぎられた。というわけでオレは6位になった。
しかし、そんな事をのんきに見ているせいでオレも軽いミスをしでかしてしまった。トンネルをぬけた瞬間ジャンプしてしまった。それと同時に道がさらにせまくなり、左の壁に軽くぶつけた。でも道がせまくて抜かれようも抜けようもない。
そのせまい道にコーナーが現れた。速度がのっていたので激突。しかしこんな道ではいちいち減速するより突っ込んでしまった方が早いと思う。
壁に沿って進むとやっと道が広くなった。町長の家の前のコーナーは問題なくクリア。
坂を上り、途中で左にコーナリング。しかし、急な動きにタイヤがついてこれず、制御不能でそのままバリケードにサイドボディを激しくぶつけた。
みんなもここでミスっていた。相当難易度が高いコーナーみたいだ。全員がミスしたので団子状態になった。
そのまませまくて追い抜きできない住宅地に入った。
前のやつがぶつけまくってなかなか進まない。
コン「なにやってんだ!早く行け!」
せまい道を抜けるとそいつはさっさとぶち抜いて、4位のやつを追う。
川に出た。川でそいつをとらえ、4位に浮上。その後、滝からジャンプ。
ところが、思ったより飛距離が稼げず、、泉のふちにぶつけてしまった。
しかし、とりあえず一周でなかなか順位を伸ばす事ができた。
このコースはせまい道では抜かれないので、順位は変動しにくい。相手の隙をついて抜ける所で抜いておかなくてはだめなようだ。そのためには追い抜きできない区間で前走者との車間をつめることがとても大事とされる。
最初の難関のトンネルは調子をつかんでらくらくクリアといったところだ。オレの前を行くやつらもうまくぬけて行った様子。
せまい道に入った。ここは壁と自分の距離に気を配り、失速しないようにする。
コン(ここで差をつめて町長の家の前の広々としたコーナーで抜いてやる。)
オレの前を行くレースルはけっこう近くにいる。もう目の前だ。
町長の家の前に来た。
レースルはステアを切り込むタイミングがいくらか遅れた。
オレはレースルのインを指した。
レースル「ちっ、油断しちまった。」
オレはあっさりとレースルの前に出て、その先のコーナーに備えて慎重に坂を上った。
減速したことにより、グリップ走行の安定した突っ込みで住宅地に進出する。その結果うまく難コーナーをぬける事ができた。
けっこう近くに2位のバーニンが見える。
コン(まだ二周目。時間はたっぷりある。抜いてやるぞ。)
少しずつその差を縮め、川に出る頃にはもう横並びのレースになっていた。
ここでオレはバリアブルウイングをジャンプ力重視に変えた。
コン(やつはウイングがついていない。ジャンプ力ではこちらが上のはず。抜けるな。)
オレは計算どおりに泉のふちにぶつけたバーニンを引き離し、ファイナルラップに突入。
あと一台抜けば1位だ。しかし、このコースはあせってミスすると、取り返しのつかない順位にまでぶち落ちる事が十分考えられる。
オレはしっかり減速して最初の難コーナーをクリア。オレの後ろにつくバーニンもうまくぬけてきたようだ。しかし、このせまい道では順位の変動はほとんどありえない上、走行ラインはテクニカルでもないので、この道で速く走るための要素はパーツだろう。
先頭を走るやつがオレより速い、つまり壁にガンガンぶつけられるようなせまい道に適応した加速力の高いパーツを付けている場合は離されていってしまう。
ちなみにいくらステアリングが良くても、このオフロードの直角コーナーにかかってはタイヤがついてこないだろう。
町長のお屋敷前のコーナーをスピードをのせてクリアし、住宅街に入り込むコーナーも他車に比べておそらく速いコーナリングでクリアした。
このレースの先頭を走るヤマダンの姿が見えた。オレは今までよりほんの少し無理して速い速度でコーナーを攻め続け、少しずつその差をつめた。
