M-BLstory

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February 2, 2025
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テーマ: 自作BL小説(22)
カテゴリ: BL小説
第四章:檻の中の獣

柊と九条は、それからも何度か夜の街で顔を合わせた。

最初は偶然だったが、次第に柊は意図的に九条を探すようになり、九条もそれを拒まなくなっていた。

「……本当にお前、俺みたいなのに興味があるのか?」

ある夜、九条が低く呟いた。

「興味あるよ。アンタみたいな人、なかなかいないし」

柊はあくまで軽い調子で答えるが、その言葉に嘘はなかった。

俳優という仕事柄、これまでにもさまざまな人間を観察してきた。だが、九条 蓮司ほどの深みと影を持った男には、そう簡単には出会えない。

「俺は……お前の世界の人間じゃねえ」



「俳優なんて、光の中に生きる人間だろ? 俺はそんな場所とは無縁の男だ」

「光の中にいるからこそ、影が必要なんだよ」

柊は静かに答えた。

「どんなに明るい舞台の上でも、影がなければ深みが出ない。アンタは——俺にとって、必要な影なんだ」

そう言うと、九条の表情がわずかに揺れた。

「……変な奴だな、お前は」

「よく言われる」

柊が微笑むと、九条は軽く息をついて酒を飲む。その横顔を見つめながら、柊は自分の感情の正体を考えていた。

最初は単なる興味だった。だが、今は——。

「なあ、九条さん。アンタは今、幸せか?」

不意に、柊が問いかける。九条の動きが止まった。



「ただ、気になっただけ」

九条は沈黙したまま、ゆっくりとタバコに火をつける。煙がゆらりと立ち昇る。

「……幸せ、ねぇ」

九条は苦笑した。

「そんなもの、考えたこともなかったな」



「俺には、この世界しかないんだよ」

淡々とした口調。しかし、その奥には捨てきれない何かがあるように思えた。

柊は、九条の指先に触れそうなほど近くに座り、静かに囁いた。

「もし、俺が違う世界に連れ出すって言ったら……アンタは、ついてきてくれる?」

九条の目が、わずかに揺れた。

「……そんなことができると思うのか?」

「さあ? でも、試してみる価値はあるだろ?」

九条は柊をじっと見つめる。俳優特有の、まっすぐな瞳。その視線が、自分の奥底にある何かを見透かそうとしているような気がした。

「お前、本当に……変な奴だな」

九条はそう言いながら、ふっと笑った。

だが、その笑みの奥にあるものを、柊はまだ知る由もなかった——。

次章予告:九条の過去が明かされる中、辰巳会内で不穏な動きが……?
柊の存在が、九条の運命を変えていく。
禁断の絆は、果たして光か、それとも闇か——?





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Last updated  February 2, 2025 11:27:15 PM
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