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2007.01.16

壮絶！でも感動的！「キリング・フィールド」

(5)

カテゴリ：独断と偏見に満ちた映画評

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７０年代、内戦に苦しむカンボジアのルポでピューリッツァ賞をとったニューヨークタイムズ記者
シドニー・シャンバーグの実体験をもとにした映画「キリング・フィールド」（'84年　米）‥‥
たいへん骨太な、リアルな、そして大きな感動を呼ぶ社会派ドラマです‥‥！

親米のロン・ノル政権と、ポル・ポトをリーダーとする反米の共産党勢力、クメール・ルージュとの対立が激化しつつつある７０年代前半のカンボジアに派遣された米国人記者シャンバーグは、
通訳ガイドのカンボジア人プランと知り合い、互いに友情を交わす。
だがクメール・ルージュの勢力が増し、国内は混乱を極め、
シャンバーグはプランに家族と一緒にアメリカに脱出するよう勧めるが、
プランは妻子だけをまず脱出させ、自分は国にとどまる。
その後、ポル・ポトがロン・ノル政権を倒してカンボジアの独裁者となり、
国内で反米感情は頂点にまで高まる。
米国人ジャーナリストのシャンバーグとその仲間とプランはポル・ポト兵に捕らえられ
死刑の寸前まで行くが、プランが兵士らに、
「彼らは中立的立場にあるフランス人ジャーナリストだ」と嘘を言ったため、なんとか釈放される。
「もうこの国にいては危ない！プラン、君も一緒に国外脱出しよう！」
　シャンバーグと仲間は最後の避難所・フランス大使館に駆け込み、
プランのために偽造パスポートを作る。
が、ろくな現像設備もない大使館のトイレで焼いた写真は、すぐに画像が消えてしまい、
プランの国外脱出計画は頓挫する。大雨の中、泣きながら去るプランを、
シャンバーグは悲痛に見送るしかなかった。
無事帰国したシャンバーグは、カンボジアでの体験ルポでピューリッツア賞を受けるが
気になるのは別れたプランのことだった。
そしてプランは‥‥クメール・ルージュに捕らえられ、
世にも恐ろしい血の粛清が繰り広げられ、飢えや病で大勢の人々が死んでゆく中、
苛酷な強制労働にあえいでいた‥‥！

モイラはこの作品を観た時、マジで座席で震え上がりました。
まず、クメール・ルージュという組織の恐ろしさに。
インテリ階級を敵視するばかりか、「殺してしまえ！」なんですから‥‥
しかも、知識に毒されていない子どもたちを洗脳し、指導者に仕立て、
彼らの親までも密告させる！
こんな異常な社会が、現実にあるなんて‥‥！

もうひとつ震え上がったのは、
ラスト、シャンバーグがプランと再会を果たす場面‥‥！
バックで流れるジョン・レノンの名曲「イマジン」が、さらに感動を高めています。
（監督は「イマジン」なしのバージョンも作ったそうですが、
「やっぱりあったほうが効果的」だと実証したそうです。モイラもまったく同感です！）

あのラスト・シーンには泣けましたね。何度観ても泣けます‥‥
実際、隣で観ていた６０くらいの男性も、嗚咽をこらえてましたもの。

プランを演じてオスカーを受賞したハイン・S・ニョール氏は医師で、
彼自身、ポル・ポト政権下で辛酸を舐めてきたそうです。
そしてニョール氏は'96年、ロスアンジェルスの自宅前で
何者かの凶弾に倒れました。
ポル・ポト派の仕業というのが、もっぱらのうわさだそうです。