コン「もうこのコースの残りが少ない。だが絶対にあいつを抜いて1位になってやる。」
そして、オレはこのコースのラストセクションである川でヤマダンの横に並んだ。
相手もパワーミッションを付けているらしく、最高速はまったく互角。
ジャンプに備えてバリアブルウイングを変形。
コン「しめた!!やつはウイングを付けていないぞ!」
そして滝。二台はバッと宙に浮かんだ。こちらの方が高く飛んでいる。
ヤマダンはオレの予想通り泉のふちに当たり、オレはバリアブルウイングのおかげで1位を治めることができた。
Q's「また1位を取ったのか!すごいやつだなー。」
コン「へへっ。町をうろついて拾ってきたパーツが本当に役に立ったよ。」
Q's「そうか。よかったな。ところでおまえはレースをやっているがワールドグランプリって知ってるか?」
コン「いや、詳しくは・・・。」
Q's「ワールドグランプリはチョロQレースの最高の舞台だ。そこいらのスプリントレースとはわけが違う。4つの町のレースで全て入賞したら参加権が与えられる。でも、前回優勝者が優勝カップを返却しなくては始まらない。問題はそこなのだが、今前回ワールドグランプリ優勝者がちっとも優勝カップを返しに現れなくてね。グランプリが始まらないんだ。どこに行ったかもわからない。だからグランプリは何年か前から一回もないんだ。」
コン「へーじゃあその大会目指してがんばるか。そのうち優勝者が現れるだろう。それと優勝者の住所とか名前とかは?」
Q's「ブラックシティ出身だが、どこかに引っ越してしまったようだ。誰も今どこにいるか知らない。名前はシュラザっていったかな。」
どうやらレースを勝ち抜くだけではワールドグランプリには出られなそうだが、とりあえず今はスプリントレース制覇を目指す事にする。」


8話 レッドシティへ
オレはワールドグランプリについての重要な話をQ'sを伺っていた。あまり伺っているという丁寧な感じではないが・・・。
Q's「ここ数年カップ返却がないからな・・・。おまえがワールドグランプリ出場権を手に入れてもそんな気まぐれには現れないと思うぞ。今までのやつはグランプリシーズンが来れば返却に来るのだが・・・。だからワールドグランプリ委員会はシュラザを探しているんだけどな・・・ぜんぜん見つからないんだ。何でだろな・・・。隠れる必要なんてないだろうし、かならず世界のどこかにいるはずなのにな・・・。」
コン「みんながグランプリ開始を待ち望んでるのにな。そいつ知り合いとかいないのか。ブラックシティのやつに聞き込みすれば?」
Q's「どこ行ったか誰も知らないんだって。知り合いはいたがな。優勝カップがないグランプリなんてチョロQ界にはないのさ。」
コン「たしかにそうだな。くそー何でなんだ?しかし、昔の金は残ってないのか?」
Q's「昔あったブルーシティという町に住んでいた貴族がたくさん持っていたみたいだが、その町は湖に沈んでしまったんだ。」
コン「そんなの見つかりっこないな。だったらシュラザを探す方が早そうだ。・・・・・・・・・・・・・・・・・よし。」
オレはわずかな時間で決断をしたように言った。
コン「スプリントレースで各地をまわるついでにオレがシュラザを探してやるよ。」
Q's「おお頼むよ。」
Q's(でも見つかんないと思うけどなー。)
Q's「でもスプリントレースでは各地はまわれないぞ。」
コン「えっ、どういうこと?」
Q's「ワールドグランプリ予選にはレッドシティ、グリーンパーク、イエロータウン、ブラックシティの4つの町のレースで入賞すれば出られるのさ。でも、あと4つ町がある。(作者オリジナル)カイター半島、ロードマウンテン、バジュスシティ、レーシング島だ。それらにシュラザがいる可能性もある。まあ暇だったら行ってくれ。ちなみにその町にもレースがあり、ワールドグランプリに出るレーサーもいる。」
