趣味の漢詩と日本文学

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November 7, 2005
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カテゴリ: 漢詩・漢文
送李校書赴東浙幕府(校書工於翰墨) 劉長卿
方從大夫後、南去會稽行。
■(「水」を三つ「品」の字のように書く字。ビョウ)■(ビョウ)滄江外、青青春草生。
芸香辭亂(一作校)事、梅吹聽軍聲。
應訪王家宅、空憐江水平。
【韻字】行・生・聲・平(平声、庚韻)。
【訓読文】
李校書の東浙の幕府に赴くを送る。(校書は翰墨に工なり)
方(まさ)に大夫の後に従ひ、南のかた会稽に去りて行く。

芸香乱事を辞し、梅吹に軍声を聴く。
応に訪ふべし王家の宅、空しく憐む江水の平らかなるを。
【注】
○李校書 劉長卿の友人で校書郎をつとめた李氏。あるいは李端か。
○東浙幕府 浙東観察使の幕府であろう。
○工於翰墨 能書家だったということ。
○大夫 爵位ある者の敬称。
○会稽 浙江省紹興県の南。
○■(ビョウ)■(ビョウ) 水がひろびろとして果てしがないさま。
○滄江 青緑の深い色の水をたたえた川。
○芸香 芸草(ウンソウ)の香り。宮中の蔵書の防虫に用いられた。

○梅吹 梅の香をのせた春の風という意味か。
○軍声 軍隊の号令。
○王家宅 東晋の王羲之親子の旧家。紹興市郊外には蘭渚山があり、その麓の蘭亭は、王羲之の蘭亭序で知られる。
【訳】
李校書が浙東観察使の幕府に赴任なさるのを見送る。

これから向かわれるのは、どこまでも広がる青い川のむこう、春の草が青々と茂っているのが見えるそのずっとかなた。
芸草の香りたちこめる蔵書室での、わずらわしい校訂整理の任務を終え、こんどは梅の香をのせた春風のなかで、軍隊のかけごえなどを聴くようになるのですね。
きっと王羲之の旧宅などを訪問なさるのでしょうが、残される私は、ただ友のいない寂しさに平らな川面を見てすごすことでしょう。





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Last updated  November 7, 2005 09:16:04 PM
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