趣味の漢詩と日本文学

趣味の漢詩と日本文学

June 8, 2008
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カテゴリ: 漢詩・漢文
銅雀臺(劉長卿) 相和歌辭
嬌愛更何日、高臺空數層。
含啼映雙袖、不忍看西陵。
▼(「シ」の右に「章」。ショウ)河東流無復來、百花輦路為蒼苔。
青樓月夜長寂寞、碧雲日暮空裴回。
君不見■(「業」にオオザト。ギョウ)中萬事非昔時、古人何(集作不)在今人悲。
春風不逐君王去、草色年年舊宮路。
宮中歌舞已浮雲、空指行人往來處。
【韻字】層・陵(平声、蒸韻)。来・苔・回(平声、灰韻)。時・悲(平声、支韻)。去・路・処(去声、御韻)。

 銅雀台
嬌愛更に何れの日ぞ、高台数層空し。
啼を含んで双袖に映じ、西陵を看るに忍びず。
▼(「シ」の右に「章」。ショウ)河東流して復た来たること無く、百花の輦路蒼苔と為る。
青楼月夜長くして寂寞たり、碧雲日暮空しく裴回す。
君見ずや■(「業」にオオザト。ギョウ)中万事昔時に非ず、古人何くにか(集に「不」に作る)在る今人の悲び。
春風は逐はず君王の去るを、草色年年宮路旧りたり。
宮中歌舞已に浮雲、空しく指す行人往来の処。
【注】天宝の初め東方への旅の途中、■(ギョウ)城における作。
○銅雀台 魏の曹操が建安十五年(二一〇)に建てた台。高さ十丈、殿宇百余間。楼頂に高さ一丈五尺の大銅雀あり。台の故址は河北省臨▼(ショウ)の西にあり。
○嬌愛 曹操がそばに置いていた愛妾や伎女。

○含啼 涙をためる。
○双袖 着物の両方の袖。
○西陵 曹操の陵墓。唐の■(ギョウ)県の西三十里にあり。
○▼(ショウ)河 山西省に発する清▼(ショウ)・濁▼(ショウ)の二つの川が合流して成る。河南を経て、河北省にて衛河に注ぐ。濁▼(ショウ)水は、■(ギョウ)県の北五里にあり。
○東流 中国は東に海があるのでおおむね河は東に流れる。

○百花 多くの花。
○輦路 宮中の車道。「輦」は、皇帝や皇后の乗る車。
○蒼苔 青ゴケ。
○青楼 女性の住む華麗な高殿。
○寂寞 ひっそりとして、ものさびしい。
○碧雲 江淹《雑体・休上人》「日暮碧雲合ひ、佳人殊に未だ来たらず」。
○裴回 うごきまわる。
○君不見 君は知らないか、いや、知っているだろう。
○■(ギョウ)
○万事 すべて。
○昔時 むかし。
○古人 むかしの人。
○何在 どこにあろうか、いや、どこにもない。
○今人 現代の人。
○逐 したがう。後を追う。
○君王 君主。
○草色 草の色。
○年年 毎年。
○宮路 宮中の道路。
○宮中 国王の宮殿。
○歌舞 歌と舞いと。伎女の舞いや踊り。
○浮雲 空に浮かぶ雲。
○行人 道行く人。
○往来 行き来する。
【訳】
銅雀台を訪れて詠んだ詩。
愛嬌あふれる伎女たちの居たは何年まえのかしら、数層そびえる高台も今は住む者なく空し。
涙に二つの袖は濡れ、見るにたえざる殿の墓。
▼(ショウ)河は東に流れ去り、花咲く道も苔がむす。
青い楼月の夜も主うしないしさびしさよ、日暮れにゃ碧い雲一つあちらこちらと漂えり。
君も知るらん諸々の事は昔のままならず、昔の人は今いずこ、そを悲しむは我ひとり。
主を追わざる春風は今も変わらず吹きおりて、毎年草は生い茂り宮殿の路ふるびたり。
宮中の歌舞すでに無く、人の行き交うばかりなり。

【参考】
    銅雀臺 劉長卿
嬌愛更何日、高臺空數層。
含啼映雙袖、不忍看西陵。
▼(ショウ)河東流無復來、百花輦路為蒼苔。
青(一作清)樓月夜長寂寞、碧雲日暮空徘徊。
君不見■(ギョウ)中萬事非昔時、古人不(一作何)在今人悲。
春風不逐君王去、草色年年舊宮路。
宮中歌舞已浮雲、空指行人往來處。

    銅雀臺 王建
嬌愛更何日、高臺空數層。
含啼映雙袖、不忍看西陵。
▼(ショウ)水東流無復來、百花輦路為蒼苔。
青樓月夜長寂寞、碧雲日暮空裴回。
君不見■(ギョウ)中事非昔時、古人不在今人悲。
春風不逐君王去、草色年年舊宮路。
宮中歌舞已浮雲、空指行日往來處。





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Last updated  June 8, 2008 03:49:31 PM
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