コン「ふーん、まあてきとーに探してみるぜ。それと地下迷路ってどこにあるんだ?」
Q's「川にある。イエロータウンの二つ目のレースのスタート地点あたりだ。大きな洞窟になっているぞ。」
コン「じゃあ行ってくる。」
オレは町の風景は何も見ず、一心不乱に進み、数分で川についた。あたりを見回しながら川の流れにのってゆっくり移動していると、おそらくQ'sのレッカーが言っていたような洞窟があった。
コン「お邪魔します。」
レッカー「ここは世にも不思議な地下迷路だ。道順を知らずにはいるとどえらい事になるぞ。さあどうする。」
コン「道なら知ってるぜ。入るぜー。」
レッカー「もし迷ってしまったらリタイアするといい。どこにいても迎えに行ってやるぞ。」
コン「おおたのむ。」
オレは地下迷路に案内された。
コン「ここがそうか。すごい長いなー。先の方が暗くて見えねえぞ。さてえーとメモメモ。」
メモ「突き当たったら右へ真っすぐ。」
わりと簡単そうなのでおもいっきりアクセルを踏んでつきあたるまで進んでいった。
しばらくすると、壁が見えてきた。
コン「さてハンドルをきるか・・・・・。」
・・・数秒後
どかーーーーん!!
おもいっきりアンダーステアであった。ウエットの路面で178km/hもの速度を出して曲がれるはずなかった。
痛みに耐え、気を取り直して再び進む。T字路なのでどっちにいけばいいかわかった。もし十字路だったらやばかった。
進む道はわかったが、その道は走ってて眠くなるほど長かった。
それでも、しばらくすると、太陽マークが見えてきた。オレはこれがレッドシティの入り口だと確信し、迷いなく突っ込んだ。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・
レッカー「おや、こんなところから出てくるなんてあんたはすごいよ。」
コン「よう、ここはどこだ?」
レッカー「レッドシティだ。」
どうやらオレはレッドシティについたようだ。洞窟の外には舗装されている細い道が見えた。
踏み込んでみるとオフロードタイヤではちと滑る。しかし、Q'sを探すのは後にし、パーツやパン屋を探す事にした。
知らない町だが、ずいぶんてきとうに進んでいると、公園があった。そして砂場の向こうに宝箱もあった。
即座にあけると中に入っていたのはロングMADエンジン。目立つところにあるのに誰も拾わないのはおかしいと思ったが、とっておいた。
公園を出て、真っすぐ行くと、商店街が丘に並んでいるところについた。ピザらしき看板がついた店に入ってみた。
いかにもピザを作るような釜がおいてある。しかし、店員はこう言った。
店員「ドミソビザへようこそ。」
ビザ屋であった。こんなのではビザをもらうために入る客は少ないと思う。あっさりと看板にだまされたオレは、まあピザが食いたいわけでもなかったので、いかにもビザをもらいにきたように出されたビザを受け取った。そして、今度は喫茶店に入った。
コーヒーを注文した。すると、店長らしき風格がある人が、コーヒーを持ってきた。
店長「あなたレーサーでしょ。」
コン「そうだけど。」
店長「ならこれをあげよう。スポーツタイヤだ。昔私が使っていたのだが、もう使う事はないと思ってね。」
コン「ありがとうございます。」
オレは少しずうずうしかったかもしれないが、あまり会話を長引かせたくなかったので、あっさりともらい、コーヒーを飲んですぐ店を出た。
思えばなかなかの収穫であった。オレは再びパーツを探して歩き回る。
コン「そういえばジェットタービンを作れる鍛冶屋もこの町にいるんだったな。」


9話 ファルタと再会!
