趣味の漢詩と日本文学

趣味の漢詩と日本文学

July 8, 2007
XML
カテゴリ: 漢詩・漢文
聞虞■(「眄」の「目」をサンズイに換えた字。ベン)州有替將歸上都登漢東城寄贈 劉長卿
淮南搖落客心悲、●(サンズイに「員」。ウン)水悠悠怨別離。
早雁初辭舊關塞、秋風先入古城池。
腰章建隼皇恩賜、露冕臨人白髮垂。
惆悵恨(一作夫)先我去、漢陽耆老憶旌麾(一作旗)。
【韻字】悲・離・池・垂・麾(平声、支韻)。
【訓読文】
虞■(ベン)州の替有りて将に上都に帰らんとするを聞き漢東城に登りて寄贈す。
淮南揺落して客心悲しび、●(ウン)水悠悠として別離を怨む。

腰章建隼皇恩より賜はり、冕を露はにし人に臨みて白髮垂る。
惆悵して君(一に「夫」に作る)を恨む我に先んじて去るを、漢陽耆老旌麾(一に「旗」に作る)を憶ふ。
【注】
○虞■(ベン)州 湖北省武漢市漢陽。
○替 勤務の交代。
○上都 長安。
○漢東城 湖北省随県にあった。
○淮南 唐の方鎮の一。治所は揚州(江蘇省揚州市)にあった。
○揺落 秋に木々の葉が散る。
○客心 郷里を離れて異郷にいる者の心。
○●(ウン)水 川の名。南陽を流れる。

○別離 わかれ。
○関塞 関所ととりで。
○古城 ふるい町。
○腰章 腰にぶらさげた印章。むかし官吏は任命されると同時に天子から地位や感触を表徴する印章と印綬をいただいた。
○建隼 ハヤブサを画いた旗。州郡の長官が赴任するさいに掲げた。

○露冕 「後漢の郭賀が荊州の刺史だったとき、明帝が南陽を巡狩し、三公の服を与え、袒を去り冕を露わにして住民に見せ、郭賀に徳が有ることを表彰した。
○惆悵 かなしみなげく。
○漢陽 湖北省武漢市。
○耆老 老人。耆は六十歳、老は七十歳。
○旌麾 旗のぼり。
【訳】
■(ベン)州の刺史虞遜が刺史の交替によって長安の都に帰ろうとしているのを聞き、漢東城に登って別れの詩を詠んで贈る。
淮南の地に木の葉散りふるさと恋し旅ごころ、●(ウン)水の水はるばると別離を怨む我が涙。
かりがね関におとずれて、秋風わたる城の池。
腰の印章、ハヤブサの旗をば天子にいただいて、冕を露わに人前で白髮を垂るるはずかしさ。
我を残して君は去り、漢陽老人旗おもう。






お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

Last updated  July 17, 2007 07:43:50 AM
コメント(1) | コメントを書く
[漢詩・漢文] カテゴリの最新記事


【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! -- / --
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x
X

© Rakuten Group, Inc.
X
Mobilize your Site
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: