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2007.02.13

悪いのは大人たち！★「バウンス ko GALS」

(2)

カテゴリ：独断と偏見に満ちた映画評

「援助交際」
この「バウンス ko GALS」は、'97年に作られた、女子高生たちのいわゆる「援交」を中心とした生態を描いた映画です。
（断っておきますが、この映画には、オジサンたちが期待するようなコギャルの淫らな姿態などは、まったく出てきません。あしからず！）

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物語は、援交、もしくは援交まがいのことをやっている女子高生たちが、渋谷の街で出会い、
一夜を過ごす過程で、精神的に成長し、それぞれ再出発を決意する …といった内容です。
なんかこう書くと簡単ですが、この映画には、人間的な感情すらも失われているエリート官僚をトップとする現代日本の社会体制への批判、
そして、未成年の女性を性的欲望のままに金で買い、そのことをテンとして恥じない大人の男たちへの強烈なバッシングが、全篇にこめられています。

髪を染めてるわけでもない、ごく普通の清楚な感じの女子高生が、アメリカ留学の資金調達のために援交をし
（余談ですが、犯罪少年の更生を手助けしている知人の方によると、援交する女子高生には、「いかにもコギャル！」という感じの子はほとんどいず、むしろごく普通っぽい身なりの子のほうが、圧倒的に多いそうです。そのほうが「オヤジ受け」するから。）
その援交の相手である中年のリーマン（小堺一機）から、「お前、援交やってるような女だからな！」と、駅のホームで大声をあげられ、おとしめられる場面は、まったく反吐が出そうでしたが、「ああ現実にもいるよね、こういう恥知らずのゲス野郎…」と、大いに頷けました。

「援助交際」という不思議な（てゆーか、思いっきりごまかしっぽい）言葉が世に出た直後、テレビをはじめとしたマスコミは、そういう行為に手を染めるコギャルたちを、
「恥知らず！」「身体売ってまで金がほしいのか！」「親の顔が見たい！」
などと、それはもう手ひどいバッシングをしました。
今思えば、やらせとも疑えるコギャルへのインタビューまで流し、
「今どきの若いコたちは、こんなに過激！」などと報道しました。
だけど…モイラはこの報道に、ずーっと疑問を抱きつづけていました。
「なぜマスコミは未成年者をお金で買う男たちのほうを、もっと厳しくバッシングしないの?! 　身体を買われる方は判断力のない子どもだけど、買う方は大人。子どもをお金で性のはけ口にする大人の男の方が、ずっとずっと悪いんじゃないの?!」
そんな時にこの作品を観る機会を得て、モイラは首がちぎれるかと思うくらい、何度も大きく頷きました。
「そうだ…未成年者を金で買う大人の男がいっちばん悪いんだ！」

映画の中で、「なぜ援交をするのか？」という大人の問いかけに、
主人公のジョンコはこう答えています。
「お金を払って、女子高生とセックスしようとするオヤジどもがいるから。お金をちらつかされると、『ああ私たちは、それだけの価値があるんだ‥‥』って思わされるの。最初はただデートするだけ。でも『もっとお金出すから』と言われると、それだけじゃすまなくなる」
このモイラも、高校生、大学生の時、街で見知らぬオヤジに金をちらつかされ、
汚らわしい誘いを受けたことが、何度かあります。（もっちろん完全無視！）
でも、そういうオヤジって、本当はすごく可哀想な人たち（あくまで想像ですが、勤務先では上司と部下の板ばさみ、家に帰っても奥さんや子どもに無視されてる、みたいな）なんじゃないかとも、このごろでは思います。

妊娠中絶をしたその日に援交しようとするギャルの無鉄砲さに驚き、あきれながらも、彼女らの心の空洞や、何よりも同じ男として、未成年者を買春するエロオヤジどもを嫌悪し、彼女らのよき（？）理解者となる元学生運動闘士のやくざ・（役所広司）
女子高生の使用済み下着を売る店の、ちょっとアクが強いけど、人情味も感じられるマダム・（桃井かおり）
このベテラン俳優２人が、ともすれば「現代女子高生風俗ドキュメンタリータッチ映画」になりかねないのを、うまく引き締めていましたね。

監督・脚本は原田眞人。原田氏はこの作品で、ブルーリボン脚本賞を受賞しています。

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最終更新日 2020.09.21 10:11:06
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■コメント

観ようと思って‥

もえぎいろ777 さん

見逃してしまった映画でした
映画に出てくる佐藤康江ちゃんが好きで‥
でも本当に性をお金で買おうとしているのは
男性なんだから私もモイラサンと同じく
「買う」男性達ももっとバッシングされてよいと
思いました
制作が97年ですか‥きっと今でも同じような
現状なんでしょうね‥ (2007.02.13 18:13:36)

返事を書く

Re:観ようと思って‥(02/13)

モイラ2007 さん

もえぎいろ777さん、こんばんは♪

＞でも本当に性をお金で買おうとしているのは
＞男性なんだから私もモイラサンと同じく
＞「買う」男性達ももっとバッシングされてよいと
＞思いました

男性達「も」じゃなく、彼ら「こそ」バッシングされていいと思いますね。

＞制作が97年ですか‥きっと今でも同じような
＞現状なんでしょうね‥
-----
現在、東京のような大都市では、以前ほど援交は多くないそうですが、
一部の地方都市がひどいそうですね。 (2007.02.13 20:15:39)

返事を書く