オレがレッドシティにいるジェットタービンを作れる鍛冶屋をさがしてアスファルトの道を左右を忙しなく見回していた。
しばらく進んでいると、畑に小さな家が建っているのが見えた。
コン(ここかな?まあ入ってみるか。)
正面から家の中をのぞいてみたあと、なんとなく雰囲気から鍛冶屋っぽく見えたので、入ってみることに。
コン「こんちはー。」
鍛冶屋「よお、オレはレッドシティの鍛冶屋だ。ところでおめえ、ジェットタービンて知ってるか?」
どうやらここは鍛冶屋のようだ。と、言う事で、用件を話す。
コン「その事できたんですよ。でも材料はガスバーナーしかないんです。」
鍛冶屋「そうか、でもなんで知ってんだ?まあいいや。じゃあ材料がそろったら作ってやるぞ。設計はできたがオレも材料がなくてな。作ってみてーんだよ。」
コン「わかりました。」
どうやら材料さえ手に入ればただでもらえそうだ。そう思うとじっとしていられない。これは材料を探し回らなくては。自分でもよく理解している物欲がからむと気合が入るこの性格でなんとしても材料を集めよう。
鍛冶屋を後にしたオレはパーツ探しを再開する事にした。今度は民家に入らず、宝箱を探す事だけにしっかり集中してみた。
案外小さい町だったので、町を走り回ると、もう頭の中にレッドシティの地図はインプットされた。イエロータウンよりずっと小さくて、トラップもなかったので、簡単にパーツを集める事ができた。ちなみに手に入れたパーツはロングMADエンジンとミドルブレーキだ。
それからパン屋にてブラックシティのウィルさんが待ちのぞんでいる、オレの今の冒険の最初の目的であったはずの焼きたてのパンを入手した。
パン屋から出て、道を下っていくと、集会所があった。それはごく普通の民家と違い、直感的に冒険に必要ありそうな建物だったのでオレは入ってみる事にした。
そこにはオレにとってあまりにも驚く光景があった。
コン「ファルタ!」
ファ「よお!おかしな男!久しぶりだな!レースは順調か?」
コン「お前の方がだいぶおかしな男だぜ。レースは今んとこ3位、1位、1位できてるな。」
ファ「ふーんオレは2位、1位、2位、2位だ。これからグリーンパークに行くのさ。それから噂話なんだが、どうやらあのヤマダンていうやつはイエロータウンが地元らしいぜ。でもあいつどこでもはえーよな。さらにあいつには師匠がいるらしいぜ。そいつは前回ワールドグランプリ出場者の一人でイエロータウンのチャンプらしい。よっぽど速いんだろな。」
コン「すげーなそれ。」
ファ「まあそれはどうでもいいんだけど、ちょっと今からゼロヨンやんねーか?」
コン「ああいいが。」
ファ「じゃあ決まりだな。スタート地点に行くぞ。」
二人とも集会所前の400mのスタート地点に横一線に並んだ。シナグルが点灯!二人ともタイヤに目一杯力を入れてスタートダッシュ。
両者の性能はまったくの互角であった。二人のお遊びである不正確な測定のゼロヨンじゃあ同着だ。
ファ「ふーむ、ここまでは最強のパーツを拾ってきてるみたいだな。たぶんここのレースで勝てるぜ。」
コン(しかし、オレはまだこの町で拾ったパーツを付けてないのに・・・)
コン「じゃあ行ってくるか。勝ったらオレもすぐグリーンパークに行くぜ。」
ファ「おうさっさと来いよ。オレはもう行くからな。」
コン「じゃあな。」
ファルタとはいったん別れ、オレは手に入れたパーツを導入してレッドシティのレースに挑むことに。
Q's「よっ、燃料は入れとくよ!」
コン「レースに出る。」
オレは用件だけを素早く、冷淡に伝えた。
Q's「なんだ?声に気合が入っていないな。疲れてるのか?もうすぐ始まっちゃうぜ。しっかり回復しとけよ。それからコースの路面はアスファルトだ。」
コン「じゃあ、装備はタイヤをスポーツ、ブレーキはミドル、エンジンはロングMADに変えてくれ。」
Q's「おう。できたぜ。」
コン「じゃあいくか。」
Q's「がんばってこい。」
スターティンググリッドにはすでにライバルたちが勢ぞろい。オレも一歩遅れてつく。8位からのスタートだ。
見たところ最初の方はハイスピードセクションのようなので、パワーミッションでは最高速性能に不安が残る。全力でブロックするしかないだろう。ここで入賞できなければファルタとの差は開いてしまう。あいつはこのレースで2位を記録したらしいがオレもそんなのに負けるわけには行かない。
シナグルが降りてきた。赤・赤・赤・青(緑かな?)!
