趣味の漢詩と日本文学

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May 28, 2007
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カテゴリ: 漢詩・漢文
歳日見新暦因寄都官裴郎中 劉長卿
青陽振蟄初頒暦、白首銜冤欲問天。
絳老更能經幾歳、賈生何事又三年。
愁占蓍草終難決、病對椒花倍自憐。
若道平分四時氣,南枝為底發春偏。
【韻字】天・年・憐・偏(平声、先韻)。
【訓読文】
歳日新しき暦を見て因つて都官の裴郎中に寄す。
青陽蟄を振るひ初めて暦を頒かち、白首冤を銜(ふく)みて天に問はんと欲す。

愁ひて蓍草を占ふも終に決し難く、病んで椒花に対すれば倍(ますます)自ら憐ぶ。
若(もし)平らかに四時の気を分つと道(い)はば、南枝底為(なにしにか)春に発(ひら)くとこ偏からん。
【注】
○都官郎中 尚書省刑部第二司の都官司の長官。従五品上。官府の奴婢および部曲客女の政を掌る。 
○青陽 春。
蟄を振るひ初めて
○頒暦 天子が毎年冬の終わりに翌年の暦を頒布すること。
○白首 白髪頭。
○銜冤 無実の罪を釈明できずにいること。
○絳老 老人。
○賈生 前漢の文人、政論家、賈誼。洛陽の人。文帝に仕えた。(前二〇〇……前一六八年)。

○蓍草 うらないに用いるメドハギの茎。
○椒花 椒花頌。新年の祝詞。
○倍 いっそう。
○四時 春夏秋冬。
○南枝 南側の枝。梅の花についていうことが多い。

【訳】
新年に新しい暦を目にしてそこで都官裴郎中に寄せた詩。
春を迎えて土の中こもれる虫も動きだし新年のため配られた暦の色も真新し、我は年老い頭髪も白髪がふえたが罪はれず何とか己の無実をば天に問わんと試みる。
こんな老いぼれいつまでも生きられるかはわかりゃせぬ、どういうわけで三年も任期を延期されるやら。
悲しみに暮れ占うもいつかえれるか結果でず、病身の身で新年の祝詞を見れば情けなや。
ほんに四時は平等か、平等ならば何ゆえに南の枝のみ春に咲く。








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Last updated  May 28, 2007 03:33:23 PM
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