趣味の漢詩と日本文学

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June 19, 2007
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カテゴリ: 漢詩・漢文
尋龍井楊老 劉長卿
柴門草舍絶風塵、空谷耕田學子真。
泉咽恐(一作豈)勞經隴底(一作客、一作地、又作■(「低」の「イ」を「土」に換えた字。テイ))、山深不覺有秦人。
手栽松樹蒼蒼老、身臥桃園寂寂春。
唯有胡麻當鶏黍、白雲來往未嫌貧。
【韻字】真・人・春・貧(平声、真韻)。
【訓読文】
龍井楊老を尋ぬ。
柴門草舍風塵絶え、空谷耕田子真を学ぶ。

手づから松樹を栽ゑて蒼蒼として老い、身桃園に臥して寂寂として春なり。
唯(ただ)胡麻の鶏黍に当たる有り、白雲来往して未だ貧を嫌はず。
【注】
○龍井 各地にあって特定できない。著名なものは次のごとし。一は、福建省崇安県西南の武夷山上。一は、福建省▼(「サンズイ」に「章」。ショウ)浦県の東。一は、江西省南昌市の東。一は、山西省平定県の西の嘉山。
○楊老 楊姓の老人。
○柴門 しばを編んで作った粗末な門。
○草舍 草葺きの家。
○風塵 憂き世のわずらわしさやけがらわしさ。
○空谷 人けのないさびしい谷。
○耕田 田畑をたがやす。
○子真 『揚子法言』《問神》「谷口の鄭子真、其の志を屈せずして、巌石の下を耕し、名は京師に震ふ」。

○不覚有秦人 桃花源の話をふまえる。
○手 みずからの手で。
○蒼蒼 樹木のあおあおとしたさま。
○桃園 桃林。河南省霊宝県以西、陝西省◆(サンズイに「童」。トウ)関以東の地。
○寂寂 ひっそりとしてしずかなさま。

○鶏黍 にわとりを殺してスープにし、きびの飯をたいてもてなす。
【訳】
龍井の楊老人を訪問したときの作。
柴の門入り草ぶきの家たずねればさまざまな憂き世の煩わしさもなく、ひっそりとした谷近くきみは田畑を耕作す。
泉ちょろちょろ音立てて隴山越えたをねぎらいて、こんなに深き山なれば秦人いるを誰が知ろう。
手植えの松も年ふりて、桃さく春の庭に臥す。
胡麻生い鶏あそびおり畑の黍は風にゆれ、空に行き交う白き雲、清貧たもつ暮らしぶり。







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Last updated  June 20, 2007 07:20:56 AM
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