さっきのゼロヨンのように力強いスタートでライバルの加速競争に参加する。それが終わると全車縦に並んでコーナーのインにつく。しかし、オレはほかのやつらより更にインにつきながらフルスロットル。敵のマシンを内側からばしばし抜く。
郵便局の前ではもう最高速に達し、まだ速度を出しきれていないライバルを抜き去り、5位に浮上。次のコーナーに備えて直線のうちからアウト側に寄る事も忘れない。そしてこの左コーナーでは洗濯物が干されている庭の柵をかすめるドリフトが炸裂する。鮮やかなラインで難コーナーをぬけ、再びアクセルを床まで踏み付ける。
コン(今日はやけに調子がいい。コーナーをすごいスピードをのせてクリアできる。)
快調な滑り出しで始まったレッドシティ戦。1位の予感がコングをわくわくさせている。もうコングやファルタのレースの実力は互角の装備である並のスプリントレーサー程度なら楽にこなせるほどになっていた。
天才的な成長ぶりである。毎朝の走行練習で走りの感覚は体に吸い込まれ、たった3回のレースで更に大きく成長を遂げた。新しいパーツをものともせず、初めてのコースでいきなり完成度の高い走りを見せつけるコングとファルタの勇姿は未来のワールドグランプリの接戦が見えてくるようだ。


10話 三つ巴の決勝バトル
オレは今レッドシティのレースを5位のポジションで走っている。
そして列を組んで1台ずつオフロード地帯に入っていく。皆おとなしく土道を安定に走っているようだが、オレは右側の舗装された斜面になっているところを走ることにした。
スポーツタイヤならこちらの方が速いのだ。谷の出口から軽くジャンプするとき、前を走るレースルがぎりぎりで方向を変えてから跳んでいった。オレは真っすぐ跳んでしまったが、それがいけなかった。
左ボディを壁にこすり付けてしまい、失速した。レースルはコースを知っていて狭い道に平行になるようにジャンプしたのだ。目の前をレースルがS字にくねくねと曲がりながら悠々とオレとのマージンを広げていた。
コン「くそう、ミスっちまった。」
オレはS字をアクセル全開ではいけないことに見た目で気がつき、アクセルをときおり抜いてぶつけずにクリアした。アクセルを踏んだとき、少し滑るが、ステア操作でしっかりと安定させ、ぶつける事はまったくしなかった。
直線では全力でダッシュする。前には4台のチョロQが順々に交番の影に隠れていくのが見える。そしてオレの番。ぎりぎりまで加速してブレーキ。その後アクセルを一瞬入れてまた抜き、ドリフトに移行。しかし、道幅が狭すぎて、ぶつけてしまった。ぶつけた後のスピードは遅くていらいらする。一度つめたマージンをまた広げられてしまったようだ。二周目の高速セクションをぬけ、学校の少し先のコーナーをドリフト。
ここでレースルの後ろについた。二台は土道に突入。オレはレースルの動きを盗み、うまく後に続く。谷間を抜けた後のS字でオレがレースルのアウト側に入り込んだ。加速では勝っていたので並走に持ち込む事がができた。二人ともドリフトでS字の右をクリア!今度はインとアウトが入れ替わる。再びドリフトの競演が始まった。コーナーイン側のオレがじりじりとレースルの前に出る。コーナー出口。オレは完全にレースルの前に出る事はできなかった。
ここで抜かれそうなレースルがあせり、通常より早くアクセルを踏みつけた。
まだタイミングが早かった。レースルの後輪が滑り、左回りにスピン!するところが右のリアが壁にヒットして大きく失速。
この一件でレースルとの争いは終わり、オレはターゲットをバーニンに変更。一気に差をつめたい気持ちを我慢して直角コーナーはしっかりと減速して低速ドリフトでぬけ、曲がり終えたらアクセル全開。バーニンはミスしたらしく、スピードがまるでのっていなかった。
