趣味の漢詩と日本文学

趣味の漢詩と日本文学

May 14, 2012
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【本文】同じ帝、立田川の紅葉いとおもしろきを御覧じける日、人麿、

 立田川 紅葉ばながる 神なびの みむろの山に しぐれふるらし

 帝、

 立田川 紅葉みだれて ながるめり わたらば錦 中や絶えなむ

とぞあそばしたりける。

【注】
・立田川=奈良県竜田付近を流れる川。紅葉の名所。
・御覧ず=ごらんになる。
・人麿=柿本人麻呂。

・錦=金糸や銀糸など五色の糸で美しい模様を織りだした厚手の絹織物。転じて、色とりどりの美しいもののたとえ。
・しぐれ=秋の終わりから冬の初めにかけて、降ったりやんだりする冷たい雨。

【訳】同じミカドが、竜田川の紅葉が非常にみごとなのをご覧あそばされた日に、

柿本人麻呂が作った歌、

 竜田川に 紅葉が流れているよ ああやって、木々の葉が色づいたところをみると、上流の神が降臨なさるという三室山には 時雨が降ったらしく思われる。

ミカドがお作りになった歌、

 竜田川 色とりどりに紅葉した葉が入り乱れて流れているように見える もしも、あの川を渡ったら、せっかくのニシキが中央で裁断されてしまうだろうか。







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Last updated  May 14, 2012 09:16:08 AM
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