趣味の漢詩と日本文学

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March 13, 2007
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カテゴリ: 漢詩・漢文
奉送賀若郎中賊退後之杭州 劉長卿
江上初收戰馬塵、鶯聲柳色待行春。
雙旌誰道來何暮、萬井如今有幾人。
【韻字】塵・春・人(平声、真韻)。
【訓読文】
賀若郎中の賊退きて後に杭州に之くを送り奉る。
江上初めて収む戦馬の塵、鴬声柳色行春を待つ。
双旌誰か道(い)ひし来たること何ぞ暮(おそ)きと、万井如今(いま)幾人か有らん。
【注】上元二(七六一)年、春の作。

○賀若郎中 賀若察。「郎中」は、尚書省の六部が各々四司に分かれた二十四司の長官。
○賊 反乱軍。
○杭州 浙江省杭州市。
○江上 川のほとり。上元二(七六一)年、春正月に劉展の将、張景超が兵を引いて杭州を攻め、李蔵用の将、李彊を石夷門に破った。そののち劉展の死を聞き、ことごとく兵を張法雷に授けて杭州を攻めさせたところ、張景超は海へ逃れた。張法雷は杭州に着いたが李蔵用はこれを撃破した。
○戦馬塵 軍馬の舞い上げる土ぼこり。
○鴬 チョウセンウグイス。背は灰黄色、腹は灰白色、ハハチョウよりも大きく、雌雄つねに並んで飛ぶ。初春に鳴きはじめ、声は円滑で美しい。
○柳色 柳の若葉の青々とした色。
○行春 太守が春に県内をめぐって、民に農作養蚕を勧めること。
○双旌 節度使の賜る二本の旗。
○万井 広くにぎやかな町。
○如今 いま。

【訳】
賀若郎中が反乱軍の撤退後に杭州に行くのをお見送りする。
川のほとりに舞い上がる、いくさのほこりおさまって、ウグイス柳の枝に鳴き農作すすめる春を待つ。
誰が言ったか節度使の到着ぐずぐず遅滞して、もとは大きな町なのに戦禍に人のかげまばら。





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Last updated  March 13, 2007 10:59:40 AM
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