思ったよりらくにバーニンをぬけた。クレギャリとヤマダンが前に見えた。郵便局前のストレートで速度を上げ、得意の牧場や養鶏所へ続く坂の前のコーナーで一気に二人の後ろに追いついた。オレが参加した三台は縦並びで谷間に入っていく。アクセルがいまいち開けられないラストセクションで優勝争いが始まる。S字の右は誰も仕掛けない。S字の左!オレが動き出した。全力でブロックするヤマダン。それについていくクレギャリ。オレは減速して二台から引いた。
しかし、もちろんあきらめたわけではない。
早めにしっかり減速してコーナー中盤からフルスロットルでコーナーを曲がる。立ち上がり重視のコーナリングである。ラストのストレートでオレは二台をごぼう抜き!後は交番の角の直角コーナー!ここでミスするわけにはいかない。
おそらく後ろの二人はしにものぐるいで来るはずだ。気が抜けない。
・・・ドン!!オレのブレーキランプが点灯する。しっかりと減速してからステアをきり、アクセルを踏んだ。クレギャリがインに割り込んできた。しかし、進入速度が高すぎて壁に激しくぶつけた。オレはフルスロットルのパワードリフトにかける。
ヤマダンはコーナーをぬけた後のゴールまでわずかという区間でパーツ任せの全開加速で抜きに来た。しかし、オレが進入ラインをふさぐ。
そのままゴールイン!1位を獲得した。
コン「あぶねーあぶねー。かなりの接戦だったなあ。」
Q's「すごったな。たいした実力じゃないか。そういやー郵便局でこの町のレースで入賞したやつを探してたぞ。行ってみたらどうだ。」
コン「おうわかった。」
オレは郵便局に向かった。
コン「オレ、この町のレースで入賞した者だけども・・・。」
郵便車「おおっ、たのみをきいてくれるか?」
コン「ああまかしとけ。」
郵便車「この小包をグリーンパークの園長さんに届けてほしいんだけどな。途中の跳ね橋が曲者でな。よっぽどのやつじゃないといけないのさ。」
コン「なんだ、それだけか。いってやるよ。」
郵便車「頼んだぞ。」
オレは受け取った小包を受け取り、跳ね橋探しを始めた。
町をほっつき歩いていると交番あった。
コン(そういやこんな施設があったんだっけ。道を聞いてみるか。)
コン「すみませんが跳ね橋ってどこでしょうか?」
パト「案内しましょう。表のパトカーについていってください。」
コン「お手数かけます。」
オレは言われるままに交番をでた。
パト「じゃあついてきてください。」
ぎゃああああ!!!(悲鳴じゃなくてスチール音)
パトカーは白煙を上げて加速した。グングン速度を上げている。その加速はパワーミッションとロングMADエンジンを搭載したオレの加速力を凌駕していた。
オレはもちろん後に続いたが、全開で加速しても少しずつ距離をはなされる。S字コーナーに突入したパトカーはものすごく速いグリップ走行で早送りのビデオでも見せられているかのように進んでいった。
幸いブラインドコーナーではなかったので道に迷う事はなかった。
コン「なんじゃありゃ!どんなタイヤ付けてんだ?」
オレは減速してグリップ走行。二台の車間はどんどん開く。コーナーでも直線でもその差をつめられない・・・。
パトカーは地下迷路の洞窟前で右折。その先の洞窟の前にいた。
オレはパトカーの速さに呆然とした。その横をパトカーがゆっくりとすれ違っていった。あんなやつがレースに来なくてよかった。


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