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<首相一行、到着>
国道とは言え、都会の明かりが見え隠れする郊外の夜道は暗い。
そんな中を警察車両に先導された黒塗りの車列は、時折行き交う対向車からは、異様なものに見えているだろう。
その車列の真ん中を走るVIP専用車。この車は窓ガラスもボディも防弾仕様となっていて、通常の拳銃から発射された通常弾では、たとえ至近距離からでも貫通させることは不可能である。
VIP専用車の中、前田総理は4日ぶりに夢を見ることもなく、大きめな寝息を立てて眠っている。
山本は、親友の寝息を我が事のように感じているらしく、前田の寝顔を見守っている・・・
ふと何かを思い出したように顔を上げて車窓の外に目を移す山本。夜景ではあるけれどそこはやはり見慣れた地形である。見慣れた山が見えてきた。
(唯伝寺は近い)
その確信と共に、一つの不安が脳裏に浮かぶ。山本は、助手席に座っているS・Pに頼みごとを言う。
「すみませんが、パトライトを消していただけませんか。こんな夜中に近隣の人たちを驚かせることになってしまっては申し訳ないですから」
S・Pは山本を振り返って頷くと、前後の車両に無線でパトライトを消すように指示した。
やがて、首相一行の車列は唯伝寺の山門前に到着した。
通常ならば、この山門前を守るのは2名の警番僧が立っているのだが、今夜はその倍の4名の屈強な警番僧であった。
その内の2名の警番僧が、車列へ歩み寄って来る。
するとただちに、S・Pが反応した。車を降りようとドアを開けたのだ。これに気付いた山本は、大急ぎで窓ガラスを開け、大声で言った。
「待ちなさい!二人ともそこで止まりなさい!」
二人の警番僧は、声のした方を見る、
(警番僧)「大老僧さまだ!」
山本の大声と強い口調を耳にして、安心しながらも、彼らは直立姿勢を取った。
前田は、目覚めてはいたがまだ車の中にいる。・・・彼はこの後、驚天動地なる対面を果たすことになる、 だが・・・今はまだ夢想だにできずにいる。
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