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2007.01.15

エロスとバイオレンスが炸裂！「やさぐれ刑事」

(5)

カテゴリ：独断と偏見に満ちた映画評

やさぐれ刑事(DVD) ◆20%OFF！

この「やさぐれ刑事」（'76年松竹）は、
「暴力やセックスシーンの多い映画はちょっと‥‥」
と、おっしゃる女性の方々にも、おすすめです。
なぜなら‥‥ 男女、というか夫婦のすれ違い、
それがひき起こす最悪の事態を、サブテーマとして取り上げているのですから。

北海道警察捜査２課（マル暴）刑事・西野（原田芳雄）は、
７年前、自分が逮捕した暴力団幹部・杉谷（高橋悦史）が出所し、
北海道に勢力を広げようとしていることを知り、
それを食い止めようと、壊滅作戦に乗り出す。
妻の真穂（大谷直子）が待つ家に帰っても、
頭の中は仕事のことばかり。
そんなもんだから、妻とはセックスレスになっている。
妻は当然、肉体的だけでなく、精神的にも欲求不満となり、
度々家を訪れる車のセールスマンと、一線を越えてしまい、
ついには彼と、駆け落ちしてしまう。
しかし‥‥ そのセールスマンと称する男は、実は杉谷だった！
かつて自分をムショに送りこんだ西野への恨みから、
彼の妻を奪ったのだ‥‥!!
妻を奪われた西野は、狂犬と化し、杉谷を追い始める！

この作品は、まずロケがすごい！
出だしは札幌。次に小樽、函館、
津軽海峡を越えて青森、相馬、東京、大阪、神戸、
博多、鹿児島と‥‥日本列島を縦断するんですから。
これだけでも、「妻を奪った男を、どこまでも追いつめてやる！」という
男の執念と気迫が、スクリーンを通してひしひしと伝わってきます。
西野と妻・真穂が青森で再会するシーンも、哀しすぎる。
西野が杉谷の行方を探るため、拳銃売りを装って、
青森をシメている組と接触しようと、ラブホで待っていたら、
やってきたのは、情夫に捨てられ、夜の女となった真穂‥‥
日本列島を縦断するうちに、
ブルーフィルム（今で言う裏DVD?)の女、コールガールへと転落してゆく真穂が
なんとも哀れでしたね‥‥
転落すればするほど美しくなるのですから、なおさらです。
それと、妻がブルーフィルムであられもない姿をさらしているのを見た
西野の屈辱と憎悪にゆがんだ哀しい顔は、忘れられません。
「妻を奪った奴は絶対許せない！俺を裏切った妻も許せない！
でも一番許せないのは、妻の心の空洞に気づかなかったこの俺だ‥‥！」
モイラには、西野がそう顔で語っているような気がしてなりませんでした。

絵沢萌子、岡本麗（「はぐれ刑事純情派」の、おばさん婦警ですよ！）、
赤座美代子といった脇の女優陣も、なかなかいい味を出していました。
みんな惜しげもなく、裸体をさらしてましたね‥‥
クライマックスの杉谷との対決が、ちょっとあっけないような気もするけど、
とにかくスピーディで、エロスとバイオレンス満載の
はじめから終わりまで飽きのこない、ハードボイルド作品です！

最後に世の亭主族の方々へ。
仕事にかまけて奥さんを放っておくと、
最悪、この映画のケースみたいになっちゃいますよ‥‥（